エソテリックからマスターサウンドで鮮烈によみがえる。「VERVE 6 GREAT JAZZ」発売!

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2018.04.10

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エソテリックからマスターサウンドで鮮烈によみがえる。
「VERVE 6 GREAT JAZZ」発売!!

ESOTERICからマスターサウンドで鮮烈によみがえる。JAZZ黄金期の「ヴァーヴ6ベストアルバム」

※こちらのタイトルは発売日以降の発送となります。予めご了承ください。

レーベル: ヴァーヴ
音源提供: ユニバーサルミュージック合同会社
ジャンル: ジャズ
DSD MASTERING/
Super Audio CD層: 2チャンネル・ステレオ(ESSV-90164)
モノーラル(ESSV-90163、65、66、67、68)
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ仕様
6枚組ボックスセット
“Super Audio CD“と“DSD”は登録商標です。

V.A.(ESOTERIC)
VERVE 6 GREAT JAZZ / ヴァーヴ・6グレート・ジャズ

V.A.(ESOTERIC) / VERVE 6 GREAT JAZZ / ヴァーヴ・6グレート・ジャズ

Master Sound Works
ジャズ専門レーベルとは一線を画した豪華メンバーによるセッション
ヴァーヴ・レーベルは1950年代後半、ジャズ界の名プロデューサー、ノーマン・グランツ(1918-2001年)が創設したジャズ・レコード最大のリリース枚数を誇る名門です。グランツはロサンゼルスの学生時代(UCLA)からジャズ・コンサートの企画を始め、44年にロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地フィルハーモニック・オーディトリアムで大々的なコンサートの興行に着手します。それが後に70年代前半まで世界中を賑わせたJ.A.T.P.(Jazz At The Philharmonic)です。錚々たるメンバーによるジャム・セッションを基調とした演奏合戦は大好評を博し、グランツはそうした大スターたちの演奏を記録し、自身のレーベル「クレフ」を創設、レーベルは「ノーグラン」と名を変え、50年代半ばを過ぎて「ヴァーヴ」へと移行して、そうした名手の演奏を発売していきました。その後60年代になると「ヴァーヴ」は敏腕プロデューサー、クリード・テイラーが『ゲッツ・ジルベルト』『プリーズ・リクエスト/オスカー・ピーターソン』『ザ・キャット/ジミー・スミス』などのヒット作を連発しますが、今回はノーマン・グランツの息がかかったジャズ界の重鎮の名演にスポットを当てた50年代の作品6点が選ばれています。登場人物をざっと見渡してもジャズ界にその名が轟く大物ばかりです。
トランペット:ディジー・ガレスピー、ルイ・アームストロング、ハリー・エディソン、ロイ・エルドリッジ
サキソフォン:レスター・ヤング、ベン・ウェブスター、イリノイ・ジャケー、ソニー・スティット、ソニー・ロリンズ
ギター:ハーブ・エリス
ピアノ:アート・テイタム、デューク・エリントン、テディ・ウィルソン、オスカー・ピーターソン
ベース:レイ・ブラウン
ドラムス:ジョー・ジョーンズ、バディ・リッチ
ヴォーカル:ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド
ブルーノート、プレスティッジといった若手を中心としたジャズ専門レーベルとは一線を画した、豪華なメンバーによるヴァーヴならではのセッションをご堪能下さい。

最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
ジャズでステレオ化が主流になったのは50年代の後半からですが、いまだに主流はモノーラルの時代、ここでは1作を除いてモノーラル録音ではありますが、しっかりとした充実度の高い音質を確保するように、綿密な製作工程を実践し、往年の名手の生々しい楽器の音色、リアルなヴォーカルの再生……、これらを考慮しながら、エソテリック特有の丁寧なマスタリング、製盤作業を行いました。
各ディスクで録音状況に違いはありますが、通常のESOTERIC盤と同様に「マスターに残された音、そのものを再現する」ように心がけています。今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、またMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。
このSuper Audio CDハイブリッド・ソフトはエソテリック株式会社の独占販売で、主にオーディオ販売店にて限定3,000セット販売されます。

ELLA FITZGERALD & LOUIS ARMSTRONG
ELLA AND LOUIS
エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング/エラ・アンド・ルイ
ESSV-90163

