JAZZ IN THE WORLD

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2017.12.15

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2017 Dec.

JAZZ PERSPECTIVE
VOL.15 / ジャズ・パースペクティヴ

JAZZ PERSPECTIVE / VOL.15 / ジャズ・パースペクティヴ

JazzPerspective vol.15本日発売です。

特集は、アメリカのジャズとヴィーナスレコードの25年の二本立てです。

この特集の為にニューヨークにも数年ぶりに行ってきました。

病み上がりで大丈夫かなと心配しましたが、結構大丈夫でした。

表紙は、ロシアのアンナ・コルチアさんです。

どうぞよろしくお願いします。

山本隆


昔から現代をビジュアル的に捉える 「ジャズ・パースペクティヴ」VOL.15が発刊!
特集:ジャズ・イン・USA / ヴィーナス・レコードの25年



特集:ジャズ・イン・USA / ヴィーナス・レコードの25年

○ラズウェル細木の「ラズウェル・コンサルティング」好評連載第3回目
○世界をまたにかけて活躍中の山中千尋のジャズ喫茶極道烈伝。
今回は、岩本町の人気ヴェニュー東京TUCを訪問。
※画像クリックで拡大表示


特集1: ジャズ・イン・USA
AACM50周年に寄せて 杉田宏樹
ニューヨークで広がるブラクストンの輪 原田和典
現地リポート「メンフィス•ジャズ•スピリッツ」 マグワイア由紀子
デトロイト・ジャズ・フェスティバル・リポート 松永誠一郎
ドロレス夫人の他界をきっかけにしたマルサリス家の再考 杉田宏樹
アメリカジャズ界の大物プロデューサー トッド・バルカン登場 大友洋
わたしの見たジャズとアメリカ 廣瀬禎彦
ニューヨーク雑感 山本隆

特集2: ヴィーナス・レコードの25年
ヴィーナス25周年を寿ぐ 山口孝
私の究極盤25枚 山口孝
私の究極盤25枚 岡崎正通
原哲夫氏にきく 大塚広子
一押しピアニスト コンラッド・パシュクデュスキ 杉田宏樹
一押しヴォーカル ニッキ・パロット 林 正儀
ヴィーナス・レコード ジャケット・ベスト10 前泊正人
ヴィーナス・レコードのスタンダード・ベスト10 杉田宏樹

●ジャズレコードコレクター訪問
●ジャズサラリーマンこと 前泊正人氏登場
●ジャズ喫茶マッチ誌上展覧会
今回は前号に続き「お店のロゴが印象的なジャズ喫茶のマッチ Part 2」、「お店のキャラクターが描かれているジャズ喫茶のマッチ PART 3」、「浅草・Fllamingoのマッチの歴史」の3本立てだ。
●廃盤座談会
リー・モーガンの映画公開を記念して、リー・モーガンのレコードについて薀蓄を披露。

【連載コラム】
ジャズとワインのおいしい関係 今回はうん十万円はするペトリュス登場。
錆びない映画 津下佳子
EP 特集 イタリアの大コレクター マルコ・パッチのコレクションからレア盤誌上展
ジャズのある風景 山中千尋
モノラル者がゆく 大塚康之
ブルーノートなモノ、ヒト、コト 行方均
Jazz放言主義 寺島靖国
ジャズ本 あれこれ 今井正弘
A Day in The Audio Life 田中伊佐資
ポーランドのピアノトリオ オラシオ
ジャズ・ミッション to USA物語 岡島豊樹
ジャズメガネ事件簿 ワン・ナイト・ゲームは新宿で 渡辺康蔵
連載漫画 子猫ジャズ 橋本孤蔵
【JP的 Disc Review】
杉田宏樹 河内周二 神尾孝弥 広瀬毅 早川公規 深堀清次 大塚広子 島田奈央子 柳楽光隆 原雅明 中村智昭 山本勇樹 松林弘樹 山本隆

ディスクユニオン特典
本商品お買い上げのお客様へ特製栞をプレゼント!

※特典は無くなりしだい終了となります。

2017.08.09

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2017 Aug.

GIDON NUNES VAZ
Carry It On!

GIDON NUNES VAZ / Carry It On!


今日の東京はこの夏一番暑い日のようだ。
朝から既に35度を目標に温度計もぐんぐんと背伸びをして頑張っていたようだ。確かにアツい。今日みたいな日はなるべくなら外に出ない方がいいのかもしれないけど、そうもいかない。外営業、田町駅と品川駅の新駅建設の現場の方々、就職活動のみなさん、お疲れさまです。

ボクは明日から夏休みを頂戴します。
といっても病院通いです。
明日は立会川の呼吸器の先生のところ。それから青物横丁の内科を受診。土曜日は、慈恵医大の腎臓内科。13:30に予約をしてあるので、12:30には行って順番をとらなきゃ。それから放射線科。病院行くと半日から一日かかりの大仕事。血液検査が待っている。昨日まで不摂生していたので今日から3日間酒を抜こう。腎臓はクレアチニンの数値が悪い。通常なヒトの二倍の数値。これは抗がん剤の副作用によるものだけど、なかなか落ちてくれない。塩分控えめとか積極的に努力しているつもりなんだけど、一向に減らない。今回の数値もかなり悪いに違いない。体重も増えたし、中性脂肪など全般的に数値も悪いだろう。次回9月に向けて更なる努力が必要だ。

それが終了したら、オスロに行ってきます。
オスロ・ジャズ・フェスティヴァルに招待されました。オスロに行くのは2001年からだから16年ぶりということになる。

カーリン・クローグ&スティーブ・キューン&ジョン・サーマンのステージが楽しみ。ヘルゲ・リエンにも会ってくる予定。ちなみに今日のオスロの気温は14度だって。3年前7月のストックホルムが以外に寒くて、ダウンジャケットを買ってしまったことあるけど、今回もそれくらいは持参しなきゃ。
でも日差しは非常に強いので晴れたら、気持ちの良い夏になるハズ。

では今日の一枚。

4週間くらい前にギドン・ヌネスから送られてきた新作。
カバーは藤岡宇央さんのイラストです。内容にぴったりと寄り添います。ギドンはますます、古典的なハード・バップの世界にのめり込んでいきます。それがボクは気に入っています。
もう28回鑑賞してきて一番は、On A Clear Dayですよ。こんなスローでじっくりと聴かされたら誰だって参るのでは、はかないピアノもいいね。
Fifth Imageはギドンのオリジナル曲、テーマメロディーに魅かれたですよ。
その次の曲もオリジナル曲。暗い印象の曲だけど、これが良かった。では。


 



約2ヵ月遅れての発売となりました。遅れて申し訳ありませんでした。
6月の発売日あたりには「書店に並んでいないようだけど」と心配のご連絡もいただきまして、ありがとうございました。
またこのコラムも1月に再開したとたんにしばらく休止とさせていただきました。今日はその顛末をここに書かせていただきます。

昨年12月13日ポーランド大使館にて、前号の発売記念イベントをやらせていただきました。
その時には、まだ異変はなかったのですが。しかし1週間後、声が嗄れているよ、と女房が言うので近所の医者に行く。ちょっと診て、「大学病院を紹介するから」と言われたものの、年末年始にかまけて行かずじまい。
そうこうしているうちに4週間がたって、ますます声がひどくなる。かすれた声で「ハイボールね」と注文したら、「ひどい声ですね、こんなところで飲んでいる場合じゃないんじゃないですか」と言われて、それもそうだなと考える。
流石にやばいかなと思って、また近所の医者へ。医者はすぐに「紹介状」を書いてくれて、すぐにでも行くようにと。すぐに行った慈恵医大の耳鼻咽喉科では、すぐに喉の細胞を摂取{生検}。1週間後に結果発表するとのこと。

1月27日金曜日午後5時。

診察室入る前には、この診察終わったら田町の駒八本店で一杯やっていくかなと楽しいことを考えていた。けど、やけに重苦しい診察室の空気。「軽い喉の炎症などではなかったのかな」という思い。

「喉頭がんです。ステージ3です。つんくと同じ病状です」と何の抑揚もなく告げられた。

果たして、ボクの頭が真っ白になったのかどうか忘れたが、診察椅子から落ちそうにはなった。

「今日から煙草、お酒はいっさいやめてください」と言われた。
そういうことなら、さっきの上島珈琲店でもう何本か吸っておけばよかったな。でもそれを機会にすっぱりやめた。

「一週間あげるから、治療方法を考えてきてください」と素人に玄人の医師が、治療方法について丸投げするのが、がん治療である、とあとで本で読んだ。
ボクにも1手術しますか2放射線治療と抗がん剤の二本立てでやりますか、と迫ってきた。
1の場合、声を喪失します、つらいですよね。
2はある意味手術よりタフな治療になります、という。
タフという意味は、抗がん剤の副作用による吐き気、倦怠感のことで実際つらい。放射線治療による喉の痛みも激しい。食事の際には、医療用モルヒネのちからを借りて痛みを緩和して摂る。そのモルヒネの副作用に便秘というのがあり、それもまたつらい。倦怠感で寝てばかりいるからカラダの節々が痛い。とタフな治療になるのだ。つまり手術でなくて薬物治療を選んだ。セスプラチンを3週間ごとに3回、点滴で投与される。プラチナ系の毒なので、ホントにつらい。放射線治療は、週5回の7週間連続35回投射でがんを退治していく。毎週喉からその細胞が根絶されてゆく様子をカメラで見るのが楽しみだった。

ということで5月のゴールデンウィーク明け頃より職場に復帰。編集を再開したのでありました。まだ、万全な体調ではないので、だましだましの作業でやっております。

遅くなりました。次号もすぐに取りかかります。今後ともよろしくおつきあいください。
 


JAZZ PERSPECTIVE
VOL.14/ ジャズ・パースペクティヴ



特集: デンマーク / ルクセンブルク・ジャズ
○ラズウェル細木の「ラズウェル・コンサルティング」好評連載第二回目
○世界をまたにかけて活躍中の山中千尋のジャズ喫茶極道烈伝は都営三田線白山駅にある老舗ジャズ喫茶「映画館」
○大坂で無料情報誌「WAY OUT WEST」を発刊する藤岡宇央のエッセイ第二弾「デンマークのデザイン」
○今年、国交樹立150周年を迎えたデンマークのジャズと密かにアツい視線が注がれているルクセンブルクのジャズを特集
○杉田宏樹氏現地取材と編集長の緊急コペンハーゲン&ルクセンブルクの現地取材記事

 

特集1: デンマーク・ジャズ
デンマークデザインに魅せられてジャズにハマった私 米山葉子
デンマーク現地レポート 杉田宏樹
Steeple Chase物語 ニルスウィンターという人物と 杉田宏樹
Copenhagen Jazz Festival ポスター 全部掲載します
デンマークジャズの祭典Opposite 2017レポート 杉田宏樹
ニルス・ラン・ドーキー インタビュー
メッテ・ラスムセン インタビュー
デンマークを知るオススメCD40枚
デンマーク雑感~デンマークデザインとジャズ 山本隆

特集2: ルクセンブルク・ジャズ
ミシェル・ルイス 松永誠一郎
パスカル・シューマッハ 松永誠一郎
フライド・プライド 杉田宏樹
ルクセンブルクのジャズを知る16枚 杉田宏樹
ルクセンブルク滞在記 杉田宏樹

ジャズレコードコレクター訪問
今回は、今世界で注目されている発掘男、「ジャズ界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つプロデューサー、ゼブ・フェルドマン氏の登場です。
ジャズ喫茶極道烈伝
「映画館」という名のジャズ喫茶。老舗です。
ジャズ喫茶マッチ誌上展覧会
『昭和・東京・ジャズ喫茶 昭和JAZZ文化考現学』の著者、シュートアロー氏が所有するマッチコレクションの誌上展。氏によるマニアックな解説もためになる。
廃盤座談会
今回は特集にちなんで、「デンマークのレアなレコード」をご紹介します。

【連載コラム】
ジャズとワインのおいしい関係
錆びない映画
EP 特集 イタリアの大コレクター マルコ・パッチのコレクションからレア盤誌上展
ジャズのある風景 山中千尋
モノラル者がゆく 大塚康之
ブルーノートなモノ、ヒト、コト 行方均
Jazz放言主義(寺島靖国)
ジャズの深部を軽快に描く良質な歴史書{今井正弘}
A Day in The Audio Life(田中伊佐資)
ポーランドのジャズフェスで出会った旬の若手たち 鮮度抜群の地物アーティストを現地で収穫するという醍醐味(オラシオ)
カスピ海のほとりにきらめいている独特のジャズ・ピアノfeat. アゼルバイジャンのムガム・ジャズ{岡島豊樹}
メガネ事件簿 渡辺康蔵
連載漫画(橋本孤蔵)

【JP的 Disc Review】
杉田宏樹 河内周二 神尾孝弥 広瀬毅 早川公規 深堀清次 大塚広子 島田奈央子 柳楽光隆 原雅明 中村智昭 山本勇樹 松林弘樹 山本隆
B5 / 152ページ / 並製

2017.02.02

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2017 Fed.


GLERUM OMNIBUS / グレールム・オムニバス / Handful
エルンスト・グレールムの最新作。『Omnibus One』の発売が2007年だったので今年で10周年ということになる。エルンストと初めて会ったのは、アムステルダムの新しくなったビムハウスでだった、2005年のことだ。ハン・ベニンク、ミケル・ボルストラップでのピアノトリオを鑑賞した。その後仲良くなって、彼の自主レーベル「Favorite」を輸入するようになったのだった。オムニバスと題された作品は、ピアノトリオファンを中心に大きな賛辞をもって迎えられた。その後もちょこちょことリリースをしている。でこれが最新作。ピアノとドラムにはオランダの若手を今回、起用しているところが今までとの違いかな。音楽的には、なんとなく『Ominibus One』、『Ominibus Two』に近いような雰囲気を感じる。たかだか10年なのにグレールムのサウンドというのが、ひとつのジャンルになっていて(あ、ボク個人の感想です)、聴いていてとても懐かしいような気分になる。昔「ガッツと哀愁」なんて形容したけど、まあそんな感じかな。8の「Cry Me A River」とかがその象徴かな。お知らせ。個人的身体的な事情により、しばらくこのコーナーの更新ができなくなりました。最近再開を果たしたばかりで恐縮ですが、また初夏にはお会いしましょう。お元気で。

エルンスト・グレーラムと一緒に

ミケル・ボルストラップと一緒に

ハン・ベニンク、ミケル、エルンストのトリオ。於:ビムハウス

2017.01.27

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2017 Jan.

WARNE MARSH / ウォーン・マーシュ / ウォーン・マーシュ
このレコードを見つけたのは、明治大学(和泉校舎)の中古レコード催事コーナーだったか。ワーナーの国内盤の中古で千円くらいだった。ボクのバイトしていたマイルスには、このレコードがなかったので、どうしても聴いてみたかったのだ。「Tシャツのウォーン・マーシュ」と勝手に命名してさがしていたのだ。インペリアルの『Jazz Of Two Cities』もさがしていたけどなかったね。で「Tシャツのウォーン・マーシュ」を入手した日、嬉しくて嬉しくて、当時のジャズ研の連中に「見つけたよ」と自慢しまくった。それで飲み過ぎた。結果タクシーの中に置き忘れてしまい、しょんぼりした、という話。今でもそうだけど、ウォーン・マーシュは昔から好き、結構上位の好きに分類される。ほっとするというか安心感を与えてくれるのだね。このレコードの編成はふたつに分かれている。ポール・チェンバース+ロニー・ボール+フィリー・ジョー・ジョーンズのカルテットで演奏されているのが、「トゥー・クロース・フォー・コンフォート」と「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」。でその他の曲がポール・チェンバース+ポール・モチアンでのトリオ演奏となる。ウォーン・マーシュの拍子抜けしたようなほんわかとした浮遊感漂う音色を堪能するなら、トリオ演奏ということになる、と思う。ブルーノートを代表してニューヨークから参加したポール・チェンバース。ビル・エヴァンスのトリオを代表して参加したポール・モチアン。この二人の天才的なバックアップが、孤高のクールネスをより顕著に発揮させることに成功した一枚。より魅力がわかる「ジャスト・スクィーズ・ミー」、「マイ・メランコリー・ベイビー」を推す。


IGOR BUTMAN / イゴール・ブットマン / Golden Sunray
一昨年の9月にロシアへ行ってきた。出張とかではなくて純粋な観光。入国するのにロシア大使館へヴィザの申請をしなくちゃいけないのは面倒だったけど、JALで10万円という比較的安価な航空券で行けたのは良かった。何十年も行きたいと切望していたサンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館。あんな川沿いの立地なんだと妙に感激した。モスクワでは、クレムリンとかモスクワ大学などの建築物を見て回ったり。グゥム百貨店というのがおそろしく近代的なのにも驚いた。ある夜、ロシアの知り合いがイゴール・ブットマン・ジャズハウスに連れて行ってくれた。サックス奏者のあのイゴール・ブットマンのライブハウスだ。イゴールとは数年前にカンヌで会ったことがあって、「ボクを憶えているか?」と言ったらもちろん、と言ってくれた。かなり酔っぱらっていたようにも見えたのでホントかどうかわからない。その酔っぱらったイメージが脳裡にやきついた。それでこのCDは昨年のブレーメンでもらってきたもので、ようやく入荷してきた。まあ、いいんだよね、凄く。オーソドックスなテナー好きの人なら、気に入るだろう。もちろん酔ってはいないぞ。ピアノを弾くOleg Akkuratovという若者は歌もうたい、これがまた超クール、あ、ピアノもとってもいいけど。何曲かで披露している。録音はニューヨークのアバタ・スタジオ、2016年。



ENRICO PIERANUNZI / エンリコ・ピエラヌンツィ / Menage a Trois
昨年の暮れに入荷してたちまち売り切れ。今現在一時的に品切れになっているモノ。なんかエンリコ・ピエラヌンチの魅力が全開!という気持ちだ。メンバーを見るとドラムがアンドレ・チェカレリだと。アンドレは、『Seaward』の時のドラムだ。十数年前こればっかりに夢中になっており、エンリコといえばアンドレという図式が成立しているボク的に。もちろん『Kingdom』のアレックス・リールのキレッキレもいいんだけど。浮遊感というか自然にエンリコに絡んでくるのが心地よい。実際、1からノリノリの演奏で、わくわくし通しだ。早速文章を書き始めたのだが在庫がないという、在庫ないなら紹介できないな、残念だなと思っていたら、冒頭で書いたが間もなく入るというのではやり書き始めたわけ。エンリコ・ピエラヌンチの相手としてはこのアンドレ・チェカレリのドラムがピッタリと来るな、やっぱり。あと曲も素晴らしい。マスタリングは知る人は知っているステファノ・アメリ、といのもいい。ベースのDiego Imbertはあまりよく知らないけど、聴いているとHein Van De Geynのようにエンリコとの相性の良さを感じたね。至福の時間を共有しますか。



YOSUKE INOUE / 井上陽介 / GOOD TIME AGAIN!
1月4日新宿ジャズ館。アムステルダムから来ていたトランペット奏者、ギドン・ヌネス・ヴァルスのインストア・ライブがあった。実はアムステルダムのレコード店でのインストア・ライブも盛ん。コンチェルトという新品も中古も全ジャンルで客の要望に対応しているレコード店があって土曜日の午後なんかに行くと、100人単位のお客さんでごったがえしている繁盛店。ある時、インストア・ライブの現場に遭遇したけど、それはそれはものすごい観客でなんかすごい、という感じ。それで、新宿ジャズ館でのインストア。急な話ではあったが、対戦相手として井上陽介さんにお願いした。ふたつ返事で即了解を得た。このトランペットとベースのデュオ演奏は、無料ライブとは思えないクオリティの高い演奏で、満員のお客さんも大満足の様子だった。井上さんの超絶技巧細かいテクニックプレイがさく裂で感動してしまった。その井上さんの新作がコレだ。非常に聴きやすい、親しみ感マンテンの内容だ。大好きな「Close To You」も超気持ちいい演奏。CDのキャッチ・コピーに「今、アコースティック・ベースでここまで表現できるベーシストは、他にいない」と書いてあるけど、そうかもしれない。存在感バツグン、主張するベース、歌うベース。ボクの中で敬愛するオスカー・ペティフォード彷彿させてくれる貴重なアーティスト、素晴らしい。



MICHEL REIS / ミシェル・レイス / Capturing This Moment
ミシェル・レイスの2015年のカルテット作品。ちょっと前のものになるが、最近になって気がついた。昨年11月に初めてルクセンブルクに行ってきた。ベルギー、フランス、ドイツに隣接する小さな国。今までに行ったヨーロッパのどの都市とも趣を異にする雰囲気ある国だと思った。ジャズのミーティングに参加してきて、ルクセンブルクのジャズシーンを少し垣間見てきたのだ。その際にレイスのCDを聴いたのだった。レイスは2014年、2016年と来日してコンサートを数か所でやっており、既に日本で彼を賞讃するファンも多い、ときいて少し焦っている。そういえば、2014年フランスの「ラボリエ」というレーベルから、『Reis | Demuth | Wiltgen』という作品が出ているな、と思い出した。このレーベルを主宰するジャン・ミシェル・レゴニーと数年前、ブレーメンで会った時、ルクセンブルクで凄いピアニストを見つけて録音したよ、と言っていたのを思い出した。そうかそうか彼だったか。確かにいい。ジャン・ミシェルはシャイ・マエストロを紹介したプロデューサーでもあるので納得度が高い。この作品はソプラノサックスを擁したコンテンポラリーな雰囲気。これが結構いける。



