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「このアルバムにはこの曲」というのがあります。このラリー・ウィリスの新譜では、オリジナル曲「エチオピア」がそれにあたります。これはウィリスがテレビ番組でエチオピアの飢餓に苦しむ子供たちの映像を見て心を打たれ、書いたそうです。既に何度も録音もされており、大切に演奏し続けている曲です。エディ・ゴメスが弓で弾くベースがまるでむせび泣くように悲しみを歌い上げ、ドラモンドのシンバルの深い響きがぽっかりと穴の空いたような虚無感を漂わせます。ウィリスが慈しみの心を込めたソロを弾くが悲しみは消えず、ゴメスの感情のこもったベースソロも空しく虚空に消えていく・・・。8分近い演奏ですが、非常に短く感じられます。ジャズに単なる楽しみ以上のことを求めている方には、是非とも聴いていただきたい名曲です。他にもジェイムス・ウィリアムス隠れ名曲「アルター・エゴ」でのしなやかな歌心や、エリック・アレキサンダーと数曲の共演での力強くたくましいテナーを柔らかく受け止める絶妙なバッキング、エリントン「メランコリア」での淡い水彩画のような美しさなど、聴き込むほどに味わいが出てくる作品です。
LARRY WILLIS(p), ERIC ALEXANDER(ts), EDDIE GOMEZ(b), BILLY DRUMMOND(ds) |