EGREMが秘蔵していたキューバの名門楽団&ミュージシャンの未発表ライブ音源が、新シリーズ"Coleccion Cuba En Vivo"としてリリース。本作はその第1弾で、キューバの伝統音楽ソン・ルンバからサンテリアまでを歌いこなす巨匠女性歌手メルセディータス・バルデスの1983年のライブ・パフォーマンスを収録。 キューバのアフロ宗教音楽サンテリアをテーマにした前半は、バタドラムの伴奏で荘厳に歌うオーセンティック・アフロ・キューバの世界を演出。収録中盤はキューバ音楽史に名を残す天才ピアニスト故フラン・エミリオが中心となり、シンプルな伴奏によるソン中心のの味わい深い構成。そして終盤は、先述のフラン・エミリオや、メルセディータスの夫でドラム/ティンバレルス奏者のギジェルモ・バレット、コンガの巨人タタ・グィネス、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブで知られるベーシスト偉人カチャイート・ロペスらを擁した伝説のキューバン・ジャズ・ユニット、ロス・アミーゴスをバックに据えたダンソン&チャチャチャの甘美な躍動。アフロ、ポップス、ジャズ、バラードからスキャットまで、そのヴォイス・パフォーマンスの幅広さと、芯の通った歌唱力でメルセディータス・ヴァルデスという伝説が改めて広く知れ渡ることとなり得る、歴史的にも意義深い音。そして何より、当時の巨匠アーティストとのコラボレートが、生々しく脳裏に刻まれる鳥肌もののスペクタクル・キューバン・ジャム。極めつけは、ラストのロス・アミーゴスのデスカルガ・セッションM13"PA'GOZAR"。キューバン・ジャズの起源を辿ると必ず現れる、この伝説的名曲が、未発表ライブ音源という形で披露されるという快挙・・・これはジャズ・ファンへの耳にも強烈なインパクトを与える傑作テイクだ。