MAKI NAKANO / 仲野麻紀 / 旅する音楽-サックス奏者と音の経験
旅するのが好きだ。というかボクのは「旅」という概念とは違い、単に飛行機に乗って外国へ訪問しているだけの「移動」にすぎない。ほぼ出張だけど嫌いではない。年に5回か6回ロシア上空を往復している。ボクには沢木耕太郎の『深夜特急』みたいな無銭旅行的な旅はできない。何日間もクッションのきかないバスに乗って移動したりはできない、無理だ。でも最近興味を持ち始めている。所持金6千円だけで日本を飛び出して路上ライブで稼ぎ世界中を旅したという35歳の若者の本も読んだりして、「ボクには無理だな」と思いながら楽しんでいる。ブルキナファソという国の名前を知ったのは、著者の仲野麻紀さんと東京小川町の居酒屋で飲んでいた時だった。地図で見ると中央アフリカのナイジェリアとかセネガルに隣接している国だ。仲野さんは世界中の演奏家と演奏をしていて、そこの楽士8名(カバコ)を日本に連れてきて演奏をすることにしたのだと。それがなかなかの冒険談で面白くきかせてもらったのだが、これが痛快。もうヴィザだら、そもそもパスポートの申請だら、いろいろ彼女が頑張ったのだという。そのくだりも掲載されており興味をひく。もうボクが一度も足を踏み入れないだろうなぁという国へ赴き演奏し、そしてそれを日本へ紹介する。そんな国家事業を彼女は実践している。「旅」する音楽、これはその記録である。


JACOB CHRISTOFFERSEN / ヤコブ・クリストファーセン / We Want You / ウィー・ウォント・ユー
ヤコブ・クリストファーソンのピアノトリオ作品を聴いている。結構好みのピアノ。今回ベースはラーシュ・ヤンソンのトリオでおなじみのトーマス・フォネスベック。存在感のあるベースがいい感じ。何年か前にラーシュ・ヤンソンさんが拙宅へワインを飲みに来た時、彼とも一緒に飲んだなぁ。ドラムのゾルターン・チャースはハンガリー生まれでスウェーデンに住んでいる。はやり何年か前、ストックホルムのファッシングでヤン・ラングレンのトリオ演奏を観た時のドラムが彼だった。ロックからジャズまで幅広くまかなえるヴァーサタイルなドラム。シーネ・エイとヤコブは何度か日本に来ていますね。



SLAWEK JASKULKE / スワヴェク・ヤスクーケ / 夢の中へ
2016年12月13日ポーランド大使館にて、JAZZPERSPECTIVE VOL13「ポーランド特集」の発売記念パーティーが行われた。今回は、ポーランド文化センター所長を永年務められた「マルタ・カルシさんお別れ会」という意味合いもあり、大使館にて招待制にて執り行われたのだった。マルタさんが誰かポーランドからピアニストを呼びましょうか、その方が一層華やかになるから、と言っていたのが11月の下旬くらいだったろうか、急きょヤスクウケの来日が決まった。そのイベント当日は、ボクのポーランド訪問話、オラシオさんのコメダ講演のあと彼のソロコンサートが始まった。来場者の多くは彼の演奏を聴いたのは初めてだったと思うが、いっぺんで彼の本質に魅了されたようだった。美しいメロディを紡いでいく彼の手もとを皆食い入るように見つめていた。ボクも最前列で聴いていたわけで、その美しさに徹底的に魅了された。そのヤスクウケの最新のソロ作品がコレ。今日は朝っぱらから集中鑑賞中なのだが、これが気持ちよすぎてやばい。うっかりしていたら眠くなる官能的な内容。あぶないあぶない。


DAG ARNESEN / ダグ・アルネセン / Pentagon Tapes
ダグ・アルネセンの新作ということで聴いてみた。ダグといえば今から十数年前に『ムーヴィン』という1994年録音盤がありピアノトリオのファンに随分と届けた思い出がある。またその10年後、『Time Enough』というのがあって、それも当時のスウィング・ジャーナルで担当していた「輸入盤ワールド」というコーナーで紹介、ユニオンの他のジャズ担当者も一丸となって推選したものだ。それ以降もこのレーベルから継続的に発売されている息の長いトリオだ。ダグのオリジナル曲が相変わらずによくって引き込まれてしまう。とりわけ8は好きな曲調で今回では一番繰り返し聴いた。どこかに「サブリミナル効果」が仕組まれていたのか、すぐさま、パット・メセニーの『Still Life Talking』にとびついた。

2016.02.02

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2016 Feb.

ARATAKE YUICHIRO / 荒武裕一朗 / TIME FOR A CHANGE / タイム・フォー・ア・チェンジ

懐かしい人からメールを頂戴した。前回が2013年だから3年ぶりだ。というかボクは、荒武さんと会ったのは結局一度か二度、それも15年も前になる。MusicBirdの番組「Jaaz In The World」のゲストで来てもらった時だ。『I dig it』という彼の作品を聴いて、「出てくれませんか」と誘ったのだった。それ以来、新作が出るごとに連絡を頂戴している。一昨日のメールなのに、今日もうCDが届いた、意気込みを感じる。発売記念公演のチラシもいただいた。ツアーは2月5日から5月1日までの長丁場のようだ。そこにこんなことが書いてあった。「ピアノをやめようと考えていた」、えっ何があったというのだろうか、荒武さんに。急に心配となった。また昔のような大怪我やっちゃったか?しかしそのすぐあとに「そんな思いから解放してくれたのが、本田珠也と三嶋大輝の二人だった」と書いてある。今回のメンバーである二人だ。しかしそれだけで、何があったかも記されてはおらず謎は謎のままだ。しばらく考えてみた。これはもしかしたら、それを理解したければ作品を聴いて欲しい、ライブを観て欲しい、というメッセージなのかもしれない、なと思った。ディブ・ベイリーの『バッシュ』のライナーが、「Listen!」という一文だけなのはかっこよすぎるが、そんなところだろう。スタンダードとオリジナル曲、本田竹広作曲のものなどがバランスよく配置されている。聴くとどこか懐かしさを感じる彼のスタイル。特に6曲目が素晴らしい。今、35年前ジャズを貪り聴いた頃の心情にタイムスリップ中ですよ。曲により橋本信二さん(ボク好きなんです)のギター入ります。(山本隆)

2016.01.05

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2016 Jan.

RUNE OFWERMAN / ルネ・オファーマン / Finest Piano Spices(CD+DVD)

ルネ・オファーマンは1932年生まれ。2013年12月に他界した。この作品は、ルネの盟友Gazellレーベルのドッグがルネの功績を讃えて作ったアンソロジーである。ルネは、10代の時に、チャーリー・パーカーがストックホルムに来た際、「ほんの2メートル」の距離でその演奏を見ている。1950年12月号の『オルケスタル・ジャナレーン』(スウェーデンのジャズ雑誌)18ページを見ると、その時の写真が掲載されている。スーツに身を包んだ若者が熱心に聴いている。その中の一人がルネなんだそうだ。それ以降彼はジャズにのめり込むことになる。1952年からプロ活動を始めた。RCA, GazellにLP、EPの作品がある。ボクが、最初にルネの自宅を訪問したのが、2005年11月だった。とにかく茶目っ気たっぷり、ユーモアの連続で楽しいおじいちゃんと思った。とてもスウェーデンジャズ界の一線で50年以上戦ってきた人には思えなかった。ガムラスタンの「将軍」という日本料理屋へ連れて行ってもらい天麩羅定食と日本酒をご馳走になった。その時に、「モニカ・ゼタールンドが住んでいたのは、あそこだよ」と教えてくれたのも彼だった。以来、毎年のように10数回会ってきて、ボクの中では<スウェーデンのおじいちゃん>的な存在であった。本当、訃報を目にした時はボーゼンとなった。このCDで特筆するべきは、6曲目の「Reets And I」だ。これバルネ・ウィランが参加しているんだよね。1957年、バルネはストックホルムに行っている。それは、『オルケスタル・ジャナレーン』1957年3月号の12ページ目に載っている(写真参照)。そしてメトロノームのスタジオ(たしか)に遊びに来た際にジャムセッションをした。それを録音していた。バルネは、フランスのレーベルと当時契約があったので簡単にリリースすることはできないし、曲も3曲と少なかった。でもミュージシャン、エンジニアの人数分(ほんとに数枚だけ)アセテート盤を作って記念にした。それが何十年もして、その内の何枚かが市場に出た。数十万円の高値がついた。ボクもルネの自宅で見たことがある。とにかくその曲が素晴らしい。当時バルネは絶頂期であったが、それが惜しみなく体現されていた。そういう曲だ。是非聴いてもらいたい。(山本隆)


 


LARS LYSTEDT / ラース・リーステット / Fanfar!(10")

これはすごい復刻。廃盤セールとかでもなかなか出てこない。所有している人は相当なコレクターだろう。日本のジャズ喫茶でこれを所蔵しているなんていうところがあったら、おそらく二軒くらいは持っているかもしれないけど、賞讃に値するだろう。音は完全に「ジャズ喫茶名盤なんだけどね。ボクはこのレコードの存在は知っていたけど、見たことはなかった。初めて聴いたのは10年前、ストックホルムのヨナス・カルハマーの自宅、地下のレコードルームで、だった。ヨナスはフリー系のレコードをたくさん持っていたけど「へえっ、こんなのも所有しているんだ、さすがスウェーデン本場」と感激し、そして聴かせてもらった。最初の曲、エゲルブラダのピアノが印象的。「あれ、この感じどこかで聴いたな」と思い、アタマの中のコレクションにリファレンスすると、ありました、ありました。ジェイ・ジェイ・ジョンソンのコロムビア盤『J.J.INC』に収録されている「シャッターバッグ」という曲にとても似ている(ピアノはシダー・ウォルトンね)。発売は1961年だ。そしてこの『FANFAR!』、録音は1962年。その「シャッターバック」を発売してすぐにアメリカから輸入して聴いたとは思えないので、偶然似ている感じになったのだろう。いい曲。リーダーのラッセは同じくトロンボーン奏者だし。ピアノはベント・エゲルブラダ、名盤『スキゾ』の2年前の録音にあたる。



V.A.(BORN FREE) / Born Free. The 12th German Jazz Festival (9CD)

1970年3月21日と22日の二日間、フランクフルトのコンサートホール(3月のフランクフルト、野外だと寒くて聴いていられないし)で開催されたGerman Jazz Festivalの模様を収録したCDで9枚組。この作品のオリジナル盤は3枚組のLPであった。レコードの場合、片面だいたい25分前後だから、150分(2時間半)くらいの収録だった。それがこのCDには、その4倍も収録されている。LPの場合、1アーティスト、1曲程度の収録であった。それが、フルに30分とか40分とか収められているから驚きだ。ほとんどが、初登場の曲と言ってもいいだろう。聴きごたえがあるというか。実際全部を聴き終えて、聴きごたえを感じたというか、当時の凄まじい息吹を感じとることができたと思う。
※聴いてみてわかったのですが、ブックレットに記載されているトラック表示と、CDとかに表示される内容が異なっているディスクも何枚かあるようでした。ブックレットには、何曲かを、まとめて表記しているような感じです。しかしながら、ディスク3のフィル・ウッズの演奏は、「ジョシュア」で終っております。ブックレットには「ザ・ミーティング」という曲も表記されていて、「この曲はどこにあるのだろう」という疑問はあるのですが、一応お知らせしておきます。

各CDに収められられているグループの概要は下記に記す。
CD 1
The German Jazz Festival Big Band (34:15)
Dave Pike Set (32:51)
CD 2
Albert Mangelsdorff Quartett (30:57)
Wolfgang Dauner-Radio Jazz Group Stuttgart (46:06)
CD 3
Karin Krog And Her Friends (12:47)
Phil Woods & His European Rhythm Machine (41:41)
CD 4
Klaus Doldinger Quartet  (27:40)
Frederic Rabold Crew (31:00)
Jazzworkers (7:28)
CD 5
Frankfurter Trio For Improvisation (22:32)
Just Music (28:21)
Modern Jazz Quintet Karisruhe (26:52)
CD 6
Free Jazz Group Wiesbaden (34:20)
Limbus 4 (27:53)
CD 7
Peter Brotzmann Group (38:40)
Manfred Schoof New Jazz Trio (24:11)
CD 8
Alexander Von Schlippenbach (28:09)
Pierre Favre Group (27:08)
Joachim Kuhn Group + Rolf Kuhn (24:30)
CD 9
Gunter Hampel Group (28:44)
Wolfgang Dauner Group +European Free jazz Orchestra Of The Art Ensemble Of Chicago (37:04)
 


V.A.(OSCAR WITH LOVE) / Oscar With Love(DELUXE EDITION) V.A.(OSCAR WITH LOVE) / Oscar With Love(STANDARD EDITION)

最近行われた小曽根さんのコンサートで、このCDの紹介があったらしい。それを耳にした聴衆の多くは、日本のレコード店に駆け付けたわけですが、誰もその存在を知らない。よって「何なんだろう」と訝っていた音楽ファンの方が多かった、ときいている。ようやく入荷しました。昨年7月にリリースの発表があり、カナダで発売となったのが、11月。それから2ヵ月ほどして日本にもやってきました。これは、オスカー・ピーターソンの未亡人ケリーさんが一人で奮闘して作ったもので、何かと時間を要したのだ。内容は、オスカーのスタジオにあるオスカーのピアノを弾いてレコーディングされた音源というもの。出演者は、Monty Alexander, Lance Anderson, Kenny Barron, Robi Botos, Bill Charlap, Gerald Clayton, Chick Corea, Benny Green, Hiromi, Oliver Jones, Justin Kauflin, Michel Legrand, Ramsey Lewis, Audrey Morris, Makoto Ozone and Renee Rosnes.だいたいソロ演奏が中心。CD3枚組のスタンダード版とブックレットやボーナスダウンロードなどがついているデラックス版の2種類が入荷してきた。現在、webサイトで申し込んだ人以外、お店で買えるのは現在ここだけです。(山本隆)




MODBOE/ERIKSEN/HALLE / THE SPACE BETWEEN

昨日から仕事。早速2016年一番のオススメを見つけた。年末、ノルウェーから届いたCDだ。これに感動した。ギター、ピアノ、トランペットという編成。ピアノのEspen Eriksenは、5年前の5月28日に発売されたYou had me at goodbyeのピアニストで、その美しい叙情性にノックアウトされた人は、あああれかぁと脳裏にジャケットと叙情性を思い起こすことだろう。また寺島靖国JAZZBAR2015の8曲目に採択された人物でもある。トランペットのGunnar Halleは、シゼルストームのSwedish Lullaby 参加していた叙情トランペットの人だ(と勝手に叙情派にしてしまった。同じノルウェーのトーレ・ヨハンセン的な雰囲気をもつ。ギターのハフトール・メドボーはノルウェー生まれのエジンバラ育ち、叙情性ギターの人だ。不思議なサウンドの混合体に、酔いしれております。なおジャケの写真家は、Kjersti Holstさん(女性)。動物、野鳥などを主に撮影している自然派のカメラマン。この海にかかる長―いブリッジのショットも叙情的。見ながら聴いていると幻想的な雰囲気に没入できるようだ。

2015.12.01

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2015 Dec.

AL HAIG / アル・ヘイグ / On Period / オン・ピリオド
これはもともとアンリ・ルノーのオーガナイズで、フランスSwing(ヴォーグ)がオリジナル盤の音源、その後アメリカPeriodからの発売となった。日本では、先ほども触れた東宝レコードの『A Day In Paris』の片面で最初発売となった。もう片面は、ジョージ・ウォリントンで当時は売れたのかどうかは知らないけど、とんでもない名演奏のピアノトリオがダブルで聴けちゃうわけだから、お買い得であったと思う。ボクも最初に聴いた時激しい衝撃を受けて随分と貪り聴いたものだ。ジョージ・ウォリントンも好きだったし。でやっぱり、アル・ヘイグの「Just One Of Those Things」が圧巻であった。この曲は当時としては、アート・テイタムの演奏を聴くべし、みたいなことをジャズ喫茶の怖いお兄さんに言われたものだが、ボクはだんぜんこちらだった。垢抜けた感じがした。(山本隆)



AL HAIG / アル・ヘイグ / JAZZ WILL O THE WISP / ジャズ・ウィル・オー・ザ・ウィスプ

アル・ヘイグの『ジャズ・ウィル・オー・ザ・ウィスプ』だ。もう何回か出てはいるが、今回はヴィーナスのハイパーマグナム・サウンドによるアナログ盤180g重量盤。迫力あるサウンドで体感してみるのもいいだろう。ボクはアル・ヘイグが好きで、ことあるごとに騒いでいる。最近騒いだのは『チェルシー・ブリッジ』が再発された時だったな。ジャズ聴き始めのころよりアル・ヘイグは好きだ。スタン・ゲッツのルースト盤に参加しているアル・ヘイグを聴いて、「ウォーっ」となった。その3年後、今度は当時国内東宝から出ていたジョージ・ウォリントンとのカップリング盤『A Day In Paris』というヴォーグ(スウィング)音源。「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」が絶品だった。そしてジャズファンの大体の人が感銘を受ける『Invitation』に夢中になってゆくわけだ。で他になんかないかなぁ、と当時バイトしていたジャズ喫茶のレコード棚をサクサク捜していたら、コロムビアからの再発盤『ジャズ・ウィル・オー・ザ・ウィスプ』(HR102)を見つけた。草むら風(?)のジャケのほうだ。「風と共に去りぬ」とか「マイ・オールド・フレイム」などの軽妙洒脱な雰囲気にノックアウトされたのだ。当時はそのレコードが「お気に入り」となって1年間に100回以上は聴いただろうか。これは1954年の録音で、最初は、エソテリック・レーベルから10インチ盤として発売された。その後カウンターポイント・レーベルから曲も増やして12インチLPとして発売、それがコロムビアからの再発盤だ。しかしその後、「いやいや、これはエソテリック盤という10インチがあってね」なんていう話が一般的になり、またそちらのジャケのほうが断然いいじゃないか、ということでいつの頃からか、『ジャズ・ウィル・オー・ザ・ウィスプ』、日本ではエソテリックのジャケで出るようになったのだ。心に沁みる絶対的ピアノトリオの傑作だね。(山本隆)



ENRICO PIERANUNZI / エンリコ・ピエラヌンツィ / Tales from the Unexpected (Live at Theater Gütersloh)


なんかボクの好きなタイプの演奏に終始したエンリコを久しぶりに聴いた気分。かつて朝、昼、晩、そして朝と徹頭徹尾徹夜でエンリコ・ピエラヌンチ鑑賞を敢行していた2000年頃を思い出した。数々の名作があったけど、『Seaward』は忘れない一作。アンドレ・チェカレリ、へイン・ヴァン・ダーガインでのトリオだった。この作品のドラムもアンドレなので、そういう気持ちが高まったのかもしれない。よく見ると全編ライヴ。ドイツのギュータースローという地方都市にあるいい感じのホールでのライヴ。この街は、ペルテルスマン(BMG)の本社があるということで有名で、オペラコンクールなども開催しているようだ。また、今作品は、ドイツのジャズ雑誌「JazzThing」の企画European Jazz Legendsを体現したステージ、それをIntutionがリリースしたということ。長年のCam Jazz体制からの作品からは趣を異にするようだ。(山本隆)




BARBRA LICA / バーブラ・リカ / Christmas Present



今日から12月、早いもので今年もあと30日だ。今年2015年大活躍だった、と個人的に思っているバーブラ・リカのクリスマスソング集だ。丁度これボクがトロントに行っていた8月の下旬にレコーディングをしていたもので、いい感じのタイミングで入荷してくる。ジャケもいいじゃないか。曲もベタベタなクリスマスって感じでもなくさりげない。そうそう、「さりげない」って単語が好きで、昔地元高岡に「さりげなく」という喫茶店があって、「ああ、いい店名だなぁ」と思ったことがある。まだあるのか知らないけど。というわけで、さりげない雰囲気はバーブラ・リカにぴったりとくるイメージ。昔のジョニー・ソマーズのような聡明さを感じるね。今年は、バーブラさん、東京ジャズの地上広場で歌ったり、各種媒体に出たりといっぺんで大きな存在の一角に躍り出てきた感じでこれからも楽しみな存在。JAZZPERSPECTIVE vol.11の表紙にも登場してもらったし。今年のクリスマスはこれで、というか12月には、こんなさりげないクリスマス集なぞを聴きながら、安らかに過ごしたいものだ。(山本隆)



JUDY BAILEY / ジュディ・ベイリー / You & The Night & The Music(LP)
JUDY BAILEY ジュディ・ベイリー

ドイツのBe!JazzRecordsがまたレア盤の復刻。15年ほど前だったかに大騒ぎをしていたジュディー・ベイリーのピアノトリオ作品。オーストラリアのコロンビアには、もう一枚『My Favourite Things』というレコードがあってそちらは、クィンテットの演奏も収録されている。ジャケはそちらのほうが清楚で魅力的だと個人的には思っている。ま、とにかく彼女の初期作品の復刻は初めてなのでジャズファンには朗報だろう。昔は15万円とかしていたのでおいそれとは鑑賞できなかった。今あらためて聴いてみると、当時影響をもろに受けていたというビル・エヴァンスの影を随所にみることができる。それが結構さわやかな気持ちで心地よい。知らなかったが、アメリカでも活躍したというベースのLyn Christieの技が効いているいるような気がする。CDとLPで発売だ。尚、この作品は盤おこしと思われ、音的はには良いものではありません。(山本隆)



3 OUT(MIKE NOCK) / Move(LP)
3 OUT(MIKE NOCK)

はじめてこのレコードを見た時はビックリした。マイク・ノックにこのようなレコードがあっただなんて驚愕だ。ジャケの雰囲気が似ているので、ジャック・ヴァン・ポールの『For The Love Of Jazz』を知った時と同等の衝撃を受けた。ま、どうでもいいけど。マイクは最近もオーストラリアの若手ミュージシャンとのレコーディング活動も激しく、11月にリリースされたロジャー・マニンスとのデュオ『Two-Out』も素晴らしかった。あらゆる時代の局面(トランジション)でその第一線のジャズを主導してきたマイク・ノック。初期段階で魅せるこのスタンダードな路線、はやり早い段階から只者ではなかったと思わせるに十分な風格だ。おお、今大好きなメロディが流れてきたぞ。7曲目、ランディ・ウェストンの名作「リトル・ナイルス」、ニクい選曲だ。2002年以来、マイクさんのご自宅には3回お邪魔したことがある。最初に訪問した際に、不躾にもこのレコードをお持ちではないですか、と訊いてはみたが、はやりお持ちではなかった。日本のジャズファンが欲しがっています、と言うと、遠くを見つめるような目で、「ああ、そうなの」的な返事。それは彼にとっては過去の通過点のひとつにすぎないのだろう。恰好いいなぁマイクさん。(山本隆)

2015.06.01

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2015 Jun.


