ジャズ昭和史

油井正一

時代と音楽の文化史

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ISBN
9784925064828
発売年月
2013年8月
版型
四六
ページ数
672ページ
製本
上製
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商品詳細情報

時代と音楽の文化史
未完、未発表の自叙伝『もうひとつの昭和史』併録。
ジャズ評論界の巨人が語り、綴る、
探求の日々と激動の時代油井正一語り下ろしジャズ昭和史。

第一回 日本にホンモノのジャズがやって来た時
○歴史とは人それぞれ異なるもの、これは僕のジャズ昭和史
○ジャズは白人のもの? 誰も黒人ジャズを意識しなかった
○一九五〇年代後半、アメリカの黒人意識の変化をジャズは反映する
○植草甚一ジャズに熱中、日本ジャズ評論界に新風を吹込む

第二回 慶応予科の一学生、ジャズにめざめる
○洋画を通じて洋楽の魅力を知り、そしてジャズとすれ違う
○誰もが暗中模索でポピュラー音楽を楽しんでいた時代
○名著『ホット・ジャズ』を入手し、一晩でジャズ開眼する
○榛名静雄の「ダンスと音楽」誌に最初の依頼原稿を書く

第三回 洋画とジャズと戦雲の中の青春
○先輩野口久光の知遇を得、早大生河野隆次と意気投合する
○河野君と情報交換してあちこちのジャズ喫茶に名盤を求める
○開戦前夜、千住の河野君宅にブルーノート盤が漂着する
○戦雲の中のナン・ウィンへの恋、そして戦下のジャズ・ファン

第四回 ラジオと進駐軍にジャズを求めたころ
○蓄音器に座ぶとんをかぶせて聴いたSPレコードがすべて灰に
○占領軍のジープに驚いてデューク・エリントンを思う
○NHKとFENを頼りにジャズ・ファンを再開する
○駐屯地の米兵と親しくなりジャズ誌やジャズ書を手に入れる

第五回 「ホット・クラブ」創立秘話・前編 (ゲスト:石原康行)
○求め回った米軍の戦地慰問用レコード、Vディスク
○奇人変人を見たければ中古レコード屋の親父に会え
○上野の「イトウ・コーヒー」を舞台に「ホット・クラブ」誕生

第六回 「ホット・クラブ」創立秘話・後編 (ゲスト:石原康行)
○戦時中の「ジャズ・ファン残酷物語」は実在したのか?
○ホット・クラブ、『ジャズの歴史』を監修し大成果を生む
○評論家やレコード、放送業界人を輩出し現在に至る

第七回 畏友河野隆次とレコード業界裏話
○河野隆次、ビクターに入社し日本最初のモダン・ジャズを録音
○日本にバップを持ちこんだジミー荒木少尉との奇妙な出会い
○松下幸之助、ズボラ集団のレコード会社を一喝する
○数々の大ヒットを飛ばした河野プロデューサーの奇策

第八回 わが国初の「ジャズ講座」と舞台裏 (ゲスト:中村宏)
○日本の大学で初めてジャズに正面から取り組んだ慶応「ジャズ講座」
○第一次ジャズ・ブーム後の、理論的にジャズを聴こうという気運
○頓挫したNHKのジャズ・レコード・ライブラリー総データ化計画

第九回 空前のジャズ・ブームの真実・前編 (ゲスト:ジョージ川口)
○満州航空乗員養成所の若き副教官、墜落するも九死に一生を得る
○指名手配中の大連の人気ドラマー、命からがら故国に戻る
○もっと金とジャズ、高給でゲイ・クインテットに引き抜かれる

第十回 手探りのファンを導いた欧米のジャズ書
○戦前の二大名著、『ホット・ジャズ』と『ジャズメン』
○黒人ジャズを理解する国イギリスの名音楽紙「メロディー・メイカー」
○好著『ジャズ・ブック』翻訳と「ミュージック・ライフ」連載
○版を重ねる『ジャズの歴史物語』と後の集大成『ジャズの歴史』

第十一回 空前のジャズ・ブームの真実・後編 (ゲスト:ジョージ川口)
○人気のGK(ジョージ川口)、尊敬するGK(ジーン・クルーパ)と会う
○ゲイ・セプテットとシックス・ジョーズからスーパーバンド誕生!
○時代のファッションもリードしたスーパーバンド、ビッグ・フォー

第十二回 アメリカに架ける橋 (ゲスト:秋吉敏子)
○オスカー・ピーターソンに助けられてバークリー音楽院に留学
○ロスに寄り道、ジャズ・シティでマイルス・クインテットを聴く
○ジャズ界に貴重な異国の女性としてバークリーの宣伝を担わされる
○異国の女流ピアニスト仲間、ユタ・ヒップと三十年ぶりに再会

第十三回 『ジャズ昭和史』前史・前編――日本ジャズ界の夜明け
○日本のジャズの流れは上流家庭の子弟の関心から始まる
○ある大衆音楽が上流階級を通じて流布される世界的事実
○大のエリントン狂だった英王室の「世紀の恋」の主人公

第十四回 昭和ジャズ音盤変遷史
○主力の日本ビクター、日本コロムビアとラッキー・レコード
○新興デッカ・レコードをポリドールが獲得するが
○SP時代の一曲単位のジャズ喫茶を思えば今は退屈
○戦後間もなく、CBS対RCAの長時間レコード競争
○ラジオ局のエンジニアさえLPを知らなかった
○ジャズの長時間録音の可能性を読み切れず、EPを選ぶ

第十五回 JATP来日騒動記
(ゲスト:牧芳雄)
○ラジオ関西の生番組で期せずして電リクを発明する
○タイヘイ・レコード、マーキュリーを獲得しJATP発売
○〈パーディド〉に乗って、羽田から寒空のオープンカー・パレード

