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2007/07/20
寺島靖国の赤道直下 2007.JULY


「ジャズ批評」誌の最近号で「超初心者に推めるこの一枚」みたいな特集をやっている。驚くべきことに何十人もの推選者の大部分が『カインド・オブ・ブルー』や『ワルツ・フォー・デビー』『ウィ・ゲット・リクエスト』といった名盤を推めているのだ。大名演であり、大名曲はわかっている。しかし現代に生き、現代を呼吸している人間なら同世代のミュージシャンを半分、いやせめて1/3くらい紹介してもいいんじゃないか。マイルスやエバンス、ピーターソン等はジャズのいい時代を生きてきた人たちだ。それなりにいい思いもしている。しかし今の人はそれを知らない。頑張ってもCDの売れない時代に生きている。少しは光をあててやろうじゃないか。大名盤は黙っていても売れてゆくんだ。新人は紹介がないとリスナーの手が延びない。なにより後続部隊が出てこなくなるのを私は恐れる。ジャズの未来が危ないんだよ。というわけで私は新盤紹介に徹してゆく。(1)は一曲目の「ソノーラ」で私は高まった。出来たてのほやほやのこんな御馳走を目の前に出されたら超初心者はすぐさまジャズを好きになるだろう。とにかくこの一曲。ソノーラに価値がある。冒頭のワン・フレーズから聴き手の心臓をワシ掴みだ。あっと言う間に終わってまたもう一度聴きたくなる。0:29秒からのブリッジの部分の旋律などとろけるような美旋律。100回聴いてもあきない。初心者とマニア、両方の気持を等しくとらえてしまうところに澤野商会のスキルがある。ジャケットもなんともほのぼのとすばらしい。ゆっくりと弾かれてゆく「スカイラーク」をゆっくりとした気分で聴いてゆく。そんなところにジャズ・ファンの幸せがあるんではないか。「スカイラーク」はそういう幸せをジャズ・ファンに与えるために作曲されたのではないか。唐突にふとそんなことを思わせるのが(2)。曲には聴いた瞬間素早くぐっと来るのとじわじわとその素質が伝わるのと二種類あるが、その後のほうの曲を一杯並べた(3)が今月のじわじわ盤のトップになった。地味ながら時々鋭い微光を発するこのグループ、出たら買いだ。裏切られたこと、無し。

(1)ARNOLD KLOS / BEAUTIFUL LOVE(澤野商会 / AS067 / \2,500-税込)
(2)TIM LAPTHORN / SEVENTH SENSE (BASHO / SRCD192 / \2,300-税込)
(3)STEVENS,SIEGEL AND FERGUSON TRIO / GET OUT OF TOWN (IMAGINARY / IMX016 / \2,405-税込)

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