2013.09.09
中でも、リズム隊が全員女性でしかもツインドラムというあまり見ることのない目立つ編成のため、大阪のライブの際は女性3人+中屋という不思議なギャルバンもどきと言うべき様相を呈している。
元々わりと派手目なイベント中心の盛り上げ係として活動していた事が多かったためか、音楽的に例えるなら、Neu!とかDAFとかスーサイドのトランス系電子ビートに、ハードロックの味付けをしたような分かりやすさと、リズムを強化したダンサブルかつハイテンションなサウンド、それと全ジャンルを飲み込んで咀嚼したバラエティに富み過ぎな幅広いサウンドがデビュー時からの一貫した持ち味である。
10年間アルバム作らなかったナスカ・カーが何故いきなり重い腰を上げたのかと言うと、そもそも今回のアルバム制作に至ったのは、『バンドも安定してきていいライブが出来るようになってきたにも関わらず、レーベルも消滅して旧作が手に入らない上に、出しても著作権関係がややこしいし、かと言って新作出そうにも誰も出してくれない。なら自分で出すしかない。』と中屋が自分でレーベルを立ち上げるところから始まった。
共同プロデューサー兼アレンジャーに、マルチプレーヤー兼エンジニアでもある現メンバーの須藤俊明(MSN、奇形児、EP-4…etc)を迎え、それまでの、『打ち込みの上からオーバーダビング』というカラオケ方式の製作方法を一切取らず、全パートほぼ生演奏に置き換えることに成功。また、松江潤(現:誰でもエスパー、スネオヘアー他いろいろ)、mahi-mahi(From MSN:Sax,Flute)、ホカダナオミ(exマドモアゼルショートヘア、夜来香)とバンドと縁の深い実力派ゲストも招き、若いメンバーの確かな演奏を強力にサポート兼バックアップするという形で、ここに20周年の総決算というべき、『ゴージャスではあるが、正にバラバラなジャンルの曲調を、ナスカ・カーという一つのバンドの中で統一感を持たせてアルバムとして完成させた』自信作が完成した。一応ビートルズで言うなら「ホワイト・アルバム」を目指したつもりなのだが、意表をつきまくりのムチャな性格の作品という所だけ似てしまったのは…まあ往々にしてよくあることです。
20年を経た現在のナスカ・カーならではの、聞きやすくてポップでハイテンション、それに加えて頭からケツまで様々な隠し味やトラップが散りばめられた最大級に聞き所の多い作品になっております。
Nasca Car 『最新録音盤』
ナスカ・カー・レコーディングス / CD / NCR001 / 2013年10月09日 / 2,100円(税込)
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