「これ中森さん好きでしょ?」店頭でかけてうっとりと聴き入っていると、店のスタッフやお客様にそう声をかけられました。好きですね。ど真ん中です。ミシェル・ペトルチアーニの「ソロライブ」、キース・ジャレットの”The Melody At Night With You”、最近知ったマル・ウォルドロンの日本公演ソロアルバム…どれも珠玉の名作ですが、私にとってそれらと同等に響いたのがこの作品と言ったら大げさでしょうか。何の衒いや計算もなく、ただピアノの前に座り、心を込めて大好きな曲の数々を静かに奏でる。心の底から現れたメロディは、シンプルであたたかな和音に彩られながら、キラキラと輝き、穏やかに語り、優しく微笑む。ホレス・シルバーの「ピース」の無垢であたたかな世界、 オリジナル曲「キャンディ・ツリー」で穏やかに語りかけるようなひそやかで柔らかなワルツ、エリントン「ラヴ・ユー・マッドリー」でのスインギーで力強く軽やかなリズムにのって、次々に色合いを変えていく旋律の鮮やかさ。どこを聴いてもすっと心に染み込んできて、「ああ、いいなあ」と素直に思える愛すべき作品です。30分という長さも集中して聴くにはちょうどいいです。桑原さんが紹介している同時発売の「フェイマス・メロディー」も是非とも併せてお聴きいただきたいと思います。いずれも新宿ジャズ館猛烈プッシュ盤です!!
