■スペシャル・インタビュー■活動10年の節目に1stアルバムをリリースしたDazzle Drumsがアルバムとパーティーについて語る

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2014.12.22

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活動10年の節目として初のアルバム『Rise From The Shadows』をリリースし好評を博しているDazzle Drums。結成以前からレギュラー・パーティを持つことに拘り、そこからのインスピレーションをもとに楽曲を作り、海外のリスナーからも着実に支持層を広げてきた彼らにとって、現場とはなにか。そしてDJ / クリエイターにとってレギュラー・パーティを持つ意義とはなにか。インタビュアーに現在彼らが毎月活動の拠点としている青山Zeroの店長、Yuki Teradaを迎えてお届けする。


今回のアルバムを作るにあたって、テーマというか、こうしよう、みたいなものはありましたか?

 
Nagi : 自分達が配信でここ数年リリースしてきた楽曲は、結構硬めのトラックが多かったのですけれども、自分達がDJやっている現場だとなかなか硬めの曲がフロアで受けなくて。かといってこれまでのUSハウスの暖かいイメージも確かに自分達の音楽の一部ではあるので、硬いものもオーガニックなものも柔らかいものも、今回のアルバムのなかに詰め込もう、というのはありました。自分達のDJと制作は密接につながっているのですが、特にここZeroで毎月レギュラーでやらせてもらっている〈Block Party〉は昔からの定番曲を好むお客さんが多くて。Zeroという箱の前身がハウスの老舗箱LOOPだというのと、自分達がLOOPの頃から合算すると15年もレギュラー・パーティをやっているので、そうすると15年の積み重ねもあるし、15年前からのお客さんもいて。15年前って言うのはハウス全盛期だから、あの頃からハウスが好きな人は大抵の定番曲は知ってるんです。だから例えば新譜よりも古い曲、ダンクラとかハウス・クラシックスをやらなきゃ、やらなきゃ、と。
Kei : 皆が好きな、ね。
Nagi : そう、皆が好きなヒット曲。
Kei : そういう昔からの曲を〈Block Party〉では掛けた方がいいかな、っていう意識は正直すごくある。ただそれだけじゃ、自分達は満足していなくて、その、新しいものをね。
Nagi : うん、チャレンジしながら。なので最近は結構自分達の好きな硬いものも、どんどん掛けてみよう、みたいな、のはやるようにして。で、そうするとそういうのが好きなお客さんがちょこちょこ付いて来てくれたりとか。あと、これまでLucianoとかDixonとかのフロアで踊っている私達を意外だな、って思っていたひとが、アルバムを聴いて納得した、って言ってくれて。頑張って出した甲斐があったな、と。


レギュラー・パーティを続けるということについてなんですけれど。まあある程度までDJを頑張ってリリースしたりすれば、自分でパーティを持っていなくてもDJは出来るし、お金を貰って呼ばれたりするのに、それでもレギュラーに拘る理由とは?
 