  • ROBERT GLASPER ロバート・グラスパー
  • COVERED / カヴァード

  • ROBERT GLASPER / ロバート・グラスパー / COVERED / カヴァード

    今まで縁がなくて聴いたことないと思う。今回たまたま聴いて驚いた、そして感動した。なんとも美しいのだ。ビューティフルな曲なのだ。若い世代が好む、というかよく知っている曲をピアノ・トリオでやったそうだが、その若い人が好む原曲をそもそも知らないので、よくはわからないけど、ホント全曲いい曲だ。なんならオリジナルの音源を聴いてみようかという気にもなる。たぶん聴かないけど。というかこれを聴いていれば十分だ。こんな気持ちは久しぶり。中学生の時(おいおいもう40年も前だぞ)に激しい音楽などを聴いて、「鳥仇モン」とか「戦慄」とか感じたことがあるけど、まさしくそんな言葉を今使いたい気持ちだ。素晴らしい。感動した。(山本隆)


  • BENNY GREEN ベニー・グリーン
  • Live in Santa Cruz

  • BENNY GREEN / ベニー・グリーン / Live in Santa Cruz

    そういえば久しぶりにちゃんとベニー・グリーンに向き合ったような感じ。うーん、やはり、このような100%軽快でわかりやすいジャズが受けるんだろうな。カルフォルニアの聴衆も大喜びのようだ。1が終わってメンバー紹介して「Thank you so much ladies and gentleman」とか言ってるんだけど、最後に「アリガトゴザイマス」とも言っている。アレ、サンタ・クルーズだよね、日本じゃないよね。ああ、ベニー・グリーンが日本人の客をステージから見つけたんだろうな、と3回聴いて納得した。8の「Bish Bash」はフィニアス・ニューボーンJR.を思わせる超絶タッチで客を沸かせる。フィニアスといえば、色々名盤あるけどボクはハワード・マギー『マギーズ・バック・イン・タウン』での際立つソロ。それからソロ作品では、『Plays Again』(Edizioni Del’isola)で「ニカの夢」が忘れられない。とにかくサンタ・クルーズでのノリノリの演奏にボクも安心した。何も考えないで彼のペースにはまって身を無防備にさらけだしていたい。(山本隆)


  • V.A.(BE! JAZZ)
  • International Holy Hill Jazz Meeting 1969(CD)

  • V.A.(BE! JAZZ) / International Holy Hill Jazz Meeting 1969(CD)

    1969年7月、ハイデルベルクのHeidelberg Thingstatteで行われたライブの模様を収録した。Thingstatteとは野外シアター的なもので、ここは2万人収容できる。この日の観客がどれくらいだったのか不明だが、多くのジャズファンといわけフリージャズファンを沸かせた。そうそうたるメンバーだ。日本では一部のコアなファンを除いては馴染みの浅いレコードであった。ボクも昨年ミュンヘンでこのオリジナルLPを見て、「こんなのあったのか」と思ったもの。それを最近活躍が顕著なBeJazzがレコードで復刻して、それでまたCDでも復刻されたというわけだ。個人的には、最後の曲、JOKI FREUNDの14分くらいの曲がスリリングで気に入っている。(山本隆)


  • DONALD BYRD ドナルド・バード
  • OFF TO THE RACES / オフ・トゥ・ザ・レイシス

  • DONALD BYRD / ドナルド・バード / OFF TO THE RACES / オフ・トゥ・ザ・レイシス

    今はそうでもないけど「Lover Come Bach To Me」という曲が好きな頃があっていろいろなヴァージョンを捜して聴きまくっていた。これはその中でも好きなほうでドナルド・バード、ペッパー・アダムス、ジャッキー・マクリーンが激しいソロを浴びせてくる。ある時、今はもうない神保町のジャズ喫茶「コンボ」でこれをリクエストした。記憶では、いつも大音量でなんでも流れていたような気がする、昼間は。音楽がかかった瞬間あまりにもその音圧というかサウンドのパワーに圧倒されて、それだけ聴いて満足して帰った。33年前のことだけど、これ聴くと思い出す。今一番いいなと思う曲はタイトル曲だな。(山本隆)


  • DEXTER GORDON デクスター・ゴードン
  • DEXTER CALLING / デクスター・コーリング

  • DEXTER GORDON / デクスター・ゴードン / DEXTER CALLING / デクスター・コーリング


    BLUE NOTE THE FINEST 1100の発売作品の中から。間もなくJAZZPERSPECTIVE VOL10が発売される。その中で連載シリーズの「映画音楽への訪問者」というコーナーがある。毎回貴重な映画のポスターのオリジナル版など、惜しげもなく掲載している。そしてその映画に所縁のある音楽ソフトを、これでもかっ!と一気に紹介している。今回は、チャップリンの『モダンタイムス』で音楽は「スマイル」で厳選したタイトルを掲載している。惜しくもそこには掲載されていないが、ここに収録されている最後の曲も「スマイル」で定評のある演奏だ。またボクの大好きな「情事の終わり」が収録されている。アップテンポでデックスらしく一気にまくしたてる。(山本隆)

2015.05.19

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2015 May.

 ROLF KUHN ロルフ・キューン / Re-Union In Berlin


ROLF KUHN / ロルフ・キューン / Re-Union In Berlin(LP)
ROLF KUHN ロルフ・キューン

実は初めて聴いた。オリジナル盤は何度か扱ってきたけど機会がなかった。JazzPerspective vol10が間もなく発売になる。今回は「ドイツのジャズ」の特集で、色々な誌面をこしらえてみた。ヨーロッパジャズに精通されている星野秋男氏には、「ドイツジャズの特殊性」という論文を寄稿いただいて、氏の考えるドイツジャズについて、またオススメの10枚を紹介してもらった。その中でこの作品を絶賛されているので、聴きたいと思っていたところだ。2曲目のバラードが美しくセクシーだ。曲によりアレだけど、3曲目と4曲目にすこぶる痺れた。ボクが聴いた感じだとピアノがセシル・テイラーでベースがブエル・ネイドリンガー、クラリネットがアーチー・シェップ風、つまり『セシル・テイラーの世界』(キャンディッド)のように鮮烈で狂気に満ちた恐ろしいものであった。ボクはそういうのも好きだから大コーフンしてしまった。人により好みはあるとは思うけど。(山本隆)



 ベニー・カーター / ファーザー・ディフィニションズ
 

BENNY CARTER / ベニー・カーター / Further Definitions / ファーザー・ディフィニションズ


ベニー・カーターのレコード最初に買ったのは『Swinging The 20’s』(Contemporary)だった。1曲目の「Thouswell」が当時好きだったし、ベニー・カーターの滑るようななめらかな音色のアルトが好きだった。それからすぐにこの盤に出会った。これはちゃんとメンバーを見ると凄いことになっている。テナーにはチャーリー・ラウズにコールマン・ホーキンスの二人、アルトにはフィル・ウッズとベニー・カーターの二人が参加している。それぞれ特徴のある人だけに、聴いていると「今誰が吹いている」とはっきり分かるので、それぞれの持ち味をリラックスして堪能できる、それが嬉しい部分でもある。最近は「ハニー・サックルローズ」なんて曲には興味がまるでないけれども、1曲目のここでの演奏は、それはそれは素晴らしい。思わず曲の深部に入り込んでしまう。このスウィング感を心行くまで堪能したいものだ、という誘惑に駆られ負けてしまう。ちなみにこの曲のソロ・オーダーは、チャーリー・ラウズ→フィル・ウッズ→コールマン・ホーキンス→ベニー・カーター→チャーリー・ラウズ→フィル・ウッズ→コールマン・ホーキンス→ベニー・カーターそしてアンサンブルということになっている。ご機嫌だなあ。それから2曲目のバラード曲がまた絶品だ。あまりなじみのない曲だけど、ベニー・カーターのセクシーなアルトが味わえる。しかしここでのコールマン・ホーキンスのソロには疑問を感じる、どこか迷いを感じてしまうのだ、ボクだけかもしれないけどそう思うのは。3は有名曲「CrazyRhythm」だ。昔ある作品に入っているコレを聴きすぎてこの曲が嫌いになったという経緯があるんだけど、いやいやこの演奏は素晴らしかった。ジミー・ギャリソンの存在感が全面的にドバーンと出ている。あのウォルター・ビショップJrの『スピーク・ロウ』が確か1961年の録音。この作品も1961年11月。ジミー・ギャリソン絶好調の時期であったことがこれでわかった。(山本隆)



 オリヴァー・ネルソン / ライヴ・フロム・ロサンゼルス 


OLIVER NELSON / オリヴァー・ネルソン / ライヴ・フロム・ロサンゼルス

最近、ミステリーチャンネルで刑事コロンボの「悪の温室」をみた。たぶんもう6回目とか見ている、というか旧シリーズ45作品全部みたし、しかも何度もみている。何度みても飽きない、面白い。小池朝雄の吹き替えがあっている。先日(4/1頃)ミュンヘンでテレビをつけたら、「攻撃命令」をやっていた。「ばらのつぼみ」に犬が反応して殺人を犯すアレだ。何度もみているものでストーリーも覚えているが、ドイツ語の吹き替えは、まるでコロンボらしくはなかった。ドイツではアレがコロンボとして成立しているんだろうけど、違和感ありありだった。ということで「悪の温室」、音楽が素晴らしかった。終わりのエンド・ロールを見るとオリヴァー・ネルソンの作曲のものであることが判明した。なるほど。この「悪の温室」はシリーズ11作目で1972年の作品。ネルソンは1967年にロサンゼルスに移住して、テレビとかドラマとかの仕事をたくさんしたようだが、その一つがこれだった。その翌日会社に出てきたら、このCDが机の横に置かれていた、なんという偶然。彼の代表作だ!と言い切る信奉者も沢山いるというビッグバンドの名盤だ。確かに西海岸のメンバーを集めたものだから、なんとなくウエスト・コーストの風が吹いている。「悪の温室」のイメージ曲と同じだ。オススメは、1とかマイルスの「Milestones」とか。いい感じ。(山本隆)

2015.03.24

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2015 Mar.

 ■小橋敦子 / ルージョン 

ATZKO KOHASHI / 小橋敦子 / Lujon / ルージョン

アムステルダム在住の小橋敦子さんの待望のピアノ・トリオ作品だ。彼女は今までドラムとのデュオ作品、ベースとのデュオ作品などを制作してきたが、今回、その時のメンバー、すなわちフランツ・ヴァン・デル・ホーヴェン(b)とセバスチャン・キャプティン(ds)というオランダきってのリズムセクションとの「ザ・トリオ」という趣となった。選曲がイカしている。彼女らのセンスにぴったりだ。ボクが感動したのは、例えば7曲目の「Gentle Piece」を採用していること。この曲は数年前によく聴いていたケニー・ホイラーのCD『Still Waters』(dodicilune)の9曲目で演奏されているもの。その曲の美しさは、この「ザ・トリオ」の手により更に深みを増しているような気がする。それから、8曲目のタイトル曲「Lujion」英名で「Slow Hot Wind」という曲。ヘンリー・マンシーニの作曲によるもので、パット・メセニーとかジョニー・ハートマンとかのヴァージョンがある。ボクは、イタリアの歌手マリオ・ビオンディが『Hadful Of Soul』という作品で歌っているものが好き、という人生を送ってきたが、今後は小橋ヴァージョンを第一としていこうと思う。11曲目の「Quiet Now」はデニー・ザイトリンの曲で哀しみに溢れている。ボク的には、そういうあまり演奏されなくて「いい曲」が入っているのでとっても嬉しくなりましたよ。ウェイン・ショーターの曲「Footprints」、「E.S.P」も他とは違うアプローチかな。全体的に感情を抑えたクールネスがとても沁みました。素晴らしい作品だと思います。(山本隆)

ソングリスト
  • 1. Icebreaker
  • 2. Smile
  • 3. Footprints
  • 4. Fran-Dance
  • 5. Lujon
  • 6. Magnolia
  • 7. Gentle Piece
  • 8. E.S.P.
  • 9. Sweet Lies
  • 10. Berimbau
  • 11. Quiet Now
  • 12. Last Train
  • 13. Embraceable You
  • 14. Lujon-alternate take

2015.01.07

<連載> ★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2015 Jan.

 ■KRZYSZTOF KOMEDA / Ballet Etudes - The Music Komeda

KRZYSZTOF KOMEDA / クシシュトフ・コメダ / Ballet Etudes - The Music Komeda(LP)
KRZYSZTOF KOMEDA クシシュトフ・コメダ

二日酔いで頭が重い、カラダがだるい。そんな反主体的な態度を一変させる出来事があった。いつものように海外からのメールを朝一番でチェックしていた。ドイツのBeJazz!から何やらメールが来ているぞ。開いた途端に驚いた。コメダのメトロノーム盤のジャケがそこにあった。「ねぇNさんこれ見て」と隣席のN氏に声をかけた。「うぁ、これは」とN氏絶句する。「そうかそうか、ついにコレを復刻するのか」としばし時間を忘れて放心状態、気を取り戻してようやくこれを書き始めた。色々レア盤とされるレコードがある中で「最後の砦」的な様相を呈する。世界中のコレクターが所有したいと望んでいるが、新年初詣の大吉おみくじ「望み、叶う」は、まず叶わない。ボクがこのレコードの存在を知ったのは数年前、あるジャズ雑誌でのアンケート「私の好きな一枚」にて廃盤専門店の方が、ジャケ入りで載せていた。「何、これ知らないぜ」と驚愕。その後池上本門寺あたりでお百度参りを重ねた(かなり大袈裟)結果、ある日ヨーロッパからの荷物の中にこれが混じっていたのだった。2年ほど前にも、ドイツへ買付に行った際に偶然、入手に成功したのだった。ユニオン買付精鋭チーム全員の実績をかき集めても、5枚(5回)しか扱っていないのだ。メトロノームというとスウェーデンのレーベルという認識だが、これはデンマークのメトロノームである。録音は1963年。レコードは世界限定500枚。これに関しては、ドイツ国内の需要はもとより、ポーランド、デンマーク、スウェーデン、フランス、アメリカなどのディーラーの争奪戦も考えられる。うちとしても最大限確保はしたいと考えている。発売は2月22日。内容は直接確かめてみては如何だろうか。(山本隆)



 ■ダスコ・ゴイコヴィッチ / サンバ・ド・マー

DUSKO GOYKOVICH / ダスコ・ゴイコヴィッチ / SAMBA DO MAR / サンバ・ド・マー

2003年10月25日(土)に、当時やっていた吉祥寺メグでの新譜試聴会でコレを紹介している。因みにちょうどその頃売れていたのが、女の子のジャケが可愛いJURAJ STANIKの『SHAKEN NOT STIRRED』 (MAXHANTER)、オランダの隠れた逸材でその後何度も復刻されたROBERT ROOKの『NTRODUCING』、パリのレコード店で見つけて仕入したらドカンと売れたERIC MOULINの『LILI』などだ。「あぁ、なるほどあの頃だったのね」となんとなく当時を思い出す人もいるに違いない、でももう11年も前なんだよね。懐かしい。ボクは、7曲目の「Quo Vadis Samba」が収録されているということに最初感動した。この曲は、1979年の作品『Trumpets and Rhythm Unit』(RTB)の1曲目に収録されているダスコのオリジナル曲で、ダスコの持つ哀愁の美学と軽いノリが融合して心地のよいヴォッサの名曲として君臨するものだ。昔店頭でこれをかけていたら「誰ですか、コレ」と若いお客さんに注目された思い出がある。オリジナル盤だったから2万円ほどした(後に再発盤が出た)けど、満足な買い物だったに違いない。ここでは、ギターのフェレンツ・シュネートベルガーなどと一丸となって、更なる心地よいサウンドを作り上げている。絶対のオススメだ。因みにこの曲はジャンニ・バッソもお気に入りで80年代から演奏している。2007年に発売されたGianni Basso & Irio De Paulaの『Ricardo Bossa Nova』(デジャヴー)の3曲目でも演奏している。バッソはその2年後に他界するのだが、最後まで粋なフレーズを吹いたイタリアジャズ界の巨人で、その貫録を見せつけてくれた。(山本隆)



 ■BJARNE ROSTVOLD / Tricrotism

BJARNE ROSTVOLD / ビヨルネ・ロストヴォルド / Tricrotism(CD)

レア盤がまたドイツの復刻優秀レーベルから出る。このレコードを初めて扱ったのは、1998年頃だった。今から17年前、ボクらはヨーロッパのレア盤をまだまだ見ることが少なかった。全然知らない世界だった。これは結構まとまったコレクションの中に含まれていて、ジャケのデザインとかメンバーとか匂いとかに敏感に反応し、小躍りもしてみた。当時は、『JazzQuintet 60』のフォンタナ盤もメトロノーム盤も知らなかった。サヒブ・シハブのOktavもDebut盤もホンモノを見たことがなかった。あまっさえ、ベント・イェーディックなんて知る由もなかった。「まだまだ知らないレコードはいっぱいあるなぁ」と世界戦略への野望を抱いてみたのだった。『馬車』や『ジャズクィンテット』を見るのは、そんな戦略の賜物であった。それで、このレコード。ビャルネ・ロストヴォルド(ds)、ニルス・ヘニング・オルステッド・ペデルセン(b)、アラン・ポチンスキー(tp)という3名のトリオだ。この3人は60年代、デンマークでの多くのレコードに参加しており、重要な位置を占めていた。とりわけペデルセンのベースには、引き込まれざるおえない。彼のベースを聴いているだけで快感だ。ここでの「Well you needn’t」なんかでそんな雰囲気が味わえる。さりげないビャルネのドラム。ポチンスキーの当時の絶好調なトランペットが楽しめるだろう。(山本隆)



 ■JOE COHN / S'posin'

JOE COHN / ジョー・コーン / S'posin'

MUSIC BIRDの番組「ジャズ・イン・ザ・ワールド・アゲイン」という番組をやっている。2009年からだから、やがて5年になる。毎週金曜日21:00-22:00に放送している。「アゲイン」というのは、そのかなり前に「ジャズ・イン・ザ・ワールド」という番組をやっていたことがあり、再度始める際タイトルを考えるのがめんどうで、「アゲイン」とした。収録は半蔵門のFM東京のスタジオでやっている。初めてそのスタジオを訪れたのは1995年で、岩浪洋三、中山康樹、寺島靖国3氏がホストを務める番組へのゲスト出演だった。その後、寺島さんの「ブルー・アンド・センチメンタル」という番組が始まって最初から3回目まで、ゲストで呼ばれた。しばらくしてボクらで番組をやらないかとオファーがあり沼田順氏と「ジャズ・イン・ザ・ワールド」を始めた。男ふたりでは華がないというので、3か月単位で女性に来てもらって華を添えた。ニューヨークでヴォーカルを勉強していたナトちゃん、ヴォーカリストの澄淳子さん、ピアニストの安井さち子さん、山中千尋さん(数回のみ)に出演してもらった。その番組も5年くらいやった。先日収録に出かけた際に、「ヤマモトさん長い間お疲れ様でした」と番組の打ち切りを宣告された。3月いっぱいで終了する。あと8回分、8時間分の内容でボクの番組は終了する。好きなジャズをばんばんかけるつもり。約20年通った半蔵門にもこれで行くこともなくなる。今日の一枚は、これ。2013年12月にご紹介したノエル・ジュークスのタイトルは『Chasin’ The Pres』というものだった。今回その彼が参加している作品が出るので、また紹介したい。アル・コーンの息子である、ジョー・コーン(ギター)がリーダーのもので、テナー&ベース&ギターのトリオという編成だ。アル・コーンといえば、ズート・シムズと双頭コンボを組んでいた割には、ズートほどには評価が高くないような気がするけど、どうなんだろう。じっくり腰を落ち着けて、例えば『コーン・オン・ザ・サキソフォーン』(Dawn)とか聴くといいんだけどね。あと『Earthy』(Prestige 7102)におけるアル・コーンは絶品なので是非押さえておきたい。でノエル・ジュークスのスタイルは基本レスター・ヤング系のテナーで、この小さな編成で、俄然その魅力を発揮している。例えば、3曲目の「All Too Soon」、「飽きっぽい」という意味の曲で大抵はスローで演奏、歌われることが多い。エラとかサラとかステイシー・ケントとか多く歌われている。因みにボクはジェリ・サザーンのヴァージョンが好きだけど。そんな愛されている佳曲、素晴らしい演奏でうっとりするではないか。あっ、それから2曲目の「The Gentle Rain」は勿論ルイス・ボンファの曲で、いいアプローチ。6曲目「How Am I To Know」は、存在を知らなかったけどいい曲。この編成にあっている。8曲目「粋な噂をたてられて」、好きな曲だから何があっても驚かないと思っていたが、その粋さ加減に、軽妙洒脱という四文字熟語をこれ聴いて久しぶりに思い出してしまった。昔のコンコードとかパブロ辺りのジャズ路線一筋みたいなものを感じましたね。(山本隆)




 ■V.A.(BE! JAZZ) / Modern At The German Jazz Festival 1966

V.A.(BE! JAZZ) / Modern At The German Jazz Festival 1966(2LP)


知らなかった。この再発盤、てっきりオリジナル盤が存在しているものとばかり思っていた。何度も何度もドイツのコレクター宅へ出向き、多くのレコードを購入してきたのに、それでも一度も目にしたことがなかったのだから、それはそれはレアなレコードなんだろうな、と今の今まで思っていた。しかし違ったんだよね。スウェーデンのトロンボーン奏者エイエ・テリンに『At The German Jazz Festival 1964』(Metronome→Dragon)があるが、それと同じフェスティヴァルの66年音源、今まで発表されていないものの集大成がこれなのだという。ジャケットもSabaとかMPSの雰囲気を真似て今回創作(制作)したのだという。どうりで今まで見たことがないわけだ。で、タイトルで「Modern」ときっぱり宣言しているように、それぞれの曲はどれもがモダンだ。今先ほどドイツから送られてきた音源を聴いて納得した。「もう少しで出来上がるから待っていてね」ととても興奮した筆致で、そのレコード会社の担当者は知らせてきている。ボクも自ずとコーフン状態になって、その入荷を待ちたいと思ってきたぞ。(山本隆)




 ■アル・ヘイグ / チェルシー・ブリッジ


AL HAIG / アル・ヘイグ / CHELSEA BRIDGE / チェルシー・ブリッジ

2月4日発売予定

2002年のCD発売以来13年ぶりに日本国内で発売される。いいニュースだなぁ。前回の発売時、ボクは店舗の人間では既になく、オフィス勤務。対面販売でこの作品の素晴らしさを力説して販売したいと思ったが叶わない。ではではと通販で売ってみようということになり、通常は5枚くらいしか仕入しないところに100枚投入してみた。どうしてもこの隠れたピアノトリオの傑作をお手元に届けたいという気持ちが伝わったのか、見事すべて販売しきったのだった。あれから十数年、別段、名盤殿堂入りを果たした、とか、「アレはいいね」とジャズファンの間で話題にのぼると、いう話も聞かない。今もって「隠れたピアノトリオ」としてひっそりと身を潜めているのだ。またこれを機会に太陽のあたる場所へと引っ越しをさせたいと思う。そもそもボクはアル・ヘイグが好きで、最初に意識したのは、どの盤だったろうか。おそらくスタン・ゲッツのルースト盤が最初で、次に当時国内東宝から出ていたジョージ・ウォリントンとのカップリング盤『A Day In Paris』というヴォーグ音源だったと思う。そのうちにスポットライト盤『Invitation』に夢中になって行ってゆくわけだ。「ホリーランド」~「インヴィテーション」あたりが最高で今もって燦然と輝く名盤だと思っている。そしてある時この『チェルシー・ブリッジ』を知った。おそらく1980年から1985年の間だったハズ。地味なジャケで期待もしなかった、というか最初は、同じEastWindから出ていたロニー・マシューズの『トリップ・トゥ・ジ・オリエント』のジャケに似ていて(本当はぜんぜん似てないんだけど、ピアノ弾いているシルエットが少しね、、、)、間違えて聴いたのだった。そうそう、EastWindとかいうジャズ喫茶が代田橋だったか東松原だったかにあった(1970年代後半)ような気がするのだが、調べても何も出てこない。まぁ、いいけど。この『チェルシー・ブリッジ』は1975年のNY録音だ。その『Invitation』が74年だから翌年の録音。一発でノックアウトされたのは、3曲目の「ハウ・インセンシティブ」だったが、次第に2曲目の「マオコ」に夢中になる。いい曲だ。ウェイン・ショーターの曲らしいが彼がどの作品で演奏したのか知らない。この曲を聴く為に所持していて、思い出しては引っ張り出してトレイに沈めている。ベースのジャミール・ナッサーは、ジョージ・ジョーナーのことだ。(山本 隆)

2014.12.17

【連載】★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2014 Dec.

