日本で30年にわたり展開され、世界的な知名度を誇る驚異のガレージ・パンク・イベント“BackFromThe Grave”。それに魅了された、異国クロアチアから日本にやってきた本作の監督マリオ・クジクと、アメリカ出身、脚本(構成)のB.B.クラークが6年の歳月を費やして放つ、120%ロックで120%ピュアな大人たちの青春物語─。それが本作『GARAGE ROCKIN’CRAZE』だ。 1980年代後半に新宿JAMでスタートした“BackFromThe Grave”。クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』でも知られるThe 5.6.7.8's、ギターウルフ、2014年に映画『GET ACTION!!』が公開されたTEENGENERATE、覆面画家として世界的な活躍をするRockin’JellyBeanのバンドとしても知られているJackie&TheCedrics等々、名前を挙げたら切りがない、世界的に知られる日本のガレージ・パンク・バンドがこのイベントから生まれた。 “Back From The Grave”は元々ハードコアパンクのイベントを主催していたDaddy-O-Nov がTexaco Leatherman にライブをさせたくてスタートした企画であった。イベントは徐々に盛り上がりを見せ“シーン”と呼ばれるものが作られて行き、いつしか“Back From The Grave”には彼が“ガレージ”と認めたバンドであればどんなバンドでも出演することが出来るようになる。やがて、東京のバンドだけではなく、日本中、そして世界的に知られるガレージ・バンドも出演するような東京のアンダーグラウンドロックシーンでひと際異彩を放つイベントになって行った。主宰であるDaddy-O-Nov は出演バンドやDJ が好きな音楽を自由にプレイし、観客たちが好きなようにダンスし、そこで共通の趣味を持った仲間と出会い、全てを忘れて騒ぐことが出来る“場所”を手に入れ守り続けてきた。そこには日本の音楽シーンにはびこる理不尽な上下関係や無駄な暴力は一切なく、ロック本来のカッコ良さと毒、そしてユーモアが溢れている。誰もが分け隔てなく楽しむことが出来る空間。そして何よりも彼こそがいつでもイタズラ坊主の様な笑顔で最もそのイベントを楽しんでいるのだ。 本作は世代や性別、ジャンルや国籍、全てを受け入れる“場所”を作っていく事の重要性と、それを守る為に奮闘する主宰者の姿を関係者の証言で解き明かしていく。そして、なぜ極東の日本から世界的に知られるガレージ・パンク・バンドが輩出されるのかが次第に明らかになって行く─。