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カタラン・ギター"ことカタルーニャを代表するベテラン・ギタリスト、トティ・ソレール。国内盤第三弾は、シルビア・ペレス・クルス、ジェンマ・ウメットが参加した2011年人気盤。
●トティ・ソレールは、1949年スペインのカタルーニャはバルセロナ生まれ。60年代からノバ・カンソ運動などカタルーニャ音楽シーンの重要場面で活躍してきた当地を代表するギタリストです。
●アメリカのタジ・マハールに出会いブルースを学び、セビージャの伝説的フラメンコ・ギタリスト、ディエゴ・デル・ガストールからフラメンコの手ほどきを受けたり、他にも地中海音楽、ジャズ、ロック、クラシックを吸収し、70年代初期には、地中海ギター・サイケデリックな不思議な作品群をリリース。一時期率いていた"OM"というグループは一部のプログレファンにも知られています。
●その後、80~90年代と、洗練度合いを増しながらも、それまでのスタイルは崩さずに、コンスタントに作品を出し続け、その一方でマリア・デル・マール・ボネットやパスカル・コムラードといったカタルーニャの個性的な音楽家たちとも共演を果たすようになりました。
●近年では、長年のキャリアの到達点ともいえる研ぎ澄まされた、静謐なギター・インストゥルメンタルの世界を展開。さらに、静かな波や木漏れ日のような心地よいアコースティック・サウンドに、トニーニョ・オルタにも通じるようなヴォーカル+ギターを乗せた、地中海フォークともいえるサウンドは、まさにカタルーニャの円熟のエレガンスを感じさせ、キューバのフィーリンやアルゼンチン・フォルクローレ、ポスト・クラシカルを通過したリスナーを中心に密かに話題となりました。
●今作あたりからこのトティ・ソレールの音が耳の早いリスナーに、ポストクラシカルとフォルクローレの評価とシンクロするように"発見"されました。地中海のおおらかな風、そして光と影を感じさせてくれる流麗なギター。"孤独"と題されたギター・ソロの曲から、注目の女性ボーカリスト、ジェンマ・ウメットの暖かみのある歌声へ。また、カタルーニャからスペインを代表するボーカリストとして成長したシルビア・ペレス・クルスは、ロルカと並び賞される詩人ミゲル・エルナンデスの「心は水」を歌っています。まさに、2010年代以降のカタルーニャ音楽の行く末を予見したようなアルバムですね。トティ・ソレールを聴く最初の一枚としても、または現代カタルーニャ、地中海音楽を紐解く上でも重要作なのではないでしょうか。
TOTI SOLER / トティ・ソレール