 ■12/26(Fri) モニカ・ゼタールンド / チキン・フェザーズ

MONICA ZETTERLUND / モニカ・ゼタールンド / Chicken Feathers / チキン・フェザーズ


昨年の12月5日だった。モニカの映画のサントラ『MONICA Z』について書いたのは。あれからもう一年で、映画も無事公開された。初日から盛況で土日などは立ち見の回もあるようだ。今年の8月以降映画会社の宣伝の頑張りもあり、多くのモニカに関する露出がなされた。モニカに関する細かいことが、普通に暮らす人々へも伝えられた。「モニカって何?誰?」と思っていたような人も映画館へ足を運び、最後には涙を流してサントラのCDを買って帰るという人が多いとのことだ。先日ブルーノート東京で2夜連続で行われたエッダ・マグナソンのライブは全てが超満員だった。終了後のサインにも長蛇の列をなしていた。売店でもやはり、サントラのCDがバンバン売れていたが、嬉しいことにモニカ特集をしたJAZZPERSPECTIVE VOL8もそれなりに売れていた。ということでこんなにモニカのことが話題になったのは、1974年にモニカの『ワルツ・フォー・デビイ』のレコードが発売されてから、初めてのことなのではないか、と思う。そういい機運が高まった最中に、再発が待たれていた『チキン・フェザーズ』が復刻されたのだった。これは快挙である。若い世代の人からも絶大な支持を得ている72年の作品。何年か前に、ストックホルムの<グレン・ミラー・カフェ>でたまたまライブレコーディングが行われていて、それがSRだった。思わずその時の責任者の方を呼んでもらい、『チキン・フェザーズ』の復刻の重要性を説明したのだが、あいにく技術屋さんだったので、その後のコンタクトも途切れたのだが、ユニバーサルさんの尽力で実現したのは、悦ばしい。ボクは、B面3みたいな曲がいちばん好きだ。(山本隆)


 ■12/25(Thu) JULIE KELLY / Happy To Be

JULIE KELLY / ジュリー・ケリー / Happy To Be

そろそろ今年の仕事納めということで2014年を振り返ってみると一番の出来事は、やっぱり「手術入院」だ。28年ぶりに入院した。骨折の手術とはいえ大変で、いまだに指が動かない。ちょっとだけ不摂生な生き方を改めてみようかなと考えた。海外には4回行った。4月のミュンヘン(買付)、6月のストックホルム&バーゼル(買付)、10月第1週エディンバラ(買付)、10月第4週バルセロナ(個人旅行)だ。ひと月の間に、12,000キロを2往復するのは、結構疲れたけど。最近感じるのは、気候の変化。6月のストックホルムは数年ぶりとかの寒さで、ダウンジャケットを買ったし、10月のエディンバラは真冬。10月終わりのバルセロナは、なんと真夏で、Tシャツ一枚で過ごせた。グローバル・ウォーミングによる気候の変動が実感できた一年でもあった。写真とかポスターとかのジャズ的メモラビア関連グッズとの出会いもできた。世界には、こんなものまで集めている人がいるのかと驚いた。マイルス・ディヴィスのサングラスもあったなぁ。ジョン・コルトレーンのストックホルムで演奏した時のポスターとか、世界に二つしかないパーカーのスカルプチャー(彫刻作品、ジュリー・マクドナルド作)とかは圧巻だった。来年にかけてもそんなアーティスト関連グッズを徐々に日本に持ち込んでくるつもりだ。それで今日は、カルフォルニアの明るい陽光を纏ったようなさわやかなサウンドと歌声が魅力のジュリー・ケリーの一枚。軽い気持ちで聴きたいヴォーカルだ。その中に「I Wish I Could Go Traveling Again」が収録されている。「また旅行に行けたらいいのにな」という曲で、旅のエピソードなどうたいあげる。ステイシー・ケントが2007年の作品で採用しているが、このジュリー・ケリーの歌声も旅情を盛り立ててくれる。(山本隆)


■早朝のハウプトバーンホフ(ミュンヘン中央駅)

■エディンバラの建築物は何故か黒ずんでいる


■先日も日本の科学者が受賞したノーベル賞の授賞式が行われるストックホルムのコンサートホール
 
 ■一日2名しか宿泊できない、かわいらしいホテル(民宿?)に4泊した。バーゼル郊外。

 
 ■ガウディの傑作、お菓子の家



 ■12/24(Wed)CHRISTIAN SCHWINDT / For Friends And Relatives 

CHRISTIAN SCHWINDT / クリスチャン・シュウィンツ / For Friends And Relatives
10月初旬、スコットランドのエディンバラに行っていた、レコードの買付だ。10月初めというのに既に真冬の寒さで閉口した。日本の最北端が北緯45度らしいから、それより10度も北に位置しているからだろう。訪問したコレクター宅では諸処レコードを聴かせてもらった。何枚かのうち「これ誰だろう、いいなぁ」というものがあった。それが、クリスチャン・シュインツだった。聴きこんでいない自分を恥じた。でもエディンバラで、さりげなくこのフィンランド・ジャズ界屈指のレア盤が流れてくるとは思わなかったのだ。コレクター氏も「どうだ、いいだろう。知っているかいコレ」という得意げな笑みを浮かべていた。「ちょっと前にCD化されましたから、一応は」と答えておいた。「友人と親戚連中の為に」とかいうタイトルが面白い。因みに、ジャケだけど、リーダーのクリスチャンは右端の人で、真ん中に威厳アリアリで立っているのは、オットー・ドナーで、彼のプレイがやはりすごいと思った。深みが増していくオリジナル曲がいい。特にここでの3とか4とかがオススメだ。3はもちろん「My One And Only Love」をモチーフにしたものだが、壮大な曲への変貌している。こんなにも心に響いてくる曲が詰まった「レア盤」というのも珍しいかも。真の名盤でレア音源のLP復刻として歓迎したい。(山本隆)


 ■12/22(Mon)DANIEL KARLSSON / Fusion for Fish(CD)  
 

DANIEL KARLSSON / ダニエル・カールソン / Fusion for Fish(CD)

エスビヨン・スヴェンソンなどを輩出した「スウェーデンのアート・ブレイキー」ことフレデリック・ノーレンのバンドで腕を磨き、「オッドジョブ」を結成。ヴィクトリア・トルストイなど多くのセッションに参加、スウェーデンの中心的存在のピアニストとなっている。この作品、プログレッシヴ・ジャズとも言うべきやんちゃな旋律とビートで、新境地を開拓した。土曜日JAZZPERSPECTIVEの発売記念イヴェントの前にこのCDをかけていた。普段行ったことがないような場所で、つまりライブハウス的な場所でジャズのCDをかけたことは一度もない。そんなスタジオ風な場所で威力を発揮したのがこれだった。やんちゃなピアノトリオはこんな場所にもピッタリとフィットするのだな、と感心した。
ピッタリとフィットすると言えば、クリプシュのヘッドホーンだ。先日からKlipsch STATUSを使っている。何年も使っていたSONYのヘッドホーンの耳あて部分の柔らかい黒いモノが剥がれてきて、顔につけたまま外出などすると積極的に恥ずかしい。そんな恥ずかしい思いを何度もして、早く新しいものに替えなくちゃと思っていた矢先このクリプシュに出会ったのだ。最近人気があるらしい、なんて言ったら、半径2メートルのジャズweb担当より、「ボクは昔からクリプシュ一筋ですよ、最近評判いいとかではなく、昔から評判いいんですよ」とたしなめられた。ネットで調べてみると確かに古い様式のスピーカーとか雰囲気あって良さそうだ。歴史ある会社なのね、知らなかった。でこのヘッドホーンは、「ファッション性と高音質を両立させた」というキャッチコピーを持つ。そうだろうなぁ。ボクが、初めてこれを頭上に載せて新着の音源のチェックをした日、2名より「ヘッドホーン替えたの?いいじゃない」と声をかけられた。だろうなぁ、目立つんだろうなぁ。無機質な感じでどこか宇宙的なデザインでもある。昔のSABAとかMPSのジャケットなんかに出てきそうでもある。外出中に頭上に載せたい。人に見せたくなる。電車の中とか。ボクは電車の中は抵抗あるので飛行機の中かなぁ。たっぷり12時間のフライト、これを頭上に載せてヨーロッパまで過ごしてみたい。ハード・バップもフリー・ジャズもヴォーカル・ジャズもピッタリと耳にフィットして、聴こえてくる。スタイリッシュで高音質なものを捜している人には、いい感じなのではないだろうか。新宿ジャズ館、JazzTOKYOで試聴ができます。公式サイト http://www.klipsch.jp/


耳にあててみた。ピッタリとフィットする

スタイリッシュなデザインのクリプシュ ヘッドホーン


 ■12/18(Thu)JONAS KULLHAMMAR / Gentlemen


JONAS KULLHAMMAR / ヨナス・カルハマー / Gentlemen(CD)


ヨナス・カルハマーの新作は、驚くべきことにストレート・アヘッドなジャズだ。彼の歴史の中でも初めての試みとなる。店頭なんかで流れていると「あっこれいいなぁ」と衝動買いしてしまう内容だ。それで彼に興味を持ち、旧作品なども聴いてみようかな、と手を出そうとするとかなりのスタイルの違いに途惑ってしまう、という話も聞えてくる。これは、スウェーデンの映画『ジェントルマン』のサントラでヨナスが音楽監督を務めたものだから、いつもと様子が違うというわけだ。数年前にヨナスの自宅の地下にあるレコード室を見せてもらったことがあるけど、ブルーノートなど50年代、60年代のハード・バップ的レコードもコレクションされていて、リアルジャズも聴いているんだな、と発見したことがある。そんなわけでここでのヨナスはセクシーな音色で、普段やろうとしないストレート・アヘッドなジャズに果敢に挑んでおり好感が持てる。曲により本当にうっとりしてしまう演奏もある。是非とも鑑賞をオススメする。(山本隆)


 ■12/17(WED) JAZZ PESPECTIVE Vol.9


JAZZ PERSPECTIVE / VOL.9 / ジャズ・パースペクティヴ
JAZZPERSPECTIVE VOL9が発売となる。年2回の発行ではあるけど、毎回疲労困憊な気持ち、いつまで経っても「慣れる」とか「少しはベテランになったかな」という気持ちがない。いつまでたっても初心者だ。今回などは、校了直前に左手薬指を骨折してしまうという体たらく。人生終わったかとも思った。顛末はこうだ。11月の休日午後4時、素面で(ここが重要で20人中19人が飲んでたの?と言うから)、お台場で買い物しての帰り。品川シーサイド駅から自宅へと歩いていた。進行方向からやってくる自転車2台としゃがみこんでいる子供。邪魔だなと思いボクは少し道をよけた。しかし下を見ていなかった。そこは丁度マンホールがあったのだ。その日は、オールデンの革靴を履いていて、これ結構滑るんですよ。で案の定、時速100キロで地面にぶつかりましたから。不幸中の幸いで、左手だけでよかった。右手も両膝もぶつけた。最後の校正作業は、右手だけでページをめくる。右手だけでキーボードを打つ。右手を酷使するからすぐに疲れる。まあさんざんだったけど、こうして書店、レコード店に並べることができてなにより。今回はスイス特集です。表紙はハンガリーのチェメール・ボグラルカです。内容は書店、レコード店で確認してみてください。12/20(土)発売イヴェントをやります。スライドを使ったトークは、誌面では味わえないものもあります。是非ご来場ください。(山本隆)

詳細はこちら。
 

2014.11.05

【連載】★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2014 Nov.

11/5(thu)
モニカ・ゼタールンド

     

モニカの自伝的映画「ストックホルムでワルツを」が今月末より公開されるのを祝福してユニヴァーサルミュージックから6枚のモニカ関連のCDが発売される。サウンドトラック的な作品はカヴァーを日本仕様にアタッチしての新装発売となる。映画を観たら買いましょう。それからモニカの昔の作品が5作品。レコード店の店頭には一年中、年がら年中飾っていないと「モニカのワルツないの」と顧客からのコンプレインを頂戴しかねない大事な作品だ。それから『Ahh! Monica!』紫色のジャケのものだが、映画の中でも歌われている歌曲がかなり収録されている。「歩いて帰ろう」、「ヒット・ザ・ロード・ジャック」、「イ・ニューヨーク」などだ。エダ・マグナソンの歌うものから更に遡って聴いてみないか?若い人に人気のあるのが、顔のドアップの『スウィート・ジョージー・フェイム』。「アルフィー」、「男と女」などの馴染みある歌曲と洗練されたアレンジがモダンな感じを演出している。1960年代初旬に英語で歌ったアルバムとして人気が高いのが、『メイク・マイン・スウェディッシュ・スタイル』だ。カルテットというコンボ演奏なのもよりジャズっぽい様相を呈する。最後に紹介するのが、『オー!モニカ!』でボクがモニカの作品中で最も好きなアルバム。個人的には一番好きで一番沢山長く聴いた。曲好きだし、メンバーの溌剌としたソロの数々が好きだ。1は、もともとは「Grandfathers Waltz」という曲だ。1964年にビル・エヴァンスとスタン・ゲッツがヴァーブに録音している名曲もあるが、録音はこちらのほうが先になる、いい曲だ。8は「I Believe In You」で、こういう曲にスウェーデン語の歌詞をつけて歌っているというのがいい。そして9曲目が白眉。なんだけどなんか楽しいんだよね。自分も一緒にモニカとスウェーデン語で歌いたいという衝動に駆られてスウェーデン語辞書も買って単語を勉強した。個人的にはストックホルムへは9回訪問(6月にまた訪問してきた)していて、好きな街のひとつだ。澄み切った清涼感みたいな雰囲気がモニカを聴いていると思い出されてきて、いい気分に浸れるのだ。(山本隆)

2014.10.10

【連載】★山本隆のJAZZ IN THE WORLD★ 2014 Oct.

10/17(fri)
ハンプトン・ホーズ / ザ・トリオ VOL.1

HAMPTON HAWES ハンプトン・ホーズ

The Trio, VOL.1 / ザ・トリオ VOL.1

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO99017 / XAT-1245599830 / 2014年10月08日 / 1,080円(税込)

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コール・ポーター作曲の「恋とはなんでしょう」(2曲目)を好きになった最初のヴァージョン。これで「恋とは~」が気になる存在の曲ということになり、この曲ハンティングの旅に出かけるようになったのだった。そうしてこのヴァージョンは通常よりも異色な演奏なんだなと気がついたというか、ハンプトン・ホーズの手癖が色濃く出たものとも言えるのだろう。「恋とは~」からコール・ポーター自体にも興味が発展して、またその旅にもでかけるようになった。そうして2年ほどたち、丁度その頃ラジオ関東でやっていたイソノテルヲさんのジャズ番組があって深夜1時から確か5時くらいまでやっていた。何度かリクエストのはがきを出したことがあって、コール・ポーターの特集をしてくださいとしたためた。ある日聴いていたら「今日は世田谷区にお住まいの大学生、山本さんからのリクエストでコール・ポーターの特集をやります」とあった。なんかビックリして、それからまたポーターに夢中になったのであった。この作品ではコール・ポーターの名曲(だいたい名曲だけど)、「So In Love」も演奏している。(山本隆)

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10/16(thu)
ライオネル・ハンプトン / スターダスト

LIONEL HAMPTON ライオネル・ハンプトン

Stardust / スターダスト

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCU99039 / XAT-1245599673 / 2014年10月08日 / 1,080円(税込)

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ジャズ喫茶なんかで働いていたからこのレコードはよくリクエストを受けた。夜の10時過ぎとか、もう2軒くらいハシゴしてきたような、すっかりゴキゲン状態のサラリーマンジャズファンの常連A氏なんかが、「アレかけてよ」と言うと大抵はこのレコードだった。「スターダスト」を聴きたいのだ。これは、もう67年も前の録音だ。1947年パサッディナのジャズ・ジャズ・コンサートでのライオネル・ハンプトンの演奏を収めたものだ。67年も経過しているのに、色褪せない名演奏、それが「スターダスト」なのだ。昔は「スターダスト」と言えばこのライオネル・ハンプトンとイコールでもあったのだ。その演奏は15分にも及ぶが、そんなに長くは感じられない。まずは、ウィリー・スミスの泣きのアルトソロを堪能。チャーリー・シェイバースのトランペット。スラム・ステュワートのアルコベースとハミングも聴きどころ。もの哀しいトミー・ドットのピアノ。バーニー・ケッセルの素朴なギター。そして主役の登場、ライオネル・ハンプトン。徐々に盛り上がっていくヴァイブソロ、こんな展開に多くのジャズファンは歓喜する(したのだね)。(山本隆)

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10/15(wed)
エラ・フィッツジェラルド / ソングス・イン・ア・メロウ・ムード

ELLA FITZGERALD エラ・フィッツジェラルド

SONGS IN A MELLOW MOOD / ソングス・イン・ア・メロウ・ムード

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCU99066 / XAT-1245599721 / 2014年10月08日 / 1,080円(税込)

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例えば、エラには、デルタ・リズムボーイズと一緒に録音したデッカの古い音源があって、それが国内のレコード会社から出たことが昔あった。それが大層素晴らしくて魅了された。確かに『エラ・イン・ベルリン』とか夢中になって聴いた時期もあるけど、コーラスと一緒というのに惹かれた。その頃に、このレコードを買ったんだよね大学生の時。かなりハマりました。エリス・ラーキンスのピアノとエラの変幻自在のヴォーカルの極上コラボレーション。3曲目の「粋な噂を立てられて」を始めとして、ここに収録されているスタンダード曲全部が好きになりましたね。次の「プリーズ・ビー・カインド」とか9曲目の「My heart belong to daddy」とか。まあ、でも客観的に言うならば暗い。夜のムードだ。お酒でも飲んで聴いてください。ボクは昼間っから、うっとりとして聴いていた口なので、少し変態かもしれないね。その時の学友は勉学にサークルに合コンに恋愛活動に必死だったけど、ジャズ喫茶に籠ってこんなのばかり聴いていた。ま、いいけど。夜のムードを満喫してください。(山本隆)

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10/14(tue)
ジューン・クリスティ / サムシング・クール

JUNE CHRISTY ジューン・クリスティ

Something Cool / サムシング・クール

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCU99055 / XAT-1245599706 / 2014年10月08日 / 1,080円(税込)

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「サムシング・クール」この物語性のある歌詞が好きだ。かつては美人で、多くのハンサムな男に言い寄られ、部屋が数えきれないほどある豪邸に住み、みたいな過去を持つ落ちぶれた感ありありの女性。一人バーなんかで自分の華やかだった過去を話し、男から煙草や「冷たい飲み物」をおごってもらったりするそんな哀しい話。殺人はおきないけど、ボクは、ハリウッド映画『サンセット大通り』やコロンボの『忘れられたスター』なんかを思い出してしまう。かなり暗い気持ちになるんだけど、これが生涯忘れられないインパクトを持つ曲なんだね。先日小川町のひなびた居酒屋で一人飲んでいたら、この曲が有線で流れてきたのには驚いたけど。このレコードを買ったのは、高校2年の1月だった。金沢の香林坊、片町だったかにあった<山蓄金沢店>で購入した。もう何百回も聴いたので、カラダに沁みついている。最初は、この爽やかなジャケになんとなくアメリカを感じ純粋に憧れただけだったんだけど、だんだんとのめり込んで行ったのだった。ジューン・クリスティという名前にも感じ入るものがあった。因みに同じジャケでカラー、赤いチェリーがグラスにあって、クリスティの目が見開いているものは、ステレオ盤のジャケ。断然、こちらのモノクロの方がいい。ちょいとハスキーな歌声とピート・ルゴロ楽団の演奏がマッチして得も言われぬ作品となった。ボクの好きな曲といえば、「ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ」、「ミッドナイト・サン」、「アイル・テイク・ロマンス」だ。(山本隆)

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10/10(fri)
サラ・ヴォーン / 枯葉

SARAH VAUGHAN サラ・ヴォーン

Crazy And MIxed Up / 枯葉

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO99024 / XAT-1245599839 / 2014年10月08日 / 1,080円(税込)

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先日、「ジャズの100枚」シリーズが発売されたので、その中から想い出深い作品などを紹介してみたい。まずはこれだ。サラ・ヴォーンは、古い音源の『サラ・イン・ハイファイ』を聴いた36年前から好きだ。ボクは巨匠関連に関して大抵は古い音源が好きなんだけど、この作品は別格だ。1982年のパブロ音源。ローランド・ハナのピアノで導びかれる「時さえ忘れて」から始まる。これがいきなり素晴らしい。この曲に関しては、色々聴いてきたけど、演奏ものを含めてトップランクに位置する名曲だ。途中のジョー・パスのソロも粋だね。次は「ザッツ・オール」。テナーサックスなどの巨匠などに名演奏が多い曲だけど、盛り上がる曲だ。そしてこのアルバムの白眉である「枯葉」に突入する。もういきなりのサラのスキャットに興奮を禁じ得ない。そのゾクゾクする感じは、まさにジャズ・ヴォーカルの醍醐味であって、それを知らないで過ごすジャズ人生なんて考えられない。ボクの中では、最高峰の「ジャズのゾクゾク感」を味わう瞬間で、例えば、コルトレーンの『至上の愛』の第三楽章、エルヴィンのソロ、マッコイのソロが終わってからのコルトレーンのソロ、あるいは、ジャッキー・マクリーンの『Destination Out』収録の「Kahlil The Prophet」の50秒から4分間も延々と繰り広げられるマクリーンのソロとかに匹敵する凄さと捉えている。ここでのジョー・パスの技も見事で彼の参加なしでは、この極上感は出なかったに違いない。いい仕事だなぁ。しかしこの神がかったサラのスキャットはどうだ。Why not listen.(山本隆)

2014.08.04

【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 Aug.

