前作「CASUARINA NO PASSO DE CAYMMI」から2年のときを経てリリースされた新作は、いつもどおりレギュラーにサポートの4名(dr/per/contra-bass/p)を加えた変幻自在の編成。ときにポップに、ときにオーセンティックにつづる圧巻の13曲を収録。ジャジーなピアノが印象的な#1に始まり、スーパーマリオのジングルを取り入れた軽快サンバ#2、近年コンポーザーとしても目覚しい活躍を見せるジョアン・カヴァルカンチの才気を感じさせる#4#5、歌い上げるメロディが最高な#6...。これまで以上の多彩さを見せながらも、その根幹にあるのはサンバの心地よいグルーヴという、いい意味でのぶれなさが実に頼もしい。そして本作のハイライト・トラックともいえるのが#7。ジョアン・カヴァルカンチとカリオカ・サンバの最重要人物モアシール・ルスのペンによる楽曲を、マリア・ヒタとともに歌うスロウ・サンバ。現在を代表するアーティストによる競演は、本作だけではなく2016年度のブラジル音楽シーン全体にとっても間違いなくハイライトといえるトラックだろう。もちろん、いつものカズアリーナらしさも健在で、8曲目以降ポップかつ軽快なアンサンブルは後半にかけてさらに加速していく。