超豪華メンバーによる史上最高のヴォーカル・アルバム
プロデューサー、ノーマン・グランツが大好きな、スーパースターを集めてのレコーディング・セッションの中でも最高の成功作です。超大御所をヴォーカリストに迎え、サポート陣はオスカー・ピーターソン・トリオという名手揃い。それに加えてバディ・リッチをドラムスに起用するという信じられない豪華メンバーです。しかもあくまで主役はエラとサッチモの2人、伴奏のクァルテットにはソロもほとんど与えられませんが、そうしたサポートが2人のヴォーカリストにこの上ない活力を与え、50年代の、いや20世紀の不滅の金字塔ともいわれるヴォーカル作品が完成したのです。

両者の個性が鮮やかに
「ヴェテランの息の合った2人のヴォーカルが何とも楽しく、両者の個性の鮮やかな対比が見事なまでにとらえられている。スタンダード中心の選曲もヴォーカル入門者には嬉しい。」(ジャズ・レコード百科'79) 「ノーマン・グランツ以外には成し得ない企画である。ダミ声ながらソウルにみちヒューマンな表現のサッチモに対し、美しくかわいいとさえいえる声の持ち主エラ・フィッツジェラルド……、ともに聴く者をハッピーな気分にさせてしまう。」(ヴォーカリスト334)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
今回のマスタリングはジャズに見られる幾分かのデフォルメ、強調を出来る限り排除してオリジナル録音に限りなく近づけるよう心がけています。そのためジャズ的なパワーは多少抑えられていると感じられる箇所もあるでしょうが、ディスクの最初から終わりまでを通して聴くとその良さを理解していただけるような音づくりを目指しました。冒頭、オスカー・ピーターソンのピアノの小気味よさ、ヴォーカルのシンプルな表情を聴き取ってください。伴奏陣もヴァーヴ特有の一歩下がった収録ポリシーを考え、制作者の意図を汲んだマスタリングを行いました。

収録曲
お友達になれない?
イズント・ジス・ア・ラヴリー・デイ
ヴァーモントの月
誰も奪えぬこの想い
青空の下で
テンダリー
霧深き日
アラバマに星落ちて
チーク・トゥ・チーク
あなたのそばに
エイプリル・イン・パリ
エラ・フィッツジェラルド(ヴォーカル)、ルイ・アームストロング(ヴォーカル、トランペット)、オスカー・ピーターソン(ピアノ)、ハーブ・エリス(ギター)、レイ・ブラウン(ベース)、バディ・リッチ(ドラムス)

[録音]
1956年8月16日 mono、ロサンゼルス
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ

DUKE ELLINGTON & JOHNNY HODGES
BACK TO BACK
デューク・エリントン&ジョニー・ホッジス/バック・トゥ・バック
ESSV-90164

最高のアルト・サックス奏者による豪華メンバーの協演盤
デューク・エリントン・オーケストラの中核ジョニー・ホッジスは最高のアルト・サックス奏者です。楽器の持ち味を十二分に発揮させた研ぎ澄まされた音色、アップテンポでのノリの良さ、スローテンポでの情感、すべてにおいて他とは一線を画した実力者です。そんな彼に相応しいメンバーがこのセッションには揃っています。彼が在籍しているデューク・エリントン・オーケストラのリーダー、デューク・エリントンがピアノに座り、もう一つの人気ビッグ・バンド、カウント・ベイシー・オーケストラからはトランペッター、ハリー・エディソンと「アメリカの柱」、「アメリカの土台」とも言われた名手、ドラマーのジョー・ジョーンズという豪華役者の勢揃いです。

アルトの多彩な音色とエリントンのピアノの対比が素晴らしい
「ジョニー・ホッジスのアルト・サックスの多彩な音色、楽器コントロールとデューク・エリントンの力感が充満した強靱なタッチ、そして独自のフレーズを駆使したピアノがディスクを聴き終えた今も忘れられない。」(ライナーノーツ)

