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ファウスト・フェライウォーロなんて舌を噛みそうな名前でもすっと言えないのは格好悪いので、寝る前に独りで30回は音読特訓している全国のCDショップ店員の悪戦苦闘が目に浮かぶ。エンリコ・ピエラヌンツィやボヤン・ズルフィカルパシチのような巨匠であっても、日本人からするとビル・エバンスやウィントン・ケリーに比べてスタート地点からして不利な訳だ。ただでさえ遅れて来た者としてのポスト・モダン的苦悩があるのに、「このヨーロッパ人、名前言えないよ!」を跳ね返すのは並大抵ではない。しかし師匠にあたるピエラヌンツィは今では誰も噛まずに発音する程認められているし、そうなって始めてフェライウォーロも本物と言うことだろう。DDQの97年作「シークレット・オブ・ザ・ムーン」で一部のマニアから熱狂的な支持を受けた彼だが、本作が人口に膾炙する決定打となる予感がする。ベースとドラムを刷新したのが最大の要因。端的に言えばドライヴ感が増し、フットワークが軽くなった。早弾きに拘るあまり鋼鉄を掻き毟っているようなベースとやたらと手数だけが多いドラムで、悪く言えば落ち着かないサウンドなのだが、抒情性・浪漫に満ち溢れ過ぎて重く湿ったピアノがエンリコの呪縛から開放され、からっと快晴ピアノトリオに変わった。もう気持ち良すぎて毎日こればかり聴いている。
FAUSTO FERRAIUOLO(p), PIERO LEVERATTO(b), ALFRED KRAMER(ds) |