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2008/02/20
寺島靖国の赤道直下 2008.FEB


相変わらずハンを押したように毎日ピアノ・トリオを聴いている。いつ飽きるかと恐れているがその気配はさらさらない。トリオのサウンドを楽しんでいるのと3つの楽器を各々独自に聴き分けて喜んでいるからだろう。今月のベストはミシャの1997年吹込み2008年発売盤の(1)。ミシャがミシャになる前のミシャがここで聴けるという寸法だ。ピアノに未だ人が入り込んでピアノ以上になっている要素が少ない。しかしミシャの萌芽はやはりそこかしこに表れていて、暗い心情、抗しがたい焦燥感、執拗に繰り返される同一フレーズなどはすでに立派にミシャを感じさせるものだ。あぶない世界に入る一歩手前というところがいい。「WHERE IS THE SUN」が最高だった2007年盤が評判をとったので1997年盤が再発されたのだろう。圧倒的な推薦曲は2曲目のオリジナル「THE ARABIC THANG」。この人はスタンダードよりオリジナルがいい。そういう聴き方をするとこのミュージシャンが見えてくる。特異な存在として。エリントンやモンク、ミンガス、エバンス等に通ずるミュージシャンだ。もっともらしいことを言ったが、なぜ私が彼を好きなのかを言えば、要するにソロが私の好きな具合にメロディアスなのよ。そこを外さないところが凄いのよ。(2)のギル・コギンズも一筋縄ではゆかない。剛情者である。リスナーなどいてもいなくてもいい。自分のために弾いているんだという塩梅で、あくまで自己満足の世界。限りなく屈折感の発達しているのがいい、ミンガスの「SMOOCH」という曲のよさをここで発見した。それとニール・ヘフティの「REPETITION」。両曲とも耳が縮むほど渋い。いがらっぽい。(3)は音楽政策がよくない。ソニー・クリスの曲をクリス風に吹いても白けるだけ。音色の粘着質、ねっとり感がこの人、ナゲル・へイヤー盤で以前サンタナの「ヨーロッパ」を吹いた。それがよかった。ねっとりで生きる曲を集めて1枚作るべし。

(1)MISHA PIATIGORSKY / PURE IMAGINATION (MISHAMUSIC / MM3012 / \2,195-税込)
(2)GIL COGGINS / BETTER LATE THAN NEVER (SMALLS RECORDS / SRCD0028 / \2,510-税込)
(3)DYLAN CRAMER / REMEMBERING SONNY CRISS (CASA / CASA1313 / \1880-税込)


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