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「本作で平井のギターを初めて耳にした方ならばともかく、ことアルバムという視点に限れば、2000年に発足以来、彼が長らくいたグループによる過去の2作品、つまりデビュー作となった平井庸一セクステットの『Lennie's Pennies』(2008年)、続く2作目である平井庸一セプテットの『Marionette』(2009年)を知る人にとって、この『Pascoal Project』と題された3作目はさぞや驚くに違いなかろう。
それもそのはず。平井と言えば、かれのグループのピアニストであり、2作目『Marionette』にも参加しているピアニストの都築猛と共に、クールの代名詞とも言えるピアノ奏者レニー・トリスターノ、それにトリスターノ派の筆頭的存在であるサックス奏者リー・コニッツなどのクール・ジャズの研究と演奏で名を馳せたギタリストだ。ちなみに、クール派のギタリストでは、そのコニッツのグループにいたビリー・バウアーが有名だが、加えてかつてはジミー・レイニーも同派に属すると言われていた。
そんな平井が本作では、イギリス出身でプログレ界では神様とまで謳われるギタリスト、アラン・ホールズワースばりのプレイ・スタイルへと一変しているのだ。
(中略)
そして、本作に於けるもうひとつのキーワードがアルバム・タイトルにあるエルメート・パスコアールだ。ブラジルの作編曲家であり、ピアノやフルートなど複数の楽器奏者で、同国の音楽発展に寄与した重鎮である。ホールズワースのプレイをコピーする一方で、パスコアールの音楽も研究していた平井は、ある日ふと、双方を融合したバンドができたら面白い、とのアイディアが閃いたというから興味深い。
(中略)
新たな変貌と成長をみせた平井と、その彼が率いる新しいグループによる、新たなステップへ踏み込んだ渾身の作品を心ゆくまで堪能したいと思う。
石沢功治(Koji Ishizawa) 」※ライナーより抜粋
2014/4/23 新宿ピットイン、スタジオピットインにて録音
<Musicians>
平井庸一 Yoichi Hirai (Guitar) http://d.hatena.ne.jp/l7-songib/
太田朱美 Akemi Ohta (Flute) http://www.geocities.jp/akemi_flute/
トオイダイスケ Daisuke Toi (Bass) http://daisuketoi.com/
井谷享志 Takashi Itani (Percussion) http://itanitakasidegozaru.blog59.fc2.com/
大井澄東 Sumito Oi (Drums) http://www.sumitooi.com/
山田玲 Akira Yamada (Drums on 1,6,7) http://akry0325.wix.com/akira-y-drums
YOICHI HIRAI / 平井庸一