ピアニストとして燦然と輝く演奏をするエリントン
「ホッジスとエリントン、この2大プレイヤーを中心にした異色顔合わせによるブルース名演集。ピアノを担当するエリントンは華麗なテクニシャンではないが、そのユニークなプレイが燦然と輝く演奏を繰り広げる。」(旧ライナーノーツ)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
シンプルかつナチュラルなサウンドです。ヴァーヴ特有のソロイスト重視、リズム・セクションはややオフ気味というバランス・セッティングとESOTERICのスタイルである、必要以上のデフォルメは避け、あくまでマスターテープに忠実なマスタリング、この2者が相俟って全体に最良の音楽バランスを創り上げています。実に見通しの良いジャズ・サウンドに仕上がりました。

収録曲
ワバッシュ・ブルース
ベイズン・ストリート・ブルース
ビール・ストリート・ブルース
ウェアリー・ブルース
セントルイス・ブルース
ラヴレス・ラヴ
ロイヤル・ガーデン・ブルース
ジョニー・ホッジス(アルト・サックス)、ハリー・エディソン(トランペット)、レス・スパン(ギター)、デューク・エリントン(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、アル・ホール(ベース)、ジョー・ジョーンズ(ドラムス)

[録音]
1959年2月20日、26日 stereo、ニューヨーク
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ

LESTER YOUNG - TEDDY WILSON QUARTET
PRES AND TEDDY
レスター・ヤング&テディ・ウィルソン/プレス・アンド・テディ
ESSV-90165

名手の演奏の細部をHi-Fi録音で再現できる数少ない記録
レスター・ヤングはカウント・ベイシー・オーケストラで活躍した独自のスタイルを持つサキソフォン奏者です。その音色はソフト&ウォーム。それに加えてヴィブラートが少ないため実に滑らかにフレーズが奏でられ、女性的という表現もされるほど繊細です。ところが彼の全盛期は40年前後。まだSPの時代でその魅力の詳細はなかなか記録されていませんでした。50年代に入り入退院を繰り返す日々を送っていましたが、旧友テディ・ウィルソンとのセッションの時期だけ、奇跡的に体調が整い、モノーラルながら磁気録音により、彼のサキソフォンの細部までが最良の演奏とともに残されたのです。

風格と滋味を感じさせる演奏
「晩年期のレスター・ヤングの快演を記録したアルバム。名手に相応しい風格と滋味を感じさせながら生彩感を取り戻した好調なプレイを繰り広げる。気心が知れたテディ・ウィルソンという理想的な相手を得たことも好ましい結果を生みだした要因ともなっている。」(完全新版モダン・ジャズ名盤500)

レスターを引き立てるバックにも注目を!
「往年の仲間との気心の知れた共演がレスター・ヤングに余裕とくつろぎを与えている。テディ・ウィルソンのピアノも、ジョー・ジョーンズのドラムとともに力強いスウィング感を盛り上げ、見事にレスターを引き立てている。」(ジャズ・レコード百科'79)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
1曲目「オール・オブ・ミー」。これがレスター・ヤングの音なのだ、という感無量のサウンドが飛び出してきます。モノーラルにも拘わらず、「今ここに居る!」という、実に身近なイメージでサックスが飛び出してくるのです。ソフトトーンにひそかに存在する絶妙なタンギングが手に取るように聴きとれるのも嬉しい限り。やや小さめな音量を的確につかみ取ったスタジオ録音、この一期一会ともいえる大切な機会を今、最高のマスタリングで味わうことが出来る幸せがここにあります。

収録曲
オール・オブ・ミー
恋のとりこに
ルイーズ
ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
恋のチャンス
わが恋はここに
レスター・ヤング(テナー・サックス)、テディ・ウィルソン(ピアノ)、ジーン・ラミー(ベース)、ジョー・ジョーンズ(ドラムス)

[録音]
1956年1月13日 mono、ニューヨーク
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ

ILLINOIS JACQUET
SWING'S THE THING
イリノイ・ジャケー/スウィングズ・ザ・シング
ESSV-90166

隠れた名盤という冠が相応しい珠玉の1作
日本のみならず本国アメリカでもイリノイ・ジャケー(1922-2004年)はジャズ・ミュージシャンとして過小評価されています。40年代にR&Bやロックンロールの道標ともいわれたブロウするテナー・サックスを披露し一躍有名になってから、彼はジャズという範疇に留まらずさまざまなジャンルで聴衆を魅了してきました。ステージでも、ブロウ・セッションは聴衆を熱狂させましたが、一方、ミュージシャンに対し真摯な姿勢を求め、大衆迎合を嫌うジャズ・ファンからは存在を軽視されることもありました。ところが彼はジャズ界、音楽界の大御所であり、その奥深い演奏が素晴らしかったという事実、それをこのディスクは見事に物語っているのです。隠れた名盤という冠が相応しい珠玉の1作です。