8/29(fri)
タル・ファーロウ /
 ア・サイン・オブ・タイムス

TAL FARLOW タル・ファーロウ

Sign of the Times / ア・サイン・オブ・タイムス

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO90307 / 1006290396 / 2014年08月27日 / 1,080円(税込)

 

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タル・ファーロウといえば、昔は『スウィンギング・ギター・オブ・タル・ファーロウ』(Verve)や、『タル』(Norgran)はよく聴いた。このコンコード盤はジャケに何の魅力も感じなかったので、存在は知っていたものの今まで聴いたことがなかった。一度もなかった。なにやらビルの解体現場なのか知らないけど、なんとも雑なジャケだ。ボクの最も嫌いな部類のジャケで見たくもない。しかしだ、演奏内容は、昔さんざん聴いた『スウィンギング・ギター・オブ・タル・ファーロウ』の雰囲気に似ている、ような気がするのだ。ハンク・ジョーンズのピアノが、昔の盤のエディ・コスタのようにも聴こえる(そんなわけがない)。いいじゃないか。しかも選曲がまたナイスだ。1曲目は『魅惑のリズム』。エディ・コスタの『トリオ』(Jubilee)に収録されているのを聴いて以来、気になる曲の一つになっている(でも演奏の半分以上はヴィニー・バークのベースソロなんだけど)。それから、「You Are Too Beautiful」もいい曲だ。ウォーン・マーシュのモード盤に収録されているクールな名曲。ここではハートウォーミングな演奏が聴ける。7曲目は「In Your Own Sweet Way」でブルーベックの曲だ。ビル・エヴァンスの『ハウ・マイ・ハート・シングス』収録のものがベスト。でもフィル・ウッズの『ウォーム・ウッズ』の1曲目も忘れがたい。このアルバム中最も気に入っている曲だ。ただし終わり方があっけないけど。(山本隆)

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8/28(thu)
スコット・ハミルトン
 / ファースト

SCOTT HAMILTON スコット・ハミルトン

SCOTT HAMILTON IS A GOOD WIND WHO IS BLOWING US NO ILL / ファースト

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO90309 / XAT-1245598981 / 2014年08月27日 / 1,080円(税込)
 

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1977年10月の録音。スコット・ハミルトンのデビュー盤(だと思う)。これはものすごく当時から話題となったレコードで、相当売れた。アルトのリッチー・コールと共に若手の新星として時代の寵児としてもてはやされた。だから中古市場ではモノが氾濫し、価格はタダ同然で売られていたものだ。それは内容がダメという値段でなくて、有り余る供給がなされてしまった市場原理の結果なのである。いきなりの「That’s All」である。スローなバラードで聴かせるのである。これが絶品なので、聴く価値は十分にある。77年の録音と言えば、既に37年経過している訳であり、古典の域に達している。1950年代のマスターピースに対峙するのと同じ敬虔な心持で接したい名盤なのである。(山本隆)

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8/27(wed)

スタン・ゲッツ / ザ・ドルフィン

STAN GETZ スタン・ゲッツ

THE DOLPHIN / ザ・ドルフィン

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO90314 / XAT-1245598812 / 2014年08月27日 / 1,080円(税込)

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ピアノには、ルー・レヴィが参加している。ボクの好きな1955年の作品『West Coast Jazz』(Norgran)でゲッツとルー・レヴィは共演している(『The Steamer』とかもそう)。この頃の数年間はよく一緒にやっていたようだ。この『The Dolphin』は1981年の録音だから、約20年のタイム差があるが、ブランクをあまり感じさせない。ボクは『West Coast Jazz』を何度も何度も聴いたので、ルー・レヴィのプレイのクセをわかっているつもりだ。小気味よいスウィング感がたまらない。アップテンポの5曲目「The night has a thousand eyes」でのルー・レヴィのソロプレイで彼の魅力が堪能できて嬉しい。尚この曲は、ソニー・ロリンズの『What’s New』(RCA)、ジョージ・デュークの『Jazz Workshop 1966』(SABA)に収録されているものが気に入っている。しかしなんと言っても1曲目の「The Dolphin」だろう。タイトル曲、ルイス・エサの名曲。この一曲が収録されている為だけでも、この作品は有名だし、誰もが代表作だと推薦している。スタン・ゲッツの音色とスタイルがこの曲の持つ特徴と良い感じでマッチしているのだ。(山本隆)

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8/26(tue)
アート・ブレイキー /
キーストン3

ART BLAKEY アート・ブレイキー

Keystone 3 / キーストン3

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO90312 / 1006290401 / 2014年08月27日 / 1,080円(税込)

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1982年1月の録音。この時期のアート・ブレイキーの作品では一番好きだ。この3か月後の録音である、『And The All Star Jazz Messengers』よりはいい(と思う、まよく聴いたけど、ワイルドさに欠けるような)。これは選曲がヒップだし、若い熱気溢れるやんちゃな魅力がある。この中でボクが気に入っているのは、3曲目の「Fuller Love」でボビー・ワトソンの曲。この曲はその十数年後、ボビー・ワトソンが仕掛けた<東京リーダーズ・ビッグバンド>のサムディでのライブ音源(Red)でも再演されている。なんともダイナミックな曲で興奮を禁じ得ない。ドナルド・ブラウンのピアノに導入され、ウィントン、ブランフォード、ビル・ピアースの3管フロントによるアンサンブル。ぶるぶると痺れるぜ。その後各人のソロの発表会。これぞ<ハードバップの80年代版の楽しみ>という趣だろう。モンクの「In Walked Bud」はモンク臭のないまるで別のハードバップ曲のように聴こえるし。最後には、「A La Mode」。1961年のインパルス盤『A La Mode』に収録されている3管フロントハードバップの名曲で、リー・モーガン、ウェイン・ショーター、カーティス・フラーが頑張ったものだ。ボクの中では、上位に位置する名曲ということになっている。ここでのそれも、ジャズの醍醐味を身震いして体験させてくれるもので、なんともグルーヴィー。(山本隆)

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8/25(mon)
ローズマリー・クルーニー/ 
エヴリシング・カミング・アップ・ロージー

ROSEMARY CLOONEY
ローズマリー・クルーニー

Everything Coming Up Rosie
エヴリシング・カミング・アップ・ロージー

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCO90321 / 1006290410 / 2014年08月27日 / 1,080円(税込)

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コンコードの作品が久しぶりに復刻される。何年振りかは、ちゃんと調べていないのでわからない。でもなんとなく久しぶりな気がする。今回色々な作品を聴き直していて素直に「ああ、懐かしい」と思ったし、今もって「聴いたほうがいいな」と思う作品が出てきた。個人的な思い出に基づいて何枚か採りあげてみたい。まずは、ローズマリー・クルーニーのこれだ。懐かしい。録音が1977年6月とあるから、その年か翌年レコードで発売された時に<最新録音盤>として購入しているハズだ、正確には覚えてないけど。既に何人かのジャズヴォーカルのレコードを購入していたが、ローズマリー・クルーニーにも興味があったのだろう。ジャケはそんなに好きでもないけど。ま、とにかく、すべてが未知の状況で鑑賞しているのだから、スコット・ハミルトンにしてもその他のメンバーにしても何も知らないで聴く。何十回も聴くから、その内に歌詞なんてのも覚えてしまう。ここに収録されている「I Cried For You」とか「More Than You Know」、「Hey There」なんていうのは、この時に好きになり口ずさむようになった。今回、何十年振りかに聴いたけど、だいたい歌えた。今、色々なジャズが溢れている中で、「ボク、ローズマリー・クルーニーに興味あるんだよね」、なんていう人がいたとしたら、これ推薦しますね。ボクの場合、この作品を契機にどんどん彼女の経歴を遡ることになって、お蔭で名曲、名演を聴く機会を得た。例えば、彼女とビング・クロスビーのデュエット。有名な「Brazil」や「Isle Of Capri」、またあまり知られていない「Mangos」という名曲に出会えたのは貴重だった。高校生の時に何気なく聴いた作品が、数十年後、とんでもない名曲との邂逅を演出してしまうのだ。それで、1986年の第一回富士通コンコード・ジャズ・フェスティヴァルで来日したロージーを観に行ったな、となんとなく思い出している。(山本隆)

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8/4(mon)
TOROLF MOLGAARD /Lone Rider(LP)

TOROLF MOLGAARD

Lone Rider(LP)

SERIE E.WOC / ITA / LP(レコード) / EWOCLP011 / 1006336513 / 9月下旬入荷予定 / 5,616円(税込)

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最近、いろんな場所でこのレコードのジャケットを見たり、「コレ出るね」と言われて少し戸惑っている。あれ、「これってそんなに人気があったっけな?」というニュアンスなのだ、ボクの印象は。オリジナルの<ARTIST>盤も昔はそんなに高くなかったように記憶しているし、たしか数千円だ。だから、「何がどうしたんだ」という感じで戸惑うのだ。しかしそこには何かあるに違いないと思う。ということで今日になって初めて聴いてみた、これ。「いいじゃないか」と思いました。今まで知らなくて、もったいないことをした、と後悔しましたよ。この緩~い感じのトロンボーンと、ヨーロッパ風の洒落たアレンジ、いいねぇ。今ままでのボクの世界にはなかったジャズの部分で、まだまだアレだな。聴きが足りないなと思った次第。アルボーレの豊田さん凄い。(山本隆)

 

 

2014.07.09

【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 July.

7/17(thu)
DOMINIC J MARSHALL /
SPIRIT SPEECH

DOMINIC J MARSHALL ドミニク・J・マーシャル

SPIRIT SPEECH

ORIGIN RECORDS / US / CD / 82659 / 1006078223 / 2014年03月11日 / 2,365円(税込)

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アメリカのレーベルORIGIN RECORDSからのピアノトリオ。たまに「オヤっ」と思う作品があるので注意が必要なレーベルだ。ドイツ録音、アムステルダムでミックス処理、と多国をまたいで作られた。ドミニク・J・マーシャル自身はオランダの人、まだ若い。今年5月16日に行われた「ダッチ・ジャズ・コンペティション2014」では最優秀ソリスト賞を獲得している有望でタレンティッドなピアニストだ。まずは名刺代わりということでこの作品が出たわけだ。ジャケを見る限りは積極的に聴いてみたいという気持ちになれない。意欲を削ぐ可能性もある、と思うが、少しジャケで損をしたかもしれない。いずれにせよ一見して「ヨーロッパのピアノトリオ作品」であるということは、わからない。残念だ。全曲オリジナル曲で、彼のタレントを全面に押し出している。1など聴いたら、もうノックアウトじゃないだろうか。あまり騒がれてないけど、埋もれちゃいけないと思いました。(山本隆)

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7/16(wed)
WES MONTGOMERY / Montgomery And Ervin 4ets - Live At Newport 67

WES MONTGOMERY ウェス・モンゴメリー

Montgomery And Ervin 4ets - Live At Newport 67

PARADOX RECORDS / EU / CD / 630930 / 1006251011 / 2014年06月11日 / 3,780円(税込)

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今日の朝会社来る時に初めて気がついたことがあった。佐川急便の台車クルマに書いてある文字が、TRAN’SPORTとなっていたのだ。あれTRANSPORTじゃないのか?誤植か、とも思ったがそんなハズはない。そこにはちゃんとした理念が隠されているに違いない。ここではN’なのだ。「トランのスポーツ」なのだ。トランは、トランスとかかっているので「向こう側へ行く」とかの意味だ。Transfer (移送する、転任する、送金する)やTranslate(翻訳する)などのTransと同じルーツの単語だ。それでスポーツ。佐川の人たちは、よく走りながら仕事をこなしているのを見かけるが、あれは「輸送スポーツ」という企業理念の現れなのだ、「走りながら輸送業務をこなす」というか、そんな気がしてきて納得したのだった。まぁ解釈は間違っているかもしれないけど、少し晴れ晴れとした気持ちになったのだ。それでこのウェス・モンゴメリーとブッカー・アーヴィン。ボクは大変な勘違いをしていた。「ウェスとアーヴィンの共演か」、そんな時期もあったのかな?と興味を持ったのだった。ジャケのコメントなども最初は見ないので、そう思っていた。今日ちゃんと見たら、ニューポート・ジャズ祭の67年に別々のグループで出演した際の音源をただ半分づつ収録されたCDというだけのことだった。そうだよね、ウェスとアーヴィンは結びつかないからね。とんだ勘違い。こちらは初登場の音源として注目されている。またボーナス曲は、Enjaの『ラメント・フォー・ブッカー』に収録されているものと同じもの。27分吹きまくりは圧巻。誰にもソロをさせない、譲り合いの精神がない(9分40秒ごろでケニー・ドリューがソロを取ろうとするものの、またメンバーもその気になるものの、見事にアーヴィンに無視される局面もある)、唯我独尊孤高の人となって、ひたすらブローする。そのブッカー・アーヴィンに憧れて、昔のジャズ喫茶ではリクエストも多かった。しかし頂点を極めようとする辺りで時間切れとなり、フェイドアウトとなり、B面へと「続く」ということになり(レコードだったからね)、地団駄を踏ませることになっていた。こうやって「ブルース・フォー・ユー」を真剣になって27分も聴いていると、しまいには笑ってしまうのだけど、それが楽しい。いやでもペデルセンのベースは超絶だね。(山本隆)

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7/15(tue)
IIRO RANTALA /
Anyone With A Heart


IIRO RANTALA イーロ・ランタラ

Anyone With A Heart

ACT+ / GER / CD / ACT9566-2 / XATW-00131897 / 2014年03月10日 / 2,808円(税込)

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ドイツの名門レーベルACTからは最近DUO ARTシリーズというのが何枚か出ていてこれもそうなのかと思っていたら、トリオであった。イーロ・ランターラのストリング・トリオでヴァイオリン、チェロの編成だ。イーロは1990年代よりトリオ・トウケットのピアニストで日本でも名声を博し来日もしている。個人的には久しぶりに聴いた彼の作品であったが、アタリであった。圧倒的というかそれなりの存在感を示す彼のピアノと弦楽器が織りなす音楽、ジャズは心に沁みる。とにかく1と2が素晴らしかった。

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7/14(mon)
QUARTETTO DI LUCCA

QUARTETTO DI LUCCA

Quartetto (CD)

REARWARD / ITA / CD / RW152CD / 1006249114 / 2014年07月11日 / 2,700円(税込)

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イタリアのスケーマ(リアワード)からの再発盤、随分前にもこの作品は復刻されていたと思うけどまた紹介。イタリアRCAのレア盤で今でもイタリアなどに行くと高い。先日も北欧のコレクター宅にてこれのオリジナル盤を見てきたが、かなり強気の値段を提示してくる鼻息の荒いレコードだ。「カルテット・ディ・ルッカ」、トスカーナ地方の「ルッカ県のカルテット」というグループ名でピアノ、ヴァイブ、ベース、ドラムスという編成だ。よくMJQと同じ編成と称されるが、MJQが好きだからといって手を出すと、かなり痛い目に合う。違うんだよね。ボクもヴァイブを中心としたジャズは意識して色々聴いてきたけど、「カルテット・ディ・ルッカ」の演奏はMJQの寛ぎ感を排除超越してゆこうというスタンスがあるようだ。そこがボクの好きな部分でもあって、聴いていると、例えばテディ・チャールズを思わせる部分とか、ウォルト・ディッカーソンとか、渋いところではアール・グリフィスとかを想起させてくれたところもある。アール・グリフィスはセシル・テイラーの『ルッキング・アヘッド』に唯一参加作品のある人だが非常に個性的だ。そうだ、時代にしては革新派を狙うヴァイブのカルテットであった。(山本隆)

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7/10(thu)
バーゼルのジャズ聖地に行ってきた


ドイツとスイスの国境。 Landesgrenze(国境)と看板に書いてある。

スイスのバーゼルへ行ってきたが少し失敗をしてしまった。初めてのスイス行にもかかわらず『地球の歩き方』なども購入しないで、何の知識も持たないまま空港を降り立った。迎えのスイス人が来ているハズなのになかなか出会えない。30分ほどして金網の向こうから「ミスターヤマモトっ」と叫ぶ声がしたので見てみると「Mr. Yamamoto Takashi」とよく空港で見かけるカードを抱えた青年が立っていた。金網??意味がわからない。クルマに乗り込み事情を聞いてみると、バーゼルの空港は実はフランス領内にある。ついでに言うとバーゼルはフランス、ドイツの国境に面した街である、と説明された。知らなかった。その空港がフランス領出入口、スイス領出入口と別れているというのだ。ボクはカルーセルを回るスーツケースを受け取ると真っ直ぐに出口を出たのだが、それがフランス領だったという訳。その青年はずーとスイス領の到着ロビーで待機していたので、30分も会えなかったのだった。事前にそれくらいのこと勉強しておけばよかったな、と少し反省してみた。それから宿泊した民宿というかペンションの裏庭を100メートルほど行くとそこは、ドイツとスイスの国境であった。その光景を見て映画『大脱走』のスティーブ・マクィーンを思い出していた。ドイツからスイスの国境をオートバイで飛び越えようとするシーン。あれはこのようなところでの撮影なのではないか、映画を観たのは40年ほど前ながら感激した。それからジャズファンにとって、バーゼルと言えばAtlantisである。かつてエルジー・ビアンキがそこに出演、7inch盤10inch盤のレコードが発売された。その聖地を見てみたいと思い地図を広げながら行ってみた。そうかそうかこのような立地にあるのか。建物は昔と変わってないようにも思える。今はライブとかが少なくレストランとして営業していているそうだ。バーゼル、小さいながらもいい街でした。(山本隆)


ほぼ正面からのATLANTIS

少し俯瞰で撮ってみたALTANTIS

旧市街

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7/9(wed)
オルケスタ・ジャナレーン誌に広告を掲載してみた


6月下旬ストックホルムへ行ってきた。ちょうど2年前の訪問も6月だった。その時はストックホルムらしいカラリと晴れた気持ちのイイ天候に恵まれた。しかし今回はひどかった。寒いのだ。日本の3月くらいの寒さ。こちらとしては夏服しか準備していないので途方に暮れて、ぶるぶる震えていた。しょうがないから夏だけどダウンジャケットを買いましたよ。ストックホルムは今、夏のバーゲン時期で百貨店にはまだダウンやコートなどを展示しているのだ。現地の人に訊くと15年ぶりの冷夏なのだそうだ。結局滞在中はすべて曇りと雨で、あのストックホルムらしいカラリとした青空を見ることができなくて残念であった。そんな時に現地の人から見せてもらったのが、オルケスタ・ジャナレーン(OJ)の最新号でディスクユニオンの買取広告が載っているものだ。ちょうど発売となった。OJには2002年頃にも広告を掲載したことがある。その時は、全部スウェーデン語での広告掲載であったが今回は英語にした。北欧を中心に購読者の幅が広いので、これからの反応が楽しみ。(山本隆)

2014.06.16

【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 June

6/24(tue)
『JAZZを聴きたくて』シリーズ

V.A.(ジャズを聴きたくて)

ジャズを聴きたくて~午前0時、ジャズ・ピアノに恋して (2CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCQ1001 / 1006154736 / 2014年06月25日 / 組数 2 / 1,944円(税込)

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V.A.(ジャズを聴きたくて)

ジャズを聴きたくて~金曜日のジャズ・バラッドはエクスタシー(2CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCQ1003 / 1006154737 / 2014年06月25日 / 組数 2 / 1,944円(税込)

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V.A.(ジャズを聴きたくて)

ジャズを聴きたくて~ボサノヴァはお好き?(2CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / CD / UCCQ1005 / 1006154738 / 2014年06月25日 / 組数 2 / 1,944円(税込)