第十六回 『ジャズ昭和史』前史・後編――ジャズメン、関西へ
○大阪のダンス・ホール・ブームとチェリーランド・ジャズ・バンド
○奇術師松旭斎天勝が連れ帰った本場シカゴのジャズ・バンド
○チェリーランド、天勝バンド、神戸の南里文雄、浅草電気館に集結

第十七回 『ジャズ昭和史』の二十世紀文化的背景
○二十世紀文化のハイライトを形成する一九五〇年代後期
○二十世紀的なさまざまな文化が変動のピークを経験
○映画産業が生んだウエスト・コースト・ジャズとその限界
○ピークを極めたモダン・ジャズ文化の伝播の同時性

第十八回 最初の名門ジャズ・バンド、ゲイ・セプテット(ゲスト:レイモンド・コンデ)
○盲腸を切りに来日、早稲田で学びながらジャズマンに
○結婚して帰化、日本人ミュージシャンとして過ごした戦下の日々
○グッドマン・コンボを手本にしたオールスター・バンドの誕生

第十九回 ロックウェル・レコード物語
○日本人によるジャズを! ロックウェル・レコード誕生
○ディキシー、スイング、モダン、一九五〇年代の三枚のEP
○通信販売で自宅で梱包し発送、各二百枚を完売
○渡辺貞夫を含む藤井英一カルテットの未発表LP録音

第二十回 「モダン・ジャズ名盤蒐集会」の仕事
○処分されたチャリティ・レコード、幻の『エリントン・イン新潟』
○ハード・バップよりも『真夏の夜のジャズ』の白人ジャズが主流
○第一回にUAのアート・ファーマー『モダン・アート』を選定

第二十一回 「名盤蒐集会」とジャズ・メッセンジャーズ
○パリでライヴ録音されたもうひとつの〈モーニン〉
○トップ・ランク経由のブルーノートとの契約を断念
○『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』はいかに売れたか
○各界の注目を浴びたジャズ・メッセンジャーズ初来日

第二十二回 ジャズ喫茶黄金時代がやって来た (ゲスト:中平穂積)
○伝説のジャズ喫茶「DIG」、新宿のビル三階に開店す
○第二店渋谷「DIG」のレコード盗難、『マタドール』事件の真相
○オリジナル盤こそジャズ喫茶の命、これぞ往年のヒット盤

最終回 ジョン・コルトレーン以降
○大感動の来日公演、コルトレーンは今も生きている
○フリー・ジャズはここまで来ちゃったなあ、という時代
○従来のジャズの解体と『ビッチズ・ブルー』の示した道
○トミー・フラナガン『オーヴァーシーズ』に始まる幻の名盤ブーム
○タクト、TBMが先陣を切った本格的邦人ジャズ録音
○不遇の時代を支えた日本のファンの共感がジャズの明日を育む

油井正一自叙伝もうひとつの昭和史

プロローグ~昭和十年、春

第一章 ジャズとの出会い
1 「新映画」フォアイエの会
2 戦後の淀川長治さんのこと
3 「新映画」の岡俊雄君と「東和」の野口久光さん
4 『雪国』の芸者駒子に会う
5 買って損したレコード
6 心を捉えたスイング・ミュージック
7 一冊の『ホット・ジャズ』が変えた人生
8 改めて聴きなおしたビリー・ホリデイのレコード
9 「ダンスと音楽」と河野隆次君
10 世界を変えたいという望み

第二章 生家のこと
1 父の協力
2 父と母
3 関東大震災
4 横浜から神戸へ
5 福島の本店から独立
6 父が天職とした羽二重

第三章 神戸の少年時代
1 南京虫と格闘
2 三宮町一丁目に居を定める
3 三宮神社境内
4 上林温泉の夏
5 地獄谷の美人姉妹
6 還暦記念にはじめた囲碁
7 子供相手に碁は打つな

第四章 歌と映画と歌舞伎と寄席と
1 わが思い出のハヤリウタ
2 淡谷のり子さんのこと
3 若き日の徳川夢声の話術
4 ジャック・ベニーの見事な間
5 稀なる骨相
6 神戸三中時代
7 ヒゲの名校長近藤英也
8 受験で上京し映画と歌舞伎三昧
9 落語の名人たち

第五章 戦下の青春
1 東京駅で殺されるのはイヤ!
2 その日現場を歩いた二・二六事件
3 うきうき徴兵検査
4 満州国奉天の「捨て子院」に感動
5 二晩続けて現れた幽霊
6 母の発病
7 「これぞ我がタイプ!」
8 戦下の結婚
9 台場の高射砲将校時代
10 怖い死と怖くない死
11 東京大空襲

第六章 戦後の転変
1 終戦の日
2 生涯の感激
3 油井商店の再建
4 プラス三億円マイナス六億
5 円満に店仕舞いして東京へ
6 競馬場で暇つぶし
7 東銀座の事務所
8 民間テレビ開設のお手伝い
9 田中角栄の魅力

第七章 ジャズ評論家として
1 エプロン寄席
2 思い出に残る芸能人
3 続・思い出に残る芸能人
4 ジャズ・メッセンジャーズ初来日
5 主婦向け番組のホストを務める
6 ふたつの『四谷怪談』を見比べた
7 ポール・ブレイの記者会見
8 一九六〇年代の来日オーケストラ
9 僕のワープロ修行

油井正一アーカイヴにて、油井正一先生を思う(行方均)
1 アーカイヴが伝えるもの
2 評論家油井正一の原点
3 未完の遺作『もうひとつの昭和史』

油井正一年譜 (資料提供:油井正太郎)

編者あとがき


編集:行方均