2,619円(税込)
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夏の輝きを浴び、空を見上げる心地よさ。青く澄んだ空に吸い込まれてゆくフレーズ。エストニアの初夏を思わせる空気を封じ込めたピアノ・ジャズ。
青い真珠は稀少なのだそうだ。「在りそうでいて無い。」それってトヌー・ナイソーのことじゃないか。バド・パウエルによる周知のタイトル曲を聴きながら、そんな考えが茫と浮かぶ。この澤野工房での通算7作目でも、トヌーはいたって自然体だ。言うなれば優しくて易しいピアノ。しかしご機嫌にスイングしながらも、時折歳を経た古城のような険しいフレーズを織り交ぜ、敬虔なまでに鍛え抜かれたタッチが乱れることはない。この名演を骨太な録音で、見事に封じ込めたエンジニアリングにも体の芯から痺れる。まさに「在りそうでいて無い」ピアノトリオだろう。
また選曲も一見普通に「在りそうで無い。」冒頭の「Moon Ray」であなたは誰のヴァージョンを思い浮かべるだろうか。ミルト・ジャクソン?ロイ・ヘインズ?ヴォーカルもの?ピアノトリイオだと・・・。あれ?それじゃ2曲目ケニー・バロンの「Water Lily」のカヴァーって?「For Minors Only」は?キースの「Country」は最高の名曲だね。えー、他のヴァージョンは・・・???ペルトチアーニの・・・キリが無い。それらは聞き飽きた大スタンダードとは違い、ジャズを聴き始めて5年目位に惚れる奥ゆかしい秘曲の数々で、リスナーはすっかり引き込まれる。そしてこのCDを聴き終える頃、その麻薬的魅力に開眼したリスナーは、既にジャズの泥沼に首までどっぷり嵌っている仕掛け。このあたりが澤野工房のプロデュースの図抜けたところで、トヌーの魅力を最高に引き出すメニューを入念にお膳だ立てして来た。こんなレーベルもまた世の中のどこにも「在りそうで無い」。(Text by 羽根智敬)
Tonu Naissoo (piano)
Taavo Remmel (bass)
Ahto Abner (drums)
TONU NAISSOO / トヌー・ナイソー
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BLUE PEARL
1,500円(税込)
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