有名曲「ハーレム・ノクターン」が素晴らしい
「2曲目は60歳以上の日本人には良く知られている「ハーレム・ノクターン」だ。淫靡なイメージをも持つこの曲だが、名手が吹くとそんな邪念は吹っ飛んでいき、ジャケーのバラード奏法の素晴らしさだけが耳に入ってくる。どこからどう眺めても「これこそジャズ」と声を大にして言いたいほどの名演である。」(ライナーノーツ)

歌心は実に豊かで美しい。偉大なテナー・マンである
「ウォームでリラクゼイションあふれた彼の別の顔をみせた内容の1作。ロイ・エルドリッジのトランペットが絶妙にジャケーにからんでいるのも印象的だ。ジャケーの歌心は実に豊かで美しい。偉大なテナー・マンである。」(旧ライナーノーツ)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
モノーラルですが各プレイヤーの仕草はしっかりと把握できる上質のリマスタリングに仕上がりました。ステージ上でのイメージか、ややオフ気味にセッティングされているピアノ、ベース、ドラムスのタイトなサウンドはレンジこそややコンパクトながら不足のない仕上がりですし、旧盤と比較すると鮮度がかなり向上しています。そのサウンドをバックにトランペットはリアルに輝きを添えながら浮かび上がり、サックスの音色に関してはほとんど文句つけようがないほどに現実的な印象で、「目の前に居るよう」といっても大げさではないナチュラルなサウンドになりました。

収録曲
ラスヴェガス・ブルース
ハーレム・ノクターン
キャント・ウィ・ビー・フレンズ
アクタング
ジョーンズ嬢に会ったかい?
木の葉の子守唄
イリノイ・ジャケー(テナー・サックス)、ロイ・エルドリッジ(トランペット)、ジミー・ジョーンズ(ピアノ)、ハーブ・エリス(ギター)、ジョー・ジョーンズ(ドラムス)

[録音]
1956年10月16日 mono、ロサンゼルス
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ

DIZZY GILLESPIE - SONNY STITT - SONNY ROLLINS
SONNY SIDE UP
ディジー・ガレスピー、ソニー・スティット、ソニー・ロリンズ/ソニー・サイド・アップ
ESSV-90167

 

大物3人の邂逅。スーパースターの名演と音楽的完成度が楽しめる作品
ディジー・ガレスピー、ソニー・スティット、ソニー・ロリンズという、この時期に絶好調だった“旬”のミュージシャンを集めた豪華レコーディングです。こうした企画はヴァーヴの創始者ノーマン・グランツの大好物、実力者をブッキングして覇を競わせるのです。ところがノーマン・グランツが仕掛けるヴァーヴのこうした企画には、何かしらのドラマがあります。ただの大物演奏家の名人芸披露だけに終わることなく、ちょっと気の利いたブラスのアンサンブルや楽器のチェイスがあったりと、どの曲も一つの作品として成立しているのです。スーパースターの名演と音楽的な完成度、その両方をお楽しみ下さい。

大劇場をイメージした音づくりもヴァーヴならでは
「ノーマン・グランツが興行していたJ.A.T.P.がスタジオで再現されたような興奮がこのディスクには溢れている。大劇場をイメージした音づくりもヴァーヴならではのものだ。」(ライナーノーツ)

脂の乗りきった3人の聴くものを圧倒する快演
「録音された1957年といえば、最高のモダン・テナー奏者としてロリンズが快進撃を続けていた時代。バップの生みの親のひとりであるトランペッター、ディジー・ガレスピーが余裕たっぷりの貫禄を感じさせ、もうひとりのソニー・スティットも脂の乗りきった輝かしいプレイを繰り広げて、聴くものを圧倒する。」(旧ライナーノーツ)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
ソニー・スティット、ソニー・ロリンズともにテナー・サックスですが、その音色の違いがしっかりと把握できる再生音になりました。最後の曲では、ソロを受け渡されたディジー・ガレスピーがロリンズのソロの後、遠くからマイクに近寄ってくる感覚がステージのイメージで想起されます。大きなコンサート・ホールでの最高のセッションを一番前の席で楽しんだようなディスクであり、これこそ名門「ヴァーヴ」の意図するジャズへの姿勢なのだと感じとれるサウンドに仕上がりました。

