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雑然と並べられた(ように見える)大量のレコード。数々のMIXがここから紡ぎだされている訳だが、それにしても…ゆっくりと柔らかに話す大塚広子と、無造作に並べられた(ように見える)レコードの間には不思議なギャップを感じざるを得ない。この違和感の中に、「DJ大塚広子」の内面を紐解くPIECEがあるのだろうか。

オリジナル盤こそが広子嬢のアイデンティティ。
大塚広子: レコードはやっぱりオリジナル盤。オリジナルはプライド!再発とは違うから。それは音もさることながら、もう世の中に出ない、これしかないっていう存在感かな。だから、今は基本的に現場でも旧譜はオリジナルしかかけたくない。だって私がDJやってるのは、そんな存在感ある音源を知ってもらいたいからで…。もし再発しか持ってなかったら、絶対DJやってない!(笑)。それはCHAMP(※1)も同じで、「うちは冷凍食品は扱わないよ」みたいな(笑)。本当にオリジナルスタンスのパーティ。
(※1) CHAMP :
渋谷The Roomにて毎月第4金曜日に行われているイベント
info:CHAMP Blog
レコードを手に取っては置き、手に取っては置き・・・。なるほど、大塚広子の「アナログレコード」に対する愛情は、本当に人並み外れている。ところで彼女は、自分自身のMixについてはどんな愛着を持っているのだろう。
大塚広子: 一番最初の「A New Peace」は「A New Peace 1」(※2)の内容にUNKLEとかERIC BとかのHip Hopを組み込んだりして、もう初期衝動で作れた部分が大きかったから。私的にはそこをなかなか超えられなかった。それで次、次って感じにはどうしてもなれなくて、気づくと3年経ってた(笑)。でも昨年末ぐらいから、現場PLAYの集大成って感じでまとめ始めたら、意外とあっさり完成しちゃって。今回は珍しくすっきりした気分(笑)。飾らずできたし、いいかなって。自分を客観的に見られるようになったかな。

(※2) A New Peace :
大塚広子の2004年に発表された初作を、新たに再構築しRe-Selectし、生音にこだわったJazzを中心とした心地よいMixした再リリース盤。Jazzの緊張感や力強さ、繊細さ、ダンスミュージックとしての心地よさを含んだグルーヴ感で、飽きることなく楽しめる一枚。
とはいえ、これまでの「A NEW PEACE」シリーズに、彼女のそんな「くすぶり」が感じられたかといえば、NOだ。そこでは、数々のRare Groove/Jazz 音源を1つのストーリーに紡ぐDJ・大塚広子のコアがきちんと表現され、そして現場PLAYに裏打ちされたグルーヴが確実に渦巻いている。それでも、今作「NEW PEACE 3」を「現場の集大成」と言い切るのは、一体どういうことだろう。
大塚広子: 現場でやっているプレイをそのまま引っ張ってきたのが今回のMIXなので。それはいつものCHAMPのある日のセットだったり、地方に呼ばれてDJした時の・・・あの時の2セット目!(笑)だったりとか。「NEW PEACE 3」は、3年分の現場がなかったら完成してないから、「現場の集大成」。
私、いつもDJ終わるごとに、毎回セットリストを書いて残してて。その場その場のお客さんの反応とか、つなぎとか、忘れないようにしたいから。事前にガチガチに仕込んでいくタイプではないので…。それに曲自体の良さも現場で発見することって多い。現場で何度もPLAYして愛着が湧くというか・・・その曲自体の良さを分かるまでには、やっぱり時間がかかると思う。
現場と違って苦労したところは・・・うーん、こういう風に音源にするときって、やっぱり導入部分を迷うかな。現場だと前のDJがいて、自分のプレイ前にもう流れがあるからそれに合わせてつなげるけど、音源は何もないところからつなぎ始めなきゃだから。
聴きどころは・・・全部(笑)。いや、個人的には中盤前のFlying LotusからRoy Brooks(※3)までの一連は、時代を遡りながらも違和感なく聴いてもらえる流れになっていると思います。

(※3) ROY BROOKS and THE ARTISTIC TRUT / ETHNIC EXPRESSIONS('73 Im-Hotep Records) :
JAZZMAN ジェラルドも、書籍「JAZZ SUPREME」で取り上げ、黒ジャス最高峰とでもいうマイナーレーベルIm-Hotepからの一枚。海外オークションでの高騰ぶりや7インチの存在も話題になったオリジナル盤。存在感も面子も圧倒的な奇跡の一枚でいまだ再発、CD化されていない。
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