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『JAZZを聴きたくて』シリーズが3枚出た。ひさしぶりだ、懐かしい。かつて1980年代後半に一世を風靡したベストセラー・コンピレーションだ。このジャケも当時のまま、というか鶴田一郎さんの手によるイラストだ。20数年の時の経過を感じさせない、新しい感じもするではないか。知っているボクらでもそうだから、それを知らない20代、30代の方には、ますます新鮮な気持ちで接することのできるコンピ作品なのではないだろうか。とにかくユニバーサルグループが抱える膨大な音源から、それぞれのテーマに沿って厳選に厳選されたツワモノたちが勢ぞろいしているので、悪いハズがない。イイに決まっている。そんな贅沢なマスターピースを心地良く、お洒落な気分で聴くことができるのが、このシリーズの魅力だ。ボクは、今朝8:15に会社に到着したのだが、「さあ、何を聴こうかな」と思いコレを手にした。まず聴こえてきたのが、スタン・ゲッツ~チック・コリアの「オ・グランジ・アモール」だった。これは、『スィート・レイン』という作品の2曲目に収録されている。1曲目がボクの大好きな「リザ」でその次の曲だ。昔はそんなにいいとも悪いとも思わなかったけど、こうして聴くと「いいじゃないか」とその評価が上昇した。「ボサ・ノヴァはお好き?」というテーマにぴったりだ。それから聴き進んでいると、またまた懐かしいサウンド。アート・ファーマーの「ハウ・インセンシティヴ」だ。これはジャケがいい。珈琲カップが倒れて中のコーヒーがこぼれちゃっているという、有名な『イエスタディズ・ソウツ』に収録されているものだ。かつてボクがアルバイトをしていた明大前のジャズ茶房「マイルス」のママはこれが大好きだった。毎日の締めのレコードがこれだった。何百回も聴いた。ふくよかなファーマーの音色が胸に沁みる。と収録曲の思い出なども発表してみたが、別段そんな思い出がなくても楽しめると思うな。他のタイトルは『午前0時、ジャズ・ピアノに恋して』、『金曜日のジャズ・バラッドはエクスタシー』とタイトルもステキではないか。(山本隆)

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6/23(mon)
MAX IONATA / 
INSPIRATION LIVE

MAX IONATA マックス・イオナータ

INSPIRATION LIVE / インスピレーション・ライヴ

ALBORE JAZZ / JPN / CD / ALBCD024 / 1006198298 / 2014年05月28日 / 2,160円(税込)

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マックス・イオナータの魅力さく裂じゃないか。ワンホーンのカルテットで彼の魅力があらゆるところで出ているのではないか。これはライブ音源でリラックスしている感がひしひしと伝わってくる。ルーカ・マンヌッツアも相変わらずのノリノリのソロで気分は最高ということになる。1、4、7あたりが個人的なオススメ。こんな軽めな「シャイニー・ストッキング」も悪くないな。そうそう、6月9日の夜、近所のイタリア文化会館でマックス・イオナータとダド・モロー二のデュオ演奏を観てきた。素晴らしかった。(山本隆)

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6/20(fri)
ヤン・ガルバレク
/ ウィッチ・タイ・ト

JAN GARBAREK ヤン・ガルバレク

WITCHI-TAI-TO / ウィッチ・タイ・ト

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCE9272 / XAT-1245594506 / 2014年04月23日 / 1,728円(税込)

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この名盤、今年4月、ECM創立45周年ということで、久しぶりにCDが再発売されましたね。ところで、4月にその45周年を迎えたECMオフィスに行ってきましたよ。今までミュンヘンには8回行っていて、一度もECMのオフィスを訪問したいという衝動にもかられなかったんだけど、45ということでマンフレッドにお願いしてみた。今言うところのマンフレッドとは、マンフレッド・チャフナー氏のことであり、アイヒャー氏とECMを作った盟友だ。世間的にはマンフレッド・アイヒャー氏のことしか言われないので、混同する人がいるのも無理はない。そのチャフナー氏は、ちゃんとアイヒャーに電話を入れてボクのアポイントを取っておいてくれたのだった。ミュンヘン中央駅から4つめのパージング駅からタクシーで10分の近さで、ここが世界に名だたるECMのオフィスがある所か、と思うような意外な場所にあった。アイヒャー氏は気さくな人で密度の濃い会話を30分ほどした、というか質問攻めにあい、ボクはアタマをフル回転させ、言うべき専門用語とか流通用語とかの英単語をアタマのどこかの倉庫から引っ張り出すのに必死だった。(このあたりのこと今日発売になったJAZZPERSPECTIVE VOL8のコレクター訪問の箇所でも少し書いている。アイヒャー氏の写真も掲載した。)質問された中でECMの好きな作品を5枚挙げよ、というのがあったので、このレコードのことを言った。
最初に聴いたECMはビロンギングとかケルン・コンサートとかだったけど、ちゃんとECMのカラーを認知したのはこれであった。もうすごい感銘を受けて、その当時の「三大すごいレコード」の1枚を形成した。因みに他の2枚は、『モンタレイ・ジャズフェスティヴァルのジョン・ハンディ』と『クリフォード・ジョーダン・イン・ザ・ワールド』であった。最後の曲「デザイアレス」が圧巻で、すべてがここを最高潮に迎える為の序奏曲のような面持ちだ。20分を超す、ドン・チェリーの名曲。盛り上がり感がこの世のものとは思えない。このタイトル「ウィッチ・タイ・ト」はジム・ペッパーの曲で、『Pepper's Pow Wow』( Embryo Records)に入っているのがいいよ、とチャフナー氏に教えられたのが4年前。早速聴いてみるとまるで雰囲気が違うんだけど妙にクセになる曲だった。それを聴いたあとにコレ聴くとますます理解を深めることができた。
ボクは昔タイプの人間で、ジャズ喫茶でコウベを垂れて音に没頭するほうだった。これを聴くときはまさにその姿勢を崩せない。最高のエクスタシーを迎えるための準備ということだ。ガルバレクの咆哮する狂気のサックスを体験しよう。(山本隆)


左 マンフレッド・チャフナー氏
真ん中 マンフレッド・アイヒャー氏
右 山本隆
首から下げているグリーンの箱は何かとアイヒャー氏に質問されたので「アッシュトレイです」と答えると、「まだ煙草などを吸っているのか君は」と驚かれた。



ECMの入り口

ECMの入り口


マンフレッド・アイヒャー氏と面談中


オーガニック食品の生産で有名なLaSeLva とECMは親戚関係のようなもの。


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6/19(thu)
ケニー・バレル / K.B.ブルース

KENNY BURRELL ケニー・バレル

K.B. BLUES / K.B.ブルース(SHM-CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCQ5012 / 1006195195 / 2014年06月25日 / 1,620円(税込)

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1曲目は「ニカの夢」だ。ホレス・シルヴァーの曲で昔よく捜して聴いた。『アート・ブレーキー・アンド・ザ・ジャズメッセンジャーズ』(Columbia / 1956)はハンク・モブレーのソロに痺れた。『カーティス・カウンス / カールス・ブルース』(Contemporary / 1960)もよくて、ハロルド・ランドのソロが絶品だ。シルヴァー自体の『ホレス・スコープ』は忙しすぎて、結局好きにはなれなかった。意外にはまったのはストリングス入りのアート・ファーマー『ニカの夢』(デンオン / 1980年代?)で、今聴いても満足感がある。最近は「おおっとニカの夢を演奏しているなっ」て嬉しい気分になることはなくなったけど、それでもどんな感じでやっているのかというのは気になる。ここでの演奏は1957年ということでコロムビア盤の翌年の演奏でハンク・モブレーのソロ、シルヴァーのソロの違いなどが聴けるが、そもそもケニー・バレルの指揮下の演奏だからかなり違う。興味ある人はどうぞ。

※これを書いた時間が早かったので文中には記載できませんでしたが、明け方ホレス・シルバーの訃報が入ってきました。ひたすら合掌。(山本隆)

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6/18(wed)
ボビー・ハッチャーソン / オブリーク(SHM-CD)

BOBBY HUTCHERSON ボビー・ハッチャーソン

OBLIQUE / オブリーク(SHM-CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCQ5016 / 1006195199 / 2014年06月25日 / 1,620円(税込)

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1曲目「Til Then」という曲が素晴らしい。ジャズ・ミュージシャンが作った曲でその後「名曲だ」と語り継がれる<ミュージシャンズ・スタンダード>というのは結構あるけど、この曲もその一つではないか。実は最初に出会ったのは、このヴァージョンではなかった。1977年の作品『Knucklebean』だった。そのB面の2曲目に「’Til Then」が収録されていた。このレコードは今でもたぶん600円とか800円とかで買える。当時結構売れたようだ。昨年ユニヴァーサルからCD化もされた。初めて聴いた時の感動は今でも忘れることができない。ボクにとってのジャズ名曲の上位に位置するものだ。その初録音というのがこの盤に収録されているもので堂々1曲目に収録されている。ボクはこの一曲を聴くだけの為にこの盤を所有している。4分が短く感じられる、いとおしい究極曲のひとつ。(山本隆)

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6/17(tue)
カトリーヌ・マッドセン /
カトリーヌ

KATRINE MADSEN カトリーヌ・マッドセン

Katrine / カトリーヌ

DISKUNION JAZZ / JPN / CD / DUJ117 / 1006252909 / 2014年06月25日 / 2,700円(税込)

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カトリーヌ・マッドセン(ボクは、マッヅセンと本人から聞いたけど)の新作は、自身の自主レーベルからだ。彼女の作品の多くはMusicMeccaから出ており既に10枚を超す。デンマークの女性歌手として日本でもそれなりにファンの多いベテランだ。ピアノとベースというシンプルな編成だから彼女の歌がより直接沁みてくる。この編成は成功だ。しかもピアノは、Jacob Christoffersenで、日本でも深い理解者の多いステキなピアノを弾く。この作品の中でも随所でナイスなソロを披露している。最近発売されたシーネ・エイの作品でも弾いているね。カトリーヌの声というか発声は独特なものがあり、一旦虜となるとそれから抜け出せない。これを聴いてその思いをまた新たにした。なんかずっとこの音に包まれて生活をしたいという気持ちになる。(山本隆)

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6/16(mon)
グラント・グリーン  / マタドール

GRANT GREEN グラント・グリーン

MATADOR / マタドール(SHM-CD)

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCQ5013 / 1006195196 / 2014年06月25日 / 1,620円(税込)

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ブルーノート・ザ・マスターワークス第三期 世紀の発掘コレクション全30タイトル
6月25日に発売ですね。何枚かその中から紹介してゆこうと思う。JazzPerspective Vol8(6月20日発売)関連の仕事もひと段落したので、また再開。
今日の一枚は、グラント・グリーンの『マタドール』。ライナーを見るとこれがキングレコードから発売されたのは、1979年6月21日とある。いつごろ買ったかは覚えていないけど、その頃にこのレコードを買っている。17歳から18歳にかけての頃だ。スウィングジャーナル誌のディスクレヴューを参考にして新譜レコードを購入していた頃だ。一刻も早くジャズにのめり込みたくて毎日レコード店に通い数時間を「どれを買うべきか」で悩んでいた。おそらくそんな時に「未発表音源どうのこうの」といううたい文句に惹かれて買ったのだろう。高校生だから買ったレコードは貴重だ。色々やりくりしてレコードを買うのだから、一生懸命聴く、隅から隅まで聴く。後年にジャズ喫茶で一日中ジャズの洪水に溺れる身とはわけが違う。そうするとこのレコードの良さがぐぐーんと身近になってきて好きになった。実は「マイ・フェイバリット・シングス」という曲は知らなくて、これがジャズ版の初体験であった。ジョン・コルトレーンのアルバムを聴く何年も前にこれがボクのスタンダードとなった。おそらく、『セレフレスネス』収録のこの曲と双璧をなす名演だというのがボクの気持ち。「マタドール」のキャッチーなメロディに痺れた。それがジャズの世界なのだと憧れた。それでそのメロディに続いて出てくるグラント・グリーンのソロというかアドリブがステキだ。そう1分11秒くらいから3分くらいの独壇場は圧巻に思える。マッコイ・タイナーのソロも素晴らしい。このレコードを聴く前に高校生的には難解極まる『至上の愛』の彼の洗礼を受けていたので、ここでもそのソロに痺れたというわけだ。あの当時はまだジャズのレコード200枚も持っていなかった(ある人はその頃で200枚も持っていたのか、という人もいるけど)から、いい演奏、すごくいい演奏、そうでもない演奏などの区別もよくわからなかった。あれから35年経過してきてそれなりに、いいジャズ、すごくいいジャズ、そうでもないジャズなど色々聴いてきたけど、これはまったく色褪せることなくボクの体内に存在しつづけている。(山本隆)

2014.06.13

【連載】山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ Mod Records Cologne


2014年4月、ミュンヘン出張の際にすごい情報を得ていた。1954-1956年のMODレコーディングをすべて網羅したBOXが出るということであった。EPやら10 inchやらすべて再現されている。ドイツではすでに発売ということでボクたちは日本の6月発売に向けて画策していた。The First Independent Modern Jazz Label In Europeと称されるMod recordsを知る人は確実にEnthusiasticな人たちだ。そんな一部なマニアの人にまったく悦ばれるであろうboxがこれだろう。数年前のICPBOXがそうであったように、エンシュージアストの方々により瞬く間に日本の割り当て分は完売したのであった。今回もそんな予感がするぞ。何はともあれ、間もなく発売だ。
それで少し写真を撮ったので、それをご覧ください。(山本隆)

※画像はすべてクリックいただくと拡大いたします。

箱の中の様子で、一番下の段がCD、二段目がEP、三段目が10inchとなっている。ちゃんと四方に頑丈な枠組みが施されてガードされている。




同封のポスター




120ページもある豪華ブックレットの表紙




ブックレットの中身。ランダムに撮影してみました。




ブックレットの裏表紙



箱のこんな部分にもピンクのイラストが成されていて大事に作られていることがわかります。



V.A.(Mod Records)

Mod Records Cologne 1954-1956
モッド・レコーズ・ケルン 1954-1956
11vinyl(Five 10"+ Six 7")+4CDs+120-page hardcover booklet

JPN / CD+LP(レコード) / BE!JAZZ6053/6 / 1006262986 / 2014年06月25日 / 組数 15 / 49,680円(税込)

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Mod Records Cologne 特設ページ
Chargesheimer, Ein Jazzkeller am Botanischen Garten, Köln-Riehl

2014.03.03

【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 Mar.

3/19(wed)
ビリー・テイラー / クロス・セクション

BILLY TAYLOR ビリー・テイラー

CROSS - SECTION / クロス・セクション

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD

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先日、藤巻幸夫氏が亡くなられた。54歳の若さだった。ショックだった。ボクと2つしか違わない。喫茶店のママさんとか、近所の煙草屋さんの奥さんなんかに、「貴方、昨日テレビに出ていたでしょう」とよく言われる感じにボクは彼に少し似ていた。というか、坊主頭、髭、メガネくらいで、中身の知性は比較にならない。また着ているもののレベルは数倍のイイものに違いない。というわけで少し親近感を抱いていた。福助を再生させたという話の時は、この人すごいなと思い、伊勢丹のバイヤー、そして国会議員へと自分の可能性を追求していった。昨年、急性の膵炎で入院されたのだという。膵臓は怖い。ボクが24歳の頃、よく一緒に呑んでいた26歳の先輩が亡くなった。一晩で。仲畑広告制作所で働いていたMさん。金沢で古い友人と飲んだ際に、再会が嬉しくて飲みすぎて病院に担ぎ込まれた。一報をきいて、病院に駆け付けた時には、「昨晩急性膵炎で亡くなられました」とナースさんに言われた。ショックだった。その足で片町の<ヨーク片町>というジャズ喫茶に行き、ビールを浴びるほど飲んで、泣いた。既にボクも相当の呑兵衛だったので、翌日からはとにかく気をつけなくちゃ、と思ったのだった。あれから約30年、また膵臓による訃報を耳にして、自分の行いに自制を利かせなくちゃと思っているところなのだが、、、。急性膵炎は、脂っこい食事や過度の飲酒を何日も繰り返すと、発症するのだそうだ。脂っこい食事時はあてはまらないな、過度の飲酒はあてはまるな。また喫煙、過労、睡眠不足、ストレスという生活も更に良くない方向へと導くのだそうだ。喫煙やっているな、相当な本数吸っているな、過労はそうでもないな、睡眠不足でもないな、ストレスもそんなに感じない。そもそも、血圧は下が66で上が116とここ数十年安定しているので、高血圧の心配はないんだけど。まぁ、とにかくだ。過度の飲酒だけは気をつけなくちゃな。というわけで朝から聴いているのは、大好きなビリー・テイラーの『クロス・セクション』だ。ジャズファンからは、まったく無視されている。どうでもいい作品として認識されている、というか相手にもされていない作品かもしれない。可哀相な作品だ。Prestigeの7001はビリー・テイラーが端緒を切ったというのに、もっと敬意が払われてもよさそうなものだ。まぁ、いいけど。ビリー・テイラーはその独特なスウィング感で人を魅了する。階段を一段一段昇ったり、下ったりの連続のような小気味さがある。アップテンポな曲でも、スローな曲でもとにかく聴かせる。これは見事な彼の特技だ。前半はジャズ、後半はアフロ・キューバンなピアノトリオで最高に盛り上がる。今日も一日元気で行こう、という気持ちになる。尚、何曲かでところどころ、不自然に音が陥没する箇所がありますが、マスターテープによるものと推測されます。(山本隆)

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3/17(mon)
TOMASZ STANKO / Suspended Night

TOMASZ STANKO トーマス・スタンコ

Suspended Night / サスペンデッド・ナイト

ユニバーサルミュージック / JPN / CD

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先日、大井町阪急へ買い物に行って「あれ?こんなビルあったかな」と思い迷いこんでみた。どうやら最近できたらしいビルでいろいろな店が出店しているようだ。奥の方に何やらいい感じのすし屋さんがある。丁度いい時間なので食べることにした。〇〇水産なんて、美味しそうなネーミングじゃないか。BGMはジャズでちょうどグラント・グリーンの「マンボ・イン」がかかっていた。すぐにテーブルに案内され、「まず生ビールね」と言いたいところだが、なかなか注文を取りにこない。ふと隣の親子連れを見るとイライラしている。「さきほど注文したマグロづくしまだ?」、「すみません、注文漏れておりました」、「じゃ帰るから」と子供を引き連れて店を強引に出ていく。我がテーブル上の爪楊枝を全部落として行った。そうなのか、この店は注文遅くてしかも忘れるのか、とそこで少しこの店に入ったことを後悔した。10貫程度の我が注文の品が到着したのは、それから20分も経過してからだった。遅すぎるだろう。全然新規のお客さんじゃなくて随分前から着席していると思われる人の注文が何十分後かにサーブされているのだ、どんな作り方しているんだ。よく見るとテーブルがちゃんと拭かれていない。すしを待つ間、店員の動きをつぶさに観察してみた。動作が遅い、キビキビしていない。覇気がない。すし職人は実は一人なようだ。役割分担が成されていない。オープン間もないとはいえ、このストア・オペレーションはなんなんだ。頭に来たので、そそくさとその店を出た。大井町にはもう一軒安くていい感じのすし屋さんがあるのだ。「寿司屋の梯子は生涯で二度目だな」とムカムカしながら出向いた。そちらは、すべてコンファタブルで問題なし。BGMはこちらもジャズ。小さなヴォリュームでほとんどきこえないが、バルネ・ウィランの『バルネ』(RCA)がかかっていた、珍しい。今日のトマシュ・シュタンコ盤は、少し気が早いですが、4月の終わり頃にECMの傑作が何枚か出ますがその中の一枚。発売されて早くも10年か、って感じです。もうこの10年の間でいろいろ絶賛してきているので、あんまり書きませんが、いち早くお知らせです。(山本隆)

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3/14(fri)
セロニアス・モンク / セロニアス・モンク・ウィズ・ソニー・ロリンズ


THELONIOUS MONK セロニアス・モンク

THELONIOUS MONK AND SONNY ROLLINS / セロニアス・モンク・ウィズ・ソニー・ロリンズ

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD

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この1曲目に収録されている「The Way You Look Tonight」は好きな曲だ。ボクの中で思い出深い3大「The Way You Look Tonight」は因みに、『ジャッキー・マクリーン・クィンテット』(Ad-Lib →Jubilee)の4曲目、エリック・ドルフィー『イン・ヨーロッパ Vol2』(Prestige)の3曲目、そしてコレだ。この3つに共通するのは、上から目線というか、高圧的というか、そんな雰囲気が充満で好きなのだ。ま、この曲の趣旨がそうなんだから、そうなってしまうのかもしれないけど。でもそれが心地よい、気持ち良い。めちゃめちゃにしてくれ、どうにでもしてくれ、という自暴自棄な気持ちになる自分が好きだ。ここでのロリンズは、やや凶暴、荒削りな感じで、一層その高圧的な雰囲気を出す、1954年の録音だ。昔は、これは、再発の緑のジャケで聴いていた、『Work!』というタイトルだった。個人的には、あちらのジャケのほうが好きなんだけど。『ミステリオーソ』で初めて聴いた「ナッティ」をここでもやっている。個人的には『ミステリオーソ』のほうが好きだ。というかピアノトリオでの演奏はやや物足りない。(山本隆)

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3/12(wed)
ハンク・モブレー / テナー・コンクレイヴ

