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2007/04/19
寺島靖国の赤道直下 2007.APR


いや大変に驚いた。ディスクユニオン吉祥寺店。レジに行列が出来ているのだ。それも二列である。閉店前の7時30分、日曜日というシチュエーションもあるだろう。それにしてもユニクロ並みの行列とは。若い人がうまく飼い慣らされた羊のように順番を待つ。私はそれが嫌いでつい売場をうろうろし、結局2万5千円程買い込んでしまった。その中のベストは(1)の『ブルース・ウォーク』。カナダのピアノだが音に体臭をにじませて弾く人できちんと作曲家に敬意を払い、バラッドは正しくバラード風に、グルーブ曲はそのままグルービーにこれぞジャズ・ピアノの王道をゆくもの。(2)は体臭ゼロ、石鹸の匂いのするピアノだがよくしたもので指先は美曲に美旋律、美フレーズの方向に進み、6曲目を私はすかさず『Jazz Bar 2007』に取り入れようと決意。再び汗の香りが心地よい(3)のトニー・パシーニ。どうもこの頃「ラブ・フォー・セール」はミュージシャンにとって絶好のアレンジ対象曲らしく21世紀の「ラブ・フォー・セール」はそうそうこうこなくてはといういい感じに出来上がっている。全体のライヴのざっくり感がよく、打力に勝りこれぞ健全なジャズ・ピアノ。リズムを後に捉えた(3)に比べ三者が共に牽引役になっている(4)の『タイムズ・スリー』は三人のからみ合いを全身を耳にしつつ聴く一枚。「ボヘミア・アフター・ダーク」の選曲が嬉しく、それにしてもこの盤の音のよさはなんということだ。今年のジャズ・オーディオ録音大賞の一位に推薦しよう。出た。「ラブ・フォー・セール」。こちらの「ラブ・フォー・セール」が勝ち。迫り方が違う。それが(5)の澤野盤。しかしさらにぐっと迫ってくるのが2曲目のブルース。シンプルだが、色濃くユルトルジェのブルース魂を100%発揮したもの。打力も深々と剛快でこの人、こんなに良かったっけ?ラインハルト・ミッコの『Views』は私には美におぼれ過ぎているように聴こえた。ジャズのミュージシャンはすべからく心にばい菌を、と言いたい。

(1)TONY GENGE / BLUES WALK (ROADHOUSE RECORDS)
(2)MICHEL BISCEGLIA / INNER YOU (PROVA RECORDS)
(3)TONY PACINI / LIVE AT JIMMY MAK'S (SAPHU)
(4)TIMES THREE / TIMES THREE (CORKSCREW RECORDS)
(5)RENE URTREGER / TRIO LIVE (ATELIER SAWANO)


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