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様々なメジャーR&B作品で聴くことのできる80's的サウンド、そしてオルタナティヴ・サウンドへの急接近。近年のR&B作品は、そのサウンドをひとつの言葉で表現するには幅広すぎるほどの表現力を得た。M.I.A.、SANTOGOLDといったアーティストたちは、ブラック・ミュージックというキーワードを根本に持ちながらも、そのサウンドはオルタナティヴ~クラブ・ミュージックの進化系である。そんな中、R&Bの持つブラック・ミュージック的な歌モノの要素を強く持ちつつ、かつオルタナティヴ的なソング・ライティングの美しい繊細さを兼ね持ったアーティストがNYより現れた。MR BOYD、その人である。
ARCHANGEL、MATTHEW FURMAN、DANNY SWAIN、HASSAN KINLEY、AORTA、そしてJEREMIAHといったジャンルに捉われないアーティストを抱える新鋭レーベル、FEDORALIME AMFC(www.fedoralime.com)の一員である彼のサウンドも、前述のとおりに一筋縄ではいかない部分を多分に含んでいる。
まずはサウンド。エレクトリックとアコースティック(生音)の融合が絶妙なバランスで配分された、近未来的なブラックネスを表現する。その一方で、彼の"歌"はよりオルタナティヴ的な方向性を感じさせる。そのバランスが、同じような系統として現れた先駆者であるD'ANGELO、MUSIQ (SOUL CHILD)、RAHEEM DEVAUGHN、BILAL (BILAL SALAAM)、といった輩とは重ならない、というのが特筆すべき点である。しかし、その根本にあるのはR&B~ブラック・ミュージックの歌心そのもの...という厄介さ。厄介といっても"難解"という意味ではない。音そのものはよりシンプルに響くのである。
ベスト・トラックは(2)。この曲が彼の持つ魅力をほぼ伝えてくれる。FMラジオ局でかかりそうなメロディの美しさ、ファルセットの流麗さたるや、他に類を見ない。より黒さを感じさせる(7)(9)(11)あたりは、純粋なブラック・ミュージックとしても楽しめる。
新たな才能が世に認められる時に必要な力は、かなりの衝撃をともなう。そこまでの衝撃を感じさせないほどの自然さ。きっとそれが彼自身の人柄までをも表しているような気がしてならない。より自然に、より自分らしく。癖になりそうなアーティストです。
MR BOYD