HANK MOBLEY
ハンク・モブレー

TENOR CONCLAVE
テナー・コンクレイヴ

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD

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アルゼンチン出身の教皇フランセスコが選出されて明日13日で一年が経過する。何度かのコンクラーヴェののち選出された。コンクラーヴェとは、<教皇選挙>を意味する。昔高校時代にこの言葉を習った時には、<根競べ>なのかなと思ったことがある。しかしあながち間違ってはいないかも。何年か前までは、投票を行う枢機卿たちはシスティーナ礼拝堂内に閉じ込められ、新教皇が選出されるまでは礼拝堂から出ることを禁じられていたのだ。この閉じ込められというのが、いい。Conclaveはラテン語で で「鍵がかかった」という意味なのだ。何回も決戦投票をして、決まるまで退出できない、なんて、<根競べ>の何物でもないような気がする。そして、決まらなければ、黒い煙、決まったら白い煙がシスティーナ礼拝堂の煙突から上がり、サン・ピエトロ大聖堂の鐘も鳴らされ、大広場に押し寄せた群衆を興奮させるのだ。それは、映画『天国と悪魔』に詳しい。映画ではわからなかったけど、実際に青銅製大天蓋(バルダッキーノ)を見ると不気味で<悪魔>を思わせた。その高さ10メートル以上と結構でかい。あ、それから、ここには、ミケランジェロが若い時に作った<ピエタ>が鎮座しており、彫刻の最高傑作と呼ばれている。ボクは遠目でよくわからなかったが、多くの人は泣きながら食い入るように拝んでいた。野上弥生子はその著書『訪米の旅』(岩波書店)の中で数ページを割いて、この<ピエタ>の印象を綴っているので興味ある人はどうぞ(彼女は昭和13年にローマを訪問している)。さて、この作品のタイトル『テナー・コンクラーヴェ』もそこに由来していて、いっちょう<テナー教皇>を選ぼうじゃないか、という遊び心に溢れているタイトルな気がする。白い煙や黒い煙は出ないけど、その丁々発止ぶりに火花を散らす。それぞれのソロの順番を当てっこするのも面白いだろう。例えば今聴いている2曲目「ジャスト・ユー・ジャスト・ミー」のソロ・オーダーは、ハンク・モブレー、ズート・シムズ、ジョン・コルトレーン、そしてアル・コーンという順番である。録音は、1956年でズートとハンク・モブレーの絶頂期にあたる。(山本隆)

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3/11(tue)
アート・ファーマー / ホエン・ファーマー・メット・グライス

ART FARMER
アート・ファーマー

WHEN FARMER MET GRYCE
ホエン・ファーマー・メット・グライス

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD

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セントラルパークの中だろうか。初冬だろうか、真冬だろうか、初春だろうか。アート・ファーマーとジジ・グライスがとにかくガッチリと握手をしている構図のジャケ。このジャケが好きでよく眺める。昔は真冬で寒そう、と思っていたけど。陽光が少し優しげで、もしかしたらこれからだんだんと春に向かっているのではないか、と感じさせるものもある。ともかく秀逸なジャケットとして燦然と輝く、と思う。この作品は、1954年55年の録音だ。1957年にはジジ・グライスは、ドナルド・バードとJazzLabを結成して短い期間に多くの作品を録音した。先日発売されたソニーの1000円シリーズのコロムビア盤もその一つだ。ただ残念なことに、もう一枚のコロムビア盤の『Modern Jazz Perspective』が今回の発売ラインナップに入っていないのはまことに残念だ。「ステッピン・アウト」などのハード・バップの名曲が収録されている。おっと、2時46分だ、黙祷。。。。。またなんとも洒脱軽妙なジャッキー・パリスの歌が小粋なんだな。まぁ次回のラインナップには是非期待しております。ということで、ジジ・グライスのキャリアの中では、初期とも言える段階の作品。既にジジ・グライスの個性が発揮されているようだ。みずみずしさそのものの音色がイイね。ボクが魅せられた曲は、3曲目の「スチュペンダス・リー」という曲、ジジ・グライスのオリジナル曲。グッとくる。(山本隆)

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3/10(mon)
GEORGE CABLES / Icons and Influences

GEORGE CABLES ジョージ・ケイブルズ

Icons and Influences

HIGH NOTE / US / CD

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週末、お通夜、葬儀と参加してきた。身内のお別れ会への参列は8年ぶりとかだ。身内とは本家の叔父さんのこと。急死であったらしい。つい先週も実家の我が家に遊びに来ていたそうだから元気だろう。89歳だった。葬儀の終盤になり、最後に身内だけでご尊顔を拝する時間というのが設けられている。穏やかな顔だ。まったく声を荒げることのない優しい人であった。ある事柄を思い出した。もう40年も前、お盆になると大抵本家の墓参りをする。そして夕方くらいから親戚一同が集まり、食事会が始まる。山本家の系統としては、総じて酒に弱い家系である。特に我が家は父親も兄貴も飲まない。だから必然的にボクへのお酌が回ってくる。当時中学生だったボクに叔父さんは「まぁ、いいから、いいから」とビールを勧めた。調子に悪ノリしたボクはビールを飲みすぎた。田んぼの川沿いにある側溝に顔を沈めて思い切り吐いた。気持ち悪い。しばらく草の上で横たわっている時に見た満天の星空。叔父さんの穏やかな顔を見ているうちにそんなことが思い出されてきて、こみ上げてきたのだった。
昔DIWでも録音をしたことのあるジョージ・ケイブルスの2013年新作録音盤。影響を受けたジャズの巨人に捧げた、あるいはインスパイアされた形で構成されている。1曲目はシダー・ウォルトン、2曲目はマルグリュー・ミラー、6曲目はボビー・ハッチャーソン、8曲目はビル・エヴァンスという感じだ。そういう類のアーティスト所縁の曲というのはボクは好きなので、大歓迎だ。プレスティッジ・レーベルの血を汲むジョー・フィールズのレーベルHighNoteからの作品。(山本隆)

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3/6(thu)
MISHA TSIGANOV / Artistry of the Standard


MISHA TSIGANOV

Artistry of the Standard

CRISS CROSS / NED / CD

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先日、シュート・アロー氏の本『昭和、東京、ジャズ喫茶』の巻頭を飾った飯田橋のコーナー・ポケットへ行ってきた。飯田橋には、東京理科大ジャズ関係者が集う<駒安>という居酒屋があって、そのOBらが足繁く通う。ボクももう数年は通っている。もちろんジャズが流れている。そこでデザイナーと打ち合わせをして、なんとなくコーナー・ポケットへ行ってみようということになり行ってきた。確かに重厚そうなドアを開けるまでは勇気を要したが、中に入れば気さくなマスターが待っていた。会話も弾み3時間も長居してしまった。小さな店だけど、ボクらみたいな昭和のジャズ喫茶族としては、居心地が満点でありました。あと結構安かったし満足でした。
サンクトペテルブルク出身のミシャ・ツィガノーフはキャリアの長いピアニストでこれがクリスクロス初作品だそうだ。スタンダードの数々を演奏した。例えば、6曲目には「Four On Six」が演奏されている。これはウェス・モンゴメリーのヴァージョンが有名過ぎて、まったく別の曲のようなイメージだ。ショーターの「Fall」、「This Is For Albert」、コール・ポーター「Get Out Of Town」など演奏している。トランペット、サックスの2管ハードバップ。(山本隆)

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3/5(wed)
BARNEY WILEN / BARNEY

BARNEY WILEN バルネ・ウィラン

BARNEY / バルネ

ソニー・ミュージック・エンターテイメント / JPN / CD

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SONYの1000円シリーズから。ハード・バップの名盤だ。このオリジナル盤はフランスRCAで、世界で人気があり高額だ。パリのレコード店<パリ・ジャズ・コーナー>で状態の良いオリジナル盤を買ったことがある。それはもう新品と言ってよくて心が躍った。バルネのSWING盤とかもあり、「流石本場パリ」と叫んだものだった。1959年クラブ・サンジェルマンでのライブ。アメリカからデューク・ジョーダンとケニー・ドーハムが参入。バルネ、ポール・ルベレ(b)、ダニエル・ユメール(ds)がパリ組だ。やった当人たちも、50年以上経過した今でも世界中のリスナーに聴かれ続けている、なんて思ってもみないことだろう。とにかくソロが素晴らしい。ああ、残念今から出かけるので、今日はこの辺で。(山本隆)

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3/3(mon)
アート・ファーマー/ ザ・タイム・アンド・プレイス

ART FARMER
アート・ファーマー

THE TIME AND THE PLACE
ザ・タイム・アンド・プレイス

ソニー・ミュージック・エンターテイメント / JPN / CD

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もう3月だ。時がたつのは早い、特にこの歳になるとますます加速しているような気がする。箱根駅伝をブルーノートの旗を振って応援していたのが、つい先日のような気がしているのに、もう3月だ。この分で行くと、すぐに夏だし、すぐにクリスマスだし、忘年会、新年会ということになるのだろう。まいいけど。今日はSonyの1000円シリーズからの一枚を紹介する。地味な作品だと思う、これ。オリジナル盤の世界でも、評価されることはまずない。1000円くらいで買えるような気もする。でもそんなこととは関係なくて、好きなんだよね、これ。よく聴いたな。録音が1967年、そしてライブ盤ということもあり、本当は優先順位の低いレコードなんだけど、何故か買ったんだよねソニーの国内盤。買ったからには、その元をとろうと真剣に聴く。そして、見つけた、いい曲。「メイク・サムワン・ハッピー」、誰もがバンバン演奏していていちいち気にも留めない曲なんだけど、このヴァージョンはいいんだよね、ほんわかとした感じ。それと一番いい曲が、「ショート・ケーキ」、J.J.ジョンソンの曲だ。『イエスタデイズ・ソウツ』はメランコリーな雰囲気たっぷりで人気盤だけど、ボクにしてみれば、こちらのほうがよく聴いた個人的に。ま人それれぞれなので、なんとも言えないけど、こういう作品もこんな機会でもないと発売はされないだろうな。(山本隆)

2014.02.03

【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 Feb.

2/28(金)
J.J.ジョンソン/ J.J.Inc.

J.J. JOHNSON
J.J.ジョンソン

J. J. INC.

ソニー・ミュージック・エンターテイメント / JPN / CD / SICP3987 / 2014年02月26日 / 1,050円(税込)

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SONY、BMG,EPICなどの名盤が1000円盤で26日に復刻されましたね。色々といいのがあるんだけど、今目に飛び込んできたのがこれだった。『J.J.INC』だ。クリフォード・ジョーダン、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトン、アーサー・ハーパー、アルバート・ヒースという陣容の3管ハードバップ作品。これ諸手を挙げて絶賛しているレヴューなんて見たことがないけど、密かに「名盤なんじゃないか」と思って生きてきた。それでも1曲だけなんだけど、集中的に聴いてきた。曲は「shutterbug」というもので、カメラ小僧というか写真愛好家という意味だ。この曲がハードバップ好きを刺激する。曲想が、アート・ブレイキーの「ア・ラ・モード」や「スリー・ブラインド・マイス」を思わせる、前のめりのクラウチングスタイル前傾姿勢ハードバップ。アーサー・ハーパーというマイナーで無名のベース奏者が実はグイグイとリーダーシップを発揮し、リズムの根底を支える。そして各人が順番にソロを発表してゆく。フレディーのソロは瑞々しくて驚嘆に値する。クリフォード・ジョーダンのソロもすばらしい。あっという間の7分なのだ。この手の作品はこのような廉価シリーズの際にだけ発売されるものなので、見逃さないよう要注意だ。(山本隆)

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2/27(木)
SAI GHOSE / India Looking West


SAI GHOSE サイ・ゴース

India Looking West

SUMMIT RECORDS / US / CD / DCD277 / 0305OPS-03 / 2004年09月01日 / 2,730円(税込)

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今朝のニュースを見ていたら、pm2.5が日本にも飛来してきているとのことだ。しかも奴らは、花粉の細胞をも破壊させる力を持ち、花粉を更に1/30とかに細分化させるのだという。すると細かくなった粒子が肺細胞の奥地まで入り込み、更なる悪さをするのだという。そうかそうかそうなのか。昨日あたりから、胸が痛い。呼吸が少し困難になってきている。敏感なオレには既にそのpm2.5が悪影響を与え始めているのだ。しかしこれくらいの症状ならまだ我慢できる。数年前、8年前とかはもっと症状がひどくて、階段を5段も昇るとぜいぜいと息が切れる。普通に歩いていても、おじぃいちゃん、おばあちゃんにまで追い抜かれる。普通に歩けないのだね、ぜいぜいしちゃって。朝から晩まで徹夜で咳は止まらないし。なにより物事に集中できない、いやな季節がこれからやってきます。サイ・ゴース。久しぶりに入荷をさせてみたので、あらためてご紹介したい。「名盤みつけたっ」とジャズ友達にSNSを駆使して知らせたくなる、超コーフンを秘めた曲が、「India Looking West」だと思っている。この10年間で出会ったピアノトリオの楽曲の中でも、忘れられない位置を占拠している、ボクの中で。もちろん色々なスタイルがあるので、必ずしもその同一線上で比較することはできない。ヘルゲのタイプもいいし、マルチン・ヴァシレフスキもいい。あっ、そういえばボクは、昔からアール・ハインズの『ヒア・カムズ・アール・ハインズ』(Contact原盤)が好きだ。1968年くらいの録音で、リチャード・ディヴィス、エルビン・ジョーンズのトリオだ。その中で「The Stanley Steamer」という曲があってこれが積極的に素晴らしい。ひとつの頂点的曲だと思っている。その曲と「India Looking West」の雰囲気、感じるものが、なんとなく似ているような気がしている。とにかく俺についてこい!とグイグイと引っ張るタイプ。人間のタイプとしては好きではないが、ジャズでは大歓迎である。そうだ。あのアール・ハインズを想起させるので、ボクは好きなのかもしれない。アール・ハインズを知らなくても誰もが「おっ」と思ってしまう(だろう)。見過ごせないそんな曲だと思う。この機会に是非。(山本隆)

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2/26(水)
ステファン・ツァピス / チャーリー・アンド・エドナ

STEPHANE TSAPIS
ステファン・ツァピス

CHARLIE AND EDNA
チャーリー・アンド・エドナ

BOUNDEE / JPN / CD / DDCJ4012 / XAT-1245592088 / 2014年02月19日 / 2,625円(税込)

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このステファン・ツァピスのことを知ったのは、2年前『四つの手とひとつの口のための音楽』というCDを聴いた時だった。パリで活動している仲野麻紀さん(サックス)とのデュオ作品だ。いかにも大陸的で自分らの想いを作品の込めた姿勢とその音楽にも興味を覚えた。日本のマーケットには受け入れられないかもしれないけど、そんなことは「まあまあ、いいんだよね」的な芯の強さがある。仲野さんは時折日本に帰りコンサートなどもこなす。陰陽師の夢枕獏さんがステージで朗読するバックでサックスを披露したりもしている。また昨年の11月には、「ブルキナファソの大地から、日本の大地へ」という数年がかりのプロジェクトを単独で成功させている。今回彼女はこのライナーを担当している。しかしボクも『四つの手とひとつの口のための音楽』を聴いていなければ、このステファンのことを知る由もなかったのだけど。しかしこのステファンのCDを発売したレコードレーベルが実は、Cloudなのだ。Cloudは、日本では知られていないようなデンマークとかヨーロッパのアーティストの作品を、多くリリースしている。その情熱にはいつも頭が下がる。そのレーベル、米山さんの審査を通ったということで、気にならないわけがない。1曲目の「チャーリー」という小曲で、彼らの世界への入り口としよう。2曲目では、なんとなくモンマルトル周辺を散歩しているような映像が目の前をよぎっていく。曲によりチェロ、クラリネット、ギターなども入るが基本編成はピアノトリオ。日本のマーケットはピアノトリオ重視なのだけど、世界ではそうでもないことが多いので、あまりそれを気にもしない。そういうことだけど見過ごしてしまうジャズもあるので、ジャズ好きの人にはオススメしたい一枚だ。(山本隆)

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2/25(火)
KARI SJOSTRAND / Helt Enkelt


※こちらの商品は現在、未入荷となります。

不思議なサウンドに変に魅了されてしまいましたね。カリ・フェストランドは女性でヴォーカルとサックスを披露。それとベースとのデュオ。なので、歌がありベースがリズムを刻み、歌が終わるとサックスが聴こえてくる。そのテナーサックスもどこか、はかない。最初は何だこれは?と思いながら聴いていたんだけど、彼女と彼のタイム感覚にボク自身がようやく追いついた時、妙な感覚に囚われて、そうしてその虜となってしまった。スウェーデン語の語感を楽しみ、一切の音楽の楽しさも排除して彼と彼女の世界を展開していく。もしかしたら、これはものすごいことをやっているのではないか、と思う。最初ははかなくて素朴な様子が、下手なのではないか、と思ってしまったのだけど、それは計算されつくした彼と彼女の力量なのだろう。興味本位に覗いてしまったボクは、その一派に属してしまったような感覚でいる。因みに、前作にはこの作品がありましたね。(山本隆)

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2/24(月)
RYAN KEBERLE / Music Is Emotion

RYAN KEBERLE
ライアン・ケベール

Music Is Emotion

ALTERNATE SIDE RECORDS / US / CD / ASR006 / JZ130215-55 / 2013年02月15日 / 2,400円(税込)
 


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先週の金曜日はこのレヴューを書くことができなかった。いつもは朝一番で書くことが多い。金曜日は9時に来たのだが、なんだかだるい。前の晩は一滴も飲んでいないので二日酔いではないし。時間の経過するのが遅い。足が、筋肉がボーっとしている感じだった。結局無理だと判断して10時過ぎには帰宅とした。自宅近くの行きつけのクリニックへ直行した。医者「咳は出るの?」ボク「はい出ます」医者「いつから?」ボク「2週間前から」医者「あっそれは花粉症だね、丁度2週間前から飛び始めていて敏感な人は、症状でている。からだもだるくなるよ」ボク「あっ、そうなんですか」医者「じゃアレルギーの薬出しておくから」ボク「あのー、受付で熱測ってないので測ってもらえますか」医者「えっ測るの、まいいけど。アレ?38.2°Cあるね?」ボク「でしょう、インフルじゃないかと思ってきたんですけど」医者「じゃこのマスクして、鼻で検査するから」10分後、医者「インフルじゃないみたいね、風邪薬出しておくから」ということだった。あそこで熱の問題提起をしなかったら、花粉症患者として扱われ、いまだ熱でうなされていたかもしれない、怖い話でもあった。まだ本調子でもないけど、なんとか来ている感じです。さて、アメリカのトロンボーン奏者の作品で編成が、トランペット、ベース、ドラムス(2曲でスコット・ロビンソンのサックスが入る)というもの。このトロンボーンの人はアメリカの人らしい。どんな活動しているのかも、よくは知らない。お気に入りの曲が入っていて、それがよかったというわけではない。ただなんとなく気に入ったというか。このトロンボーンの音色とか奏法(別に詳しいわけじゃない)なんか。トロンボーンの魅力は朴訥、素朴感。残念ながら「ほんわか」感はそんなにはない。そんな感じが出ているようで。2012年録音。(山本隆)

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2/20(木)
プレスティッジ・オールスターズ / オール・ナイト・ロング

PRESTIGE ALLSTARS
プレスティッジ・オールスターズ

ALL NIGHT LONG
オール・ナイト・ロング[+2]

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5273 / XAT-1245592042 / 2014年02月19日 / 1,890円(税込)

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2曲目の「Boo-Lu」はハンク・モブレーの曲だが、実際としては、ジェローム・リチャードソンを聴くための曲となっている、ボクの場合。24秒あたりから2分53秒あたりまで彼のフルートのソロが堪能できる。実際彼を認識したのは、この作品であったし、ジェローム・リチャードソンといえば真っ先にこれが頭に浮かぶ。総じてこの作品での彼のプレイは冴えているのではないか。モブレーのソロは控えめで短いが彼の持ち味が十分出ている。(山本隆)

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2/19(水)
OMER AVITAL / New Song

OMER AVITAL
オマール・アヴィタル

New Song

PLUS LOIN MUSIC / FRA / CD / PL4568 / 1006029961 / 2014年02月17日 / 2,200円(税込)

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これは、いいね。郷愁の曲が満載。どの曲も沁みてくる。解説は、原田和典さんのライナーに詳しいからそちらで読んでください。今日一日はこれで過ごす。文章が短いからといって、思いの度合いが少ないということではなくて、凄すぎて何も言えない、言う事ないということです。(山本隆)

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2/18(火)
ジャック・ウィルソン / ソング・フォー・マイ・ドーター

JACK WILSON
ジャック・ウィルソン

SONG FOR MY DAUGHTER
ソング・フォー・マイ・ドーター

ブルーノート / JPN / CD / TYCJ81089 / XAT-1245591192 / 2014年02月26日 / 1,575円(税込)

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深酒をすると大抵、寝言を言うらしい。今日もそうだったと女房に言われた。「滔々と何やら話しているらしい。「おかげで寝不足」と。確かにここ2年くらいの寝言には凄まじいものがあるようだ。自分では寝言はわからない。英語での寝言も頻繁にあるようだ。英会話教室のつり革広告で「英語で寝言が言えたら〇〇前」なんてあったけど、自分でも「英語でかよ」とは思う。寝ている時の自分は果たして自分なのであろうか、よくわからない。よくわからないと言えばこのレコード。昔聴いたことがあるような気がするが、聴いていないかもしれない。でも、7曲目などを聴くと頭のどこかの棚にそっと仕舞われているような気もする。聴いたことがあるような感じ。明大前のマイルスにあったこのレコードはジャケがボロボロだったような気がするし、そもそもなかったような気もする。わからない。ここまでわからないと「自分大丈夫か」と自問自答したくなる。ジャック・ウィルソンには何も想い出も思い入れもない。おそらくこのジャケが好きなんだろう。それからストリングスが入って、気持ちがよい。ほとんどイージーリスニングなんだけど。9曲目なんかいいな。(山本隆)

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2/17(月)
DONALD BYRD GIGI GRYCE / THE COMPLETE JAZZ LAB SESSIONS

DONALD BYRD ドナルド・バード

The Complete Jazz Lab Sessions(4CD)

JAZZ DYNAMICS / EU / CD / JD004 / XATW-00127973 / 2013年03月18日 / 組数 4 / 2,700円(税込)

