70年代初頭はMILES DAVISのグループでベーシストとして活躍。その後NORMAN CONNORSのアルバムでボーカリストとして頭角を現し、決定打「You Are My Starship」で押しも押されぬ存在に。特にネタ物として現在も重宝されている78年作の『IN THE NIGHT TIME』は最高傑作として揺ぎ無い評価を得ているMICHAEL HENDERSONだが、81年にリリースされたこの『SLINGSHOT』もジャケット写真で色々と語られることが多いながら、内容もかなりのコンテンポラリーさを持った作品として知られている好盤。最近はCDでもあまり見かけなくなっており、嬉しいリイシューであることには間違いありません。
元々はベーシストだったとは思えないほどふくよかで色気のあるテナー・ヴォイスを誇るMICHAEL HENDERSON。このアルバムでもその自慢のテナーが冴え渡るのはやはりアーバン・コンテンポラリーな楽曲です。ややアジアン・テイストを感じさせる旋律のイントロからして印象深い「Never Gonna Give You Up」のねっとりとしつつも夜風も心地よく感じそうな表現力や、PHYLLIS HYMANとのