ノイズ・バラッズ

大変なユニット

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レーベル
FULLDESIGN RECORDS
国(Country)
JPN
フォーマット
CD
規格番号
FDR1042
通販番号
1008022201
発売日
2019年12月10日
EAN
4582561390975
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商品詳細情報

メンバー:
近藤直司 Kondo Naoji : baritone & tenor saxophone
組原正 Kumihara Tadashi : guitar
ヒゴヒロシ Higo Hiroshi : bass
本田珠也 Honda Tamaya : drums

【本田珠也による作品紹介】:

「てーへんだ、てーへんだ、親分!」「まぁ、落ち着けハチ。何が底辺なんだ?ミュージシャンほど底辺な職業はないぞ」「親分、そのテイヘンじゃなくて大変なんですよ!」といきなり銭形平次から切り込んで見ましたが、そうなんです<大変>なんです。このユニット。ある意味スーパーグループだし。

大変なユニット。この名前の名付け親は、このユニットの活動拠点でもある阿佐ヶ谷YELLOW VISIONのオーナーの小林氏でありますが、本当に的を得たようなドンピシャなネーミングセンスに脱帽しました。僕自身が本当に大変なバンドだな、と思っていましたからね。いや、これはポジティブな意味で、ですよ。その何故<大変>なのか?というのは(地下音楽好きの変態プレイを好む方でしたら納得でしょうけど)この超超個性的なメンバー4人のプロフィールを見て頂ければすぐに理解できますので、メンバー4人の経歴及び詳細は個人的にググっていただいて、ここでは割愛させて頂きます。

まずサックスの近藤直司さん。この人(失礼!)、医学者で精神科医で大学の教授なんですよ!なんでこんなに頭のいい人が日本で一番野蛮なドラムを叩くのなか悟空さん率いる人間国宝でサックスを吹いているのでしょうか?しかもこの大変なユニットでは行き場の失ったゴジラのように咆哮を繰り返しメンバーを煽り立てますし、一切合切マトモなアプローチをしてきません。しかも僕の今現在一番欲しいレコード「近藤直司トリオ/ Live at the Tarupho」の主役の人であります。このレコードを京都の<ろくでなし>で初めて聴いた時は本当にビックリしました。なんせ山口百恵さんの後にかかったものだから尚更驚きましたよ。そんな近藤さんと共演できるのはとても光栄ですし<大変>名誉な事です。

そして次はギターの組原正さんです。この人(また失礼!)、今年結成40周年を迎える日本の前衛ロック界の伝説的グループ「グンジョーガクレヨン」のメンバー (っていうかリーダー?)なんですよ!個人的に前衛ロック界という世界があったという事実を初めて知りました。人間界は地獄から数えて第5番目であるけど、この前衛ロック界という界層は浮き世を離れた(富裕層ではなく)浮遊層なのか?とにかく組原さんは僕が思うに、音楽と言われる語感(五感?)から一番遠いところで音を紡いでいる。一般的な音楽の方式ではなく殆どが<音響>。なのでいわゆる人間的なコール・アンド・レスポンスなやり方ではなく、あらゆる生活の中に於ける残響やノイズを組原流に突き放した音の塊。僕が歩んできたジャズのやり方が全く通じない、とても<大変>やり甲斐があり魅力的な共演者。

そしてそしてベースのヒゴ・ヒロシさん。この人(またまた失礼!!)、あの伝説的なパンクバンド「フリクション」の方ですよ!日本のパンク黎明期から活動し、日本発の自主レーベルを立ち上げたいわゆるインディーズの神ですよ!それに日本フリージャズを代表するバンド「渋さ知らズ」や「のなか悟空と人間国宝」でも活動し、すでにこれまでの音楽活動の半分以上はDJをも継続している、という途轍もなく<大変>な方です。ヒゴさんのスタイルも僕の少ない人生経験の中で異彩を放っています。コード感とか小節数とかビートとか、僕なんかはそのどれかにヒントを見つけてその小さいアイデア の穴をなんとかこじ開けて解決していこうという方法をとるのですが、これが全くもってない(笑)もう本当に笑えるくらい自由人なんですが、この自由が僕にとって一番<大変>な事かも知れませんね。

最後に一番年下で、いつの間にかリーダーというとても嬉しい<大変>な称号を頂いたドラムの本田珠也です。フリージャズの人、前衛ロック(ポストロックなのか?)、パンクの人、そして僕はジャズ畑の人間で一番普通ですね(笑)しっかりとジャズという音楽の洗礼を 30年受け、今ではすっかりフリージャズのスタイルも板に付いてきた感もありますが、やっぱりこの4人で演奏するのはとても<大変>ですので、苦悩しながら叩いているのもこの作品の聴きどころでもあります(笑)。

では一体何が<大変>なのか?
それはイメージさせるスタイルや構成とか普段何気に感じているような普通の営みのような事象が、僕以外のお三方には(多分)ナイのです。先にも書きましたが近藤さん、組原さん、ヒゴさん、とても自由なんです。僕が演奏しているジャズは何かしらのルールがあってそれにそって演奏します。だから何かの枠組みの中で演奏しているのと同じなのですが、この<大変>なユニットには ルールもなくただひたすら自由なのです。自由だから何をしても構わないのです。と言っても、僕らは社会生活者として何をしてもいい訳ではなく、ちゃんと楽器を使用して自由な表現方法をとっているのですけどね。何をしても構わないけど、せっかく人と音楽(音楽になっているのか分かりませんが)をするのだから、聴き合って何かが融合して喜びへと転換できたらと常々思って、僕はこの<大変>なユニットで叩いています。とても<大変>ですが、音楽の原点を見つめ直させてくれるとても素敵なユニットです。

忘れていけないのは、この<大変>なライブレコーディングを作品として再構築し、<大変なユニット>故の<大変>な音作りを成し遂げて頂いた、フルデザインレコードの藤掛正隆さん。ジャケットに素晴らしい写真を提供してくれた素晴らしい写真家の高下徹さん。そしていつも僕らを快く歓迎してくれるYELLOW VISONのマスター小林淳さんに厚く感謝を申し上げます。

異なる世界を渡り歩いてきたこの4人が混じり合う時、 次世代の何かが垣間見れるのではないでしょうか。稀有で希少な音楽テロリスト4人との異種格闘技戦。知恵やノウハウだけでは太刀打ちできない生きるか死ぬかのサヴァイバル。それが<大変なユニット>の本当の意味なのだと思います。凡ゆるセオリーから逸脱したこの<大変>なアルバムが、多くの皆様の手に届くことを願ってやみません。

って、<大変>って何回書いた? (文責:本田珠也)