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ディスクユニオンでは、無料のフリーペーパーの小冊子を幾度も作ってきた。比較的長く続いたのは、「What’s New」で5号以上は作ったと思う。それから「Doo Bop」も何号か出した。その後も1号か2号で発行中止にしたものもあった。個人的には、18年前に「だったらジャズ」という日刊の新譜案内を手書きで10枚程度プリントしたものを配ってたりもした。タイトルは雰囲気で適当に決めていた。2010年からJAZZPERSPECTIVEという雑誌の編集をやっている。書店販売もする有料雑誌となると気の利いたタイトルにしなくちゃ、と張り切ってみた。ジャズを俯瞰する、過去から現在を大局的に扱うというコンセプトを英語にしてみたら、JAZZPERSPECTIVEになった。そうだそうだ、ボクは、ドナルド・バード=ジジ・グライスの『MODERN JAZZ PERSPECTIVE』(Columbia)が好きだったではないか。また、ブルーノート盤の『A New perspective』も好きだったじゃないか。丁度好きなレコードのタイトルにもなっていてお誂え向きだ。調べたら、イギリスにJAZZPERSPECTIVESとSが付く刊行物があるようだっただけなのでこれに決めたのだった。この話は本誌上でもまだ書いていないので、その内書かなくちゃ。でなんで今そんなことを書いているかというと。ドナルド・バード=ジジ・グライスのJazzLab名義の作品を集めたTHE COMPLETE JAZZ LAB SESSIONSというCDが出ていることに今気がついたから。もちろんMODERN JAZZ PERSPECTIVEも収録されている。で久しぶりに聴いてみた。そうそう、なんかスキャットだけのジャッキー・パリスのヴォーカルがいいんだよね。1曲目の「Satellite」を聴いた瞬間、ボクの時間が20歳の時の時間に戻りましたね。あの乾いた空気、古びたコンヴァース、汚れたリーヴァイス、ポケットに突っ込んだ岩波文庫。扉を開けると漂う珈琲の香り、明るい夏の日差しから突然の暗闇、そして煙草の煙り。ちょっと懐かしい映像を観た感じだ。それほど愛着もって聴いてたんだな。ボクはこのドナルド・バード=ジジ・グライスのJazzLabが好きなので、ほとんど聴いている。ジジ・グライスのみずみずしいアルトの音色が素晴らしい(ほんの一例、ランディ・ウェストンの名曲「リトルナイルス」におけるジジ・グライスのソロなど)。それからジジ・グライスの書く曲が素晴らしい。以上の2点で聴いてきただけだ。「X-tasy」がなんともいい曲。今久しぶりにそれらを目にして再度、その凄さに驚嘆しているのだ。(山本隆)

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2/14(金)
ソニー・ロリンズ / ムーヴィング・アウト

SONNY ROLLINS
ソニー・ロリンズ

MOVING OUT
ムーヴィング・アウト

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5258 / XAT-1245591138 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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今日も東京は雪。朝8時の時点で既に最寄駅市ヶ谷駅前の路上は雪で覆われている。転んじゃいけない、と思いゆっくりと歩いてきた。雪国育ちの人間が転んじゃかっこ悪いだろう。しかし思い出すに10歳くらいの時、これよりも何倍も強く降る田んぼの中の一本道を、雪まみれになりながら小学校へ通ったっけ。アレはすごかった。暴風で飛ばされそうに何度もなった。小さい時よりそのように<雪>には慣れているつもりだけど、東京の<雪>となるとまた違う。高校生の時、一晩で40センチくらい雪が降ったので、今日は通学の電車が遅れるだろうな、と見込んで少しゆっくり目に駅に行ったら、ジャスト・イン・タイムで電車が到着。ボクは完全に乗り遅れた、という経験があるので、雪などで電車は遅れないもの、という認識に至った。今日の京浜急行は、積雪ゼロセンチだけど、朝7時30分の段階で8分遅れということだった。今日の夕方まで降るとすれば心配ですね。さて2月に入ってから、また文庫本を読み始めた。久しぶりだ。大学時代は日に2冊、ないしは3冊読んでいたことを思うと、この10年間は読んでなかったに等しい。で柳広司氏のミステリーを何冊か読んでいる。面白い。昭和10年代くらいのスパイ(間諜)の話。D機関なる組織を一人で築いた結城中佐という人物が謎めいていて痛快至極。その訓練というのが人並はずれたもので、それは驚愕に値する(と思う)。『ジョーカー・ゲーム』、『ダブル・ジョーカー』、と読んできて今日は『パラダイス・ロスト』を読んだ。短編で、「誤算」という章がある。フランスのパリが舞台。ドイツ侵攻に抵抗するレジスタンスの男女3人が登場する。その名前が、アラン・レルニエ、ジャン・ヴィクトール、マリー・トレースだ。63ページの短編。読んでいてまったく気がつかなかったのだが、「ジャンはマリーを手放さない」とかいう文章があってそこで初めて気がついた。アラン=ジャン・マリーなのだ。3人の名前はアラン=ジャン・マリーを構成しているのだ。フランスのピアニストであることは、ジャズを聴く人間には理解できる。しかし一般の人は知りもしないことだ。名前の中にそういうものを仕込んだ、ということは十分に想像できるが、この作者はジャズ好きなんだろうか。少し興味がある。<スパイ大作戦>を地で行くストーリーの展開を創作する人だ、アラン=ジャン・マリーを仕込ませるくらいのだろう。ということで、このソニー・ロリンズを聴いている。朝8時から既に夜7時のバータイムの雰囲気だ。普通の人にとっては。しかしジャズなんてのは大抵バータイムのような音楽だ。朝からロリンズを聴くなんてことは、もう17歳の頃よりやっていること。なんらの違和感なし。これは1954年の録音でセロニアス・モンク、ケニー・ドーハムなどが参加している。名盤『サキソフォーン・コロサス』の2年ほど前の録音になる。まだどこか荒削りな雰囲気にも感じられる。粗野でもある。しかしそれがロリンズの魅力でもある。10分を超す「More Than You Know」のバラードに酔いしれるバレンタインの朝。(山本隆)

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2/13(木)
フレディ・レッド / ピアノ・イースト・ウエスト


FREDDIE REDD
フレディ・レッド

PIANO: EAST/WEST
ピアノ・イースト・ウエスト

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5267 / XAT-1245591135 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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プレスティッジの10インチ盤を一枚にしたもの。プレスティッジの初期にはこのようなカップリングが結構ある。でもこのレコードは聴いた記憶がない。もしかしたら初めて聴いたかも。いやまてよ3回くらいは聴いているかも、よく覚えていない。1~8曲目までは、ハンプトン・ホーズのカルテットで1952年の録音だ。結構古い。ホーズの名作『トリオ』(Contemporary)が1955年の録音だからそれよりも前の録音だ。この『トリオ』はピアノトリオの作品としては、10代の時に一番聴いた。なので彼のフレーズとかよく覚えている。この52年の作品を聴いて、「ああ、ホーズのフレーズなんだよね、コレ」的な音が色々聴けて良かった。3年も違うとまるで別人というような人もいるから。それから、これはカルテットで、ラリー・バンカーがヴィブラホーンで参加している。ラリーがヴィブラホーンを演奏するというようなことを聞いたことがあるけど、実際どのレコードで聴けるのかよく知らなかった、コレだった。そのサウンドは悪くないというか好きな部類だ。テディ・チャールズ系だな。ハンプトン・ホーズのトリオじゃなきゃ厭かも、と思ったがこのサウンドならOKだ。6の「Move」は短い曲。レッド・ノーヴォの『Move』(Savoy)収録のソレとそっくりだ。それで後半がフレディー・レッドのトリオで1955年の録音。名盤『Freddie Redd In Sweden』(Metronorme)が1956年の録音だから、その前年の録音だ。といってもメンバーも違うので、そのサウンドは大分違う。良かったのは、10曲目の「The Things We Did Last Summer」のバラード。数年前に発売されたビバリー・ケニーの『Snuggled on Your Shoulder』にも収録されているけど、これもしっとりと聴かせてくれる。(山本隆)

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2/12(水)
ボブ・ブルックマイヤー /  ザ・デュアル・ロール・オブ・ボブ・ブルックマイヤー


BOB BROOKMEYER
ボブ・ブルックマイヤー

THE DUAL ROLE OF BOB BROOKMEYER
ザ・デュアル・ロール・オブ・ボブ・ブルックマイヤー

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5266 / XAT-1245591104 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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先週土曜日、ホントに東京に雪が降った。風も強く吹いたので一層ひどいように感じた。横殴りで舞う雪を眺めながら思い出したことは吉田健一だった。確か彼の著作に<大雪>に関することがあったような。おそらく『東京の昔』だ。昭和10年くらいの本郷あたりの話を書いている。読み返してはいないので記憶だけだけど。大雪降る夜、ひたすら若者と酒を酌み交わす、はしご酒を2日ほど延々と続けるという話だ(ったと思う)。その飲み続けるという逸話が痛快至極なのだ。吉田健一は、吉田茂元首相の息子なので一般人とは違う。高等遊民的で、どこか浮世離れした部分がある、それが好きだ。特に彼には、『酒に呑まれた頭』、『舌鼓ところどころ』、『私の食物誌』という酒を呑むこと、うまいものを食べることに関する著作があって、それが豪快だ。河上徹太郎などと汽車乗車中から飲み始めて、旅館に着いても朝まで飲み続ける、というようなエッセイが満載で、何度も読んでも驚嘆する。初めて吉田健一の<酒とおいしいもの>関連の本を読んだのが、21歳の時で、それから何十回と読み直しても唖然としてしまうのだ。ということで「東京の雪」で一昨日に思ったことでした。で雪とは全然関係なくて、プレスティッジ。タイトルの「デュアル・ロール」は、二つの役割という意味で、ここでは、ボブ・ブルックマイヤーが、ヴァルブ・トロンボーンとピアノを担当する、ということで実際演奏しているようだ。ボク自身としては、ブルックマイヤーに傾倒したということは一度もない。せいぜいジミー・レイニー絡み、テディ・チャールズ絡みで聴くに過ぎない。そのブルックマイヤーのピアノが凄い。エディ・コスタ風にガンガン弾くタイプでてっきりエディ・コスタとばかり思っていたよ。テディ・チャールズも参加しているので、クールな雰囲気が充満しており好きなサウンドだ。7曲目には、謎のヴォーカリスト、ナンシー・オーヴァートンのヴォーカルが聴ける。なかなか雰囲気あるなぁ。もしかして、ホール・オーヴァートンの関係者かなと思い調べたら、奥さんだった。録音は相当古くて1954年と55年だ。(山本隆)

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2/10(月)
ビル・エヴァンス / アフィニティ

BILL EVANS
ビル・エヴァンス

AFFINITY
アフィニティ

ワーナー・ミュージック・ジャパン / JPN / CD / WPCR27302 / XAT-1245583098 / 2013年06月26日 / 1,000円(税込)

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昨晩、BS日テレで、『夜叉』を観た。1985年公開、高倉健、田中裕子、ビートたけし、田中邦衛などが出ている。記憶にないのでたぶん初めて観た。高倉健の東映のやくざ映画は、VHSのビデオで随分買って何度も繰りかえしている。『昭和残侠伝』が好きだ。クライマックスは決まって池部良と雪降る道を、二人で殴り込みに行く。これが痺れる。古めのそういう映画が好き。この『夜叉』は、背景は現代におかれているが、ストーリーは侠客の仁義を重んじる昔の<健さん映画>だと思った。ストーリーはともかくとして、泣けた。途中耳に慣れたハーモニカがきこえてくる。「あれ、もしかしたらこれはトゥーツ・シールマンスなのではないか」と思い調べたら、やっぱりそうであった。そうかそうか、そういえばトゥーツ・シールマンスが健さんの映画のサントラ担当したような話があったな、と思い出した。時折挿入されるそのハーモニカが映画の進行と共に身に沁みてくる。公開当時は、まだ前の会社にて飛び込み営業の毎日という辛い日々を送っていたので、映画どころではなかった。当然観ていない。健さんが、やくざのボスを打ち殺すシーンでは、壁にジャズのポスター、テーブルの上には、ルイ・アームストロングのジャズ人形(JazzPerspective Vo4のコレクター訪問で紹介している)が鎮座していた。ラストシーンでは、田中邦衛の息子から手紙が来て、「東京のレコード店に就職して毎日忙しくしています。今では、ジャズ、クラシックのエキスパートと言われています」などという部分がある。はてさて、そのレコード店とは具体的には、どこをイメージして脚本されたのだろうか、と興味深々となったのだった。ふと、そういえばトゥーツ・シールマンスをしばらく聴いていないなということになって、ビル・エヴァンスとの名盤『アフィニティー』を聴いているわけだ。ボクは、「I Do It For Your Love」というのが一番好きなので、とりあえずこれを朝から繰り返している。(山本隆)

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2/7(金)
ジャッキー・マクリーン / ジャッキーズ・パル

JACKIE MCLEAN
ジャッキー・マクリーン

JACKIE'S PAL
ジャッキーズ・パル

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5268 / XAT-1245591136 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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最初、風邪かと思っていた。先日から咽喉が痛いとは思っていたが、鼻水、目のイタミが昨日から加わり、いよいよ重症地帯に踏み込んでしまった、と思う。でも、もしかしたらこれは、花粉症なのではないか、と疑う。ヤフーニュースで花粉状況を調べる。「花粉少ない、心配なし」とある。でもよく読むと「敏感な人には、早くも症状が出るでしょう」とあった。そうかそうか、ボクは「敏感な部類」の人間なのだ。しかし昨年、一昨年はまったく症状が出なかったのに、久しぶりに「敏感」になったのは、何か特別なカラダの変化があったのだろうか。冬に2週続けて、雪国を訪問した、アレが体質に変化をもたらしたのだろうか。でも明日の土曜は雪のようだから、とりあえず沈静化を望む。
またどかんとプレスティッジの7000番台が発売されたので、どんどん紹介したい。今日は、マクリーンだ。そして、タイトルでも明記しているように、ビル・ハードマンを紹介したいと特別な扱いをしている。しかもタイトルでは「ジャッキーの友達、仲間」と宣言している。ビルは特別な存在なのだ、いや、そうなのだろうか。ドナルド・バードやアート・ファーマーに比べて見劣りする。聴いていて痛々しくなることもある。しかし、その部分が味わいであり、個性である、ということもできる。実はボク、ビル・ハードマンが好き。昔結構聴いた。例えば、アート・ブレイキーの『Hard Drive』(Bethlehem)では、ジョニー・グリフィンとの2管ハードバップを形成している。「Deo-X」という曲はビルの曲で、これがなかなかグルービーなんだ。『マクリーン・アンド・カンパニー』(Prestige)とか、1956年から数年のアート・ブレイキーのコンボで聴ける。あ、そうそうグリフィンとのコンビでは、『プレイズ・レーナー・アンド・ロウ』(Vik)というのもある。このレコードは、1956年の録音でマクリーンも絶頂期と思う。3とか5とか6とか良いぞ。「It Could Happen To You」ではビルのソロプレイに味わい深いものがあるぞ。(山本隆)

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2/6(thu)
ベニー・グリーン / ブロウズ・ヒズ・ホーン

BENNIE GREEN
ベニー・グリーン

BLOWS HIS HORN
ブロウズ・ヒズ・ホーン

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5252 / XAT-1245591232 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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好きなレコードだ。名盤だと思う。ベニー・グリーンの魅力が満載だ、と思う。彼の魅力とは何か。それはボクの持論だが、フラーやジョンソンにはない、田舎っぽくて素朴で<ほんわか>とした音なのだと思う。間延びかな??とも思えるようなサウンドに無性に愛おしさを感じる。例えば、2曲目の「ローラ」だ。数ある「ローラ」のバージョンの中でも昔から好んで聴いてきたものだ。チャーリー・ラウズのソロ展開、スローバラードで聴かせる。クリフ・スモールズの軽妙洒脱なソロ、少しアップになる。そして4分ちょうどくらいからの、<ほんわか>したトロンボーン、いいじゃないか。3曲目は「Body And Soul」だ。この曲はあんまり好きじゃない、どちらかというと嫌いなほうだ。でもこれだけは別なんだよね。<ほんわか>としたグリーンのテーマが一通り終わる2分過ぎ、キャンディドのコンガを合図にアップテンポに、そして全員がノリノリで音を入れてくる。高飛車にもきこえるラウズ節が絶好調だ。ところで、この録音は1955年なので、ラウズの代表作『Yeah』(1960年)よりも5年も前の演奏だ。セロニアス・モンクのコンボに入るのも59年くらいだし。1954年には、ジョー・ゴードンの『Introducing』に参加している。ジョー・ゴードンなんて人はあまり、注目されないから知らない人もいるかもしれないな。まぁ、この『Introducing』(Emarcy)も名盤といえば名盤だ。また、シェリー・マンのコンボが、ブラックホークで演奏したライブ盤がVol1からVol4まで出ているが、その時のジョー・ゴードンは素晴らしく、特に「サマータイム」のソロは賞讃に値するだろう。またコンテンポラリーには『Looking Ahead』(1961年)というリーダー作もある。別に、この場でジョー・ゴードンは関係ないんだけど。そのうちジョー・ゴードンまとめて出れば楽しいのに。それで、ベニー・グリーンだけど。結局、こう書いてきても、そうかそうかと興味を持ってこれを買う、という人も誰一人としていない、かもしれない。もし聴けるのであればこんなのも、あんなのも全部聴いてほしいとは思うわけだ。それは趣味にもよるけど。そうそう、昨日は1979年頃のジョージ・デュークの再発CD10枚を同僚に渡されて、これは懐かしいと思いますよ、山本さんの10代の頃だから、と言われて聴いてみたけど、ひとつも聴いた作品なくて、何のシンパシーも感じなかった。ボクはまったくあの手の音楽はスルーで来ちゃっているから、、。やはり、その人の歴史、趣味によりますね。(山本隆)

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2/5(wed)
ビリー・テイラー / ウィズ・キャンディド

BILLY TAYLOR
ビリー・テイラー

WITH CANDIDO
ウィズ・キャンディド

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5251 / XAT-1245591231 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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ビリー・テイラーはまったく評価されない過小評価アーティストの見本のような存在で、悔しい思いを長年してきている。数年前に、AbcParamountの2枚『Evergeens』と『At The Londonhouse』が一枚のCDになった時があって、その時でも数名の方から快哉を叫ぶ声があがったにすぎない。残念だ。どこが悪いのだろう。まったく理解に苦しむ。これほど軽快でメロディアスで親しみ易いピアノはそんなにないぜ。まぁ、それはともかくとして、1曲目の「マンボ・イン」を聴いてくれ。この曲は、アフロ・キューバン・ジャズの生みの親でもある、マリオ・バオザによるもので、多くの名演がある。ビリー・テイラーのトリオに、コンガのキャンディドがダッグを組んで、この名曲にアタックしたのだから、悪いわけがない。数あるヴァージョンの中でも上位に位置するだろう。流麗に噤まれていくビリーの音の数数、心地よいじゃありませんか。キャンディドの神の手によるコンガもすごいよ。(山本隆)

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2/4(火)
ハンク・モブレー/ モブレーズ・メッセージ

HANK MOBLEY
ハンク・モブレー

MOBLEY'S MESSAGE
モブレーズ・メッセージ

ユニバーサルミュージック / JPN / SHM-CD / UCCO5261 / XAT-1245591238 / 2014年01月29日 / 1,890円(税込)

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ハンク・モブレーは日本人が好きなテナー奏者だと思う。一番好んで聴かれているのが、ブルーノートの『SoulStation』かもしれないし『ディッピン』かもしれない。ブルーノートの一連のリーダー作品も同様だし、サイドで参加している作品にも、いい味を出しているものが多い。このプレスティッジには、この作品と『Mobleys Second Message』がリーダー作としてある。どちらも人気の高いレコードで廃盤価格も高い。ジャッキー・マクリーン、ドナルド・バードの3管フロントのハード・バップだ。1956年7月の録音ということで、ホレス・シルヴァーの『The Jazz Messengers』(Columbia CL 897 /1956April)あたりに近い。シルヴァー盤との違いは、マクリーンが参加していないこと、ピアノがバリー・ハリスではなくてシルヴァーであること、ドラムがブレイキーであることだ。個人的には、「ニカの夢」が収録されているということで『The Jazz Messengers』はよく聴いたんだよね。なんか滑らかなモブレーのフレーズがいいんだよね。ブルーノートよりは、まろやか、やわらかい感じが実は好きだ。で『Mobleys Message』で痺れる曲というと、「バウンシング・ウィズ・バド」。パウエル直系のバリー・ハリスの小粋なソロに続いて出てくるバードのソロ、ハリス、そしてモブレーのソロが素晴らしい。これぞハード・バップと賞讃したい。あと、ドナルド・バードについて言うと、この1955年、56年あたりが個人的には一番好きだ。もちろんその時の状況や健康状態で多少の嗜好の変化はあるわけだけど。一番が、ジョージ・ウォリントンの『カフェボヘミアのジョージ・ウォリントン』(Progressive)で2番が、『ジャッキー・マクリーン・クィンテット』(Ad-Lib →Jubilee)ということになっている。それから、このシリーズでは、ライナーに「My Prestige」というエッセイが全作品に掲載されていて、ああ、あの人はこれが好きなんだというのがわかって面白い。でこの作品ではボクのエッセイが入っていますので、是非見てみてください。山本隆)

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2/3(mon)
GREGORY TARDY / Hope

GREGORY TARDY
グレゴリー・ターディー

Hope

STEEPLE CHASE / DEN / CD / SCCD31775 / 1006075446 / 2月下旬入荷予定 / 2,500円(税込)

 

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昨日の<別府大分毎日マラソン>は、濃霧で大変だった。別に現地に居たということではなくて、テレビ中継も霞んでいて何も見えない場面もあった。大分は大変だな、と思っていたら、その8時間後には東京の空も霧に包まれていて、数メートル先が見えない。楽天ビルの灯りがぼんやりと見える、というなんとも幻想的な感じだった。2位に終わった今井正人は残念だった、あと50メートルくらいだった。順天堂大学時代(2007年)は、山登りの今井として名を馳せた今井である。となんとなく時候の案件なども盛り込んでみた。今日はグレゴリー・タルディの新作から、いい曲見つけた。<ザッツ・オール>という曲で好きな曲だ。サラ・ヴォーンの傑作に『Crazy And Mixed Up』がある。ジョー・パスとかローランド・ハナとやった1980年代を代表する(と確信する)ヴォーカル作品の一枚。その中でこの曲を歌っている。サラ・ヴォーンの魅力全開、この曲の魅力全開のヴァージョンだ。思い起こしてもゾクゾクしてくる。その曲をここで見つけた。ワンホーンのテナー作品でじっくり味わう。バーかなんかで流れていたら極上のジントニックが飲めそうだ。さて今日はどうしようかな。(山本隆)

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