Kei : それはもう来る人が毎月楽しんでもらえるように、その場所を、ね。新しい人ももちろんだけれど、ちゃんとそこにいけば、(いつもの場所が)あるっていうね。
Nagi : ずっと前から思っているのは、特に東京という都会では日々評価され自分を試されながら生きていく訳で、そんななかで行き詰まったときに自分の生活基盤とは全く関係ないコミュニティがあれば、凄くその人にとって楽になると思っていて。昔からのUSハウスやダンス・クラシックスには相手を尊重したりお互いを支え合うといったメッセージがあって、NYではパーティが教会のような役割を持っていたりもして。つまりハウスやパーティがそういった形で回っていて、それを自分が体験してしまって、そして実際に凄く楽になったんですよね。なのでそういう場所を自分が作れたらいいなと思っていて、そこがまずレギュラー・パーティでやりたいことですね。でも、かといってその場所で仲間と過ごせる、というだけではだめで、そこで独りになれるというのも必要で、そのためにはきっちり音楽はいいものが鳴っていないといけない。ホームパーティじゃ駄目なんですよね。
Kei : 友達ばっかり、というだけじゃ、最初来た人が戸惑うから。まあそれでも良いって人も居れば、独りではまって音楽を聴きたい、って人もいるから。色んなタイプの人が遊べる場所になるよう、いつも考えて。
Nagi : そう、だからDJも、知り合いだけ集まってパーティっていうのももちろん悪くはないけれど、ふっと独りで入って来たときにも、楽しかったと思えるように素晴らしい音楽は掛かっていなきゃいけないし、それに対して自分で毎月レギュラー・パーティを持つということは、自分で責任を負うっていうことだから。集客に関してもそうだし、パーティの内容に関してもそうだし。自分達のDJが悪かったらお客さんも帰っていくし。そうなると自分の音楽のスキルにも繋がっていく。あとは新譜。2ヶ月、3ヶ月に1回の開催だと新譜を皆に覚えてもらえないので、毎月自分達が推す新譜は意識して掛け続けて、皆にとにかく聴いて貰う。
Kei : 新しいヒット曲を作ることが近年とても難しくなってきているから。いまは良いなあと思う曲に出会っても1回のフェスとかで終わってしまうから覚えにくいし、なかなかヒットには繋がらないというか。DJが作るものが、以前とは変わって来ている。
Nagi : 10年前は、DJがヒットを作っていたし、もっと音楽が中心にありましたよね。


 
お二人はDJをやりつつ、オーガナイザー的なことだったりだとか、フライヤーだったりだとか、全部やっていますよね。それをすることと、DJだけ参加してやるということと、やっぱり違いますか?

 
Kei : それはもちろん思いは全然違いますよね。まあDJだけで集中してやるのもとても素敵だけれど、やっぱり一緒にやるメンバーとお店の人と、いつも来てくれるひとのことを思って作っていくのは、その道程も含めて、やっぱりレギュラー・パーティだからこそ。
Nagi : 今回のアルバムも、ジャケットのデザインもマスタリングもプレスの発注も全部自分達でやったのですが、ここまでこうやってマイナーな音楽を続けさせてもらったのは支えてもらった皆さんのお陰だと思っていて。振り返ってみると、アルバムとこれまでのパーティがすごく密接に繋がってるな、というのはすごく感じます。あと、自分はLOOPで毎週水曜日に〈Smoker〉というパーティに10年参加して、NoriさんFukubaさんの音を聴いてきたのですが、その経験が自分の耳の基準になっていて。どういう鳴りのものを自分がつくりたいか、みたいな判断ができるようになったのは、あの経験があったからだと思っています。
Kei : 体感が大事だよね。
Nagi :そう体感。技術の問題でも、知識の問題でもないから。高いケーブルを買ったり色々やっても、体感した基準がないと、どういう音を目指したいのか定まらない。だからこう、自分達も同じこの場所で、毎回毎回レギュラーでやって。それは曲作りにも繋がってて、例えばアルバムの曲とかでも何回もケイ君が掛けてたりとか。
Kei : この場所で鳴らすのが自分にとってリファレンスの対象、音の判断基準になる。ここの鳴りを身体で覚えてるから、曲作りに活かせる。だからやっぱり現場があってのもの。
Nagi : いつもZeroでこういうふうに鳴ってるからこうだ、とか。いつもやっている場所で鳴らして比較するのが一番解りやすいんですよね。Lowが大きい、とか、Hiが足らない、とか、もっと音が伸びた方が良い、とか。
Kei : まあ難しい部分はあるかもしれないですけどね、一から積み上げるというのは。だからこうやってレギュラー・パーティできるのは有り難いよね。
Nagi : Zeroは、ほぼフル・アナログで、あまりお金をかけずにできる形で、レコードがきちんと鳴るサウンドシステムを目指す、というのをオープン当初から貫き通してるのだけれど、これまで試行錯誤してきたというのもあって、音の回り方も良くなったし、最近のデジタル配信独特の迫力ある音もきちんと再現していて、箱の音の成長、を凄く感じます。