収録曲
明るい表通りで
イターナル・トライアングル
アフター・アワーズ
アイ・ノウ・ザット・ユー・ノウ
ディジー・ガレスピー(トランペット)、ソニー・スティット(テナー・サックス)、ソニー・ロリンズ(テナー・サックス)、レイ・ブライアント(ピアノ)、トミー・ブライアント(ベース)、チャーリー・パーシップ(ドラムス)

[録音]
1957年12月19日 mono、ニューヨーク
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ

ART TATUM - BEN WEBSTER QUARTET
アート・テイタム~ベン・ウェブスター・クァルテット
ESSV-90168

見事なバラード集。歴史的な名盤
ノーマン・グランツが惚れ込みぬいたピアニスト、それがアート・テイタムです。類い希なテクニックの持ち主で、当時アメリカでは、ヨーロッパから移住したクラシック界のピアニスト、ウラディミール・ホロビッツ、アルトゥール・ルービンシュタイン、セルゲイ・ラフマニノフ、シューラ・チェルカスキーと並び比較される存在だったと言われています。50年代、晩年のテイタムの演奏を大量に記録したヴァーヴですが、そのなかでも特に優れた歴史的名盤がこの作品です。太く逞しい音色が魅力的なサキソフォン奏者、ベン・ウェブスターとのコラボレーションにより見事なバラード集を創りあげた本作は、20世紀に残る代表的な名演奏として高い評価を受けています。なお、ノーマン・グランツはヴァーヴ引退後パブロ・レーベルを立ちあげるのですが、アート・テイタム作品だけはヴァーヴから買い戻していて、その深い思いが伝わります。

心暖まる雰囲気の下で真価を発揮した、最高位に推されてよい名演
「生来協調的なミュージシャンではなかったテイタムが、珍しくも心暖まる雰囲気の下で真価を発揮した演奏として、ヴァーヴに数ある同系セッション中、最高位に推されてよい名演である。」(ジャズ・レコード百科'79)

悠揚迫らざる大人の芸
「アート・テイタムがホーン奏者との共演吹き込みで例外的な成功を得ている作品。バラードを中心においた選曲ともマッチしあったところに功を奏した要因があったのではないか。テナーからほとばしるエモーションにテイタムが巧みに寄り添う。まさに悠揚迫らざる大人の芸だ。」(完全新版モダン・ジャズ名盤500)

Super Audio CD ハイブリッドの音質
バラードの優しさとその向こうに見える緊張感が描き出されたサウンドです。ピアノ、サックスともにリッチと表現されているサウンドですが、ふくよかさを保ちながら余計な贅肉をそぎ落としたような軽快さが全編に漂っています。ベース、ドラムスは歯切れよくタイトにビートを刻み、アート・テイタムのピアノの音が何よりも新鮮。リッチではあるものの、タッチの「コツン」としたイメージが明確に伝わってきます。サックスは太く、逞しく、これまたリッチなサウンドですが、緩みが一切なくなく、全体的に茫洋としたイメージは一掃されています。リードの響き、管の鳴り、この両者が同時に聴きとれるし、モノーラルながら音像が引き締まったような印象。ベン・ウェブスターの魅力の一つ、リードから聴こえる息漏れの感覚もリアルです。

収録曲
ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド
オール・ザ・シングス・ユー・アー
ジョーンズ嬢に会ったかい?
マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
ナイト・アンド・デイ
マイ・アイデアル
ホエア・オア・ホエン
ベン・ウェブスター(テナー・サックス)、アート・テイタム(ピアノ)、レッド・カレンダー(ベース)、ビル・ダグラス(ドラムス)

[録音]
1956年9月11日 mono、ロサンゼルス
[プロデューサー]
ノーマン・グランツ