http://www.dazzledrums.com/zero_soundsystem
 

 
この箱も無事5月に1周年を迎えて、色んな意味で箱の個性が問われてくる時期になったと思うのですが、実は今年のカウントダウンを、Dazzle Drumsがオープン-ラストでDJすることとなって、レギュラー・パーティ同様、責任というのを感じているんですよね。
Kei : Zeroの他のレギュラーの人たちの気持ちっていうのもあると思うから、ものすごく迷ったんですけれど。
 
 
勿論オールスターでも良いと思うのですが、One Partyとしてやりたかったんです。皆さんカウントダウンなので色んな場所を行ったり来たりすると思うんですよ。そのなかでZeroの規模のなかでどれだけ一緒に皆で居て、一緒に皆で朝迎えて、皆で酒飲んで皆で踊って、っていうのが出来るか。まあお祭りはお祭りなのですが、〈Block Party〉ならベテランだと思うし、お客さん含め色んなものをキープするために、ずっと考えながら一晩を作ってくれるだろうと思ったんですよね。限られたひとにしか、DJセットで「抜け」を作れない。そういうのがハウスだと思うし、それが出来る日本人がいるんだから、それで良いじゃないか、と。 

 
Nagi : 日本はどうしても海外アーティストの招聘イベントが注目されがちですが、ヨーロッパから移住して、小箱のパーティに頻繁に足を運んでいるDJの口から「日本はいいDJが沢山いるし、すごく音楽のレベルが高い」っていう言葉が出たのはすごくリアルだと思うんですよね。音楽的な視点だと東京の小箱は本当に面白いし、この近くだとOathもそうだけど、いいレギュラー・パーティが沢山あって、色んなクリエイターの方がそういった場所でプレイしている。是非大箱や興行イベント以外にも足を運んで、体感して欲しいと思います。

 
(DJ booth & sound system Photo by 鳥居 洋介)
 
 
 

■Aoyama Zero 2014-2015 Countdown Party■
2014.12.31 (Wed)  DJ : Dazzle Drums   venue : Zero
http://www.clubberia.com/ja/events/230476-New-Year-Eve-2015/
http://aoyama-zero.com 


■Dazzle Drums■
NagiとKei Suganoによる男女2人組ユニット、Dazzle Drums。それぞれが90年代からDJ活動を開始。ソウルフルなハウスを軸に幅広い選曲が持ち味で、ダンス / ハウスクラシックスと最新の新譜を織り交ぜプレイする。2005年よりDazzle Drums名義で楽曲制作を開始する。King Street Sounds、Tony Records、Nulu Electronic、Centric Music、Makin’ Movesなどの海外レーベルからリリースを重ね、10年より自主レーベルGreen Parrot Recordingを始動。Danny Krivit、Joe Claussell、Tony Humphries、DJ NoriやTim Sweeneyらがプレイし、幅広いDJからの評価を獲得。R&BハウスミックスのCDコンピレーションNK RMXはアナログを含め10枚以上リリース。DJ EMMA監修アシッド・ハウスのコンピレーションAcid Cityのきっかけとなった2曲を提供。Louie Vega pres. Elements Of LifeのヴォーカリストAnaneが主宰する、Nulu ElectronicからリリースされたTwangがTraxsourceアフロチャート3位を記録。活動10年の節目として14年11月、初のアルバムとなる『Rise From The Shadows』をリリースした。レギュラー・パーティは青山zeroにて毎月第二日曜日夕方開催Block Party。
http://www.dazzledrums.com
http://www.block-party.info
DJ Booking : http://www.teal.jp


■Rise From The Shadows■
Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=8DhDhkGNlrA
Soundcloud
https://soundcloud.com/dazzledrums/sets/rise-from-the-shadows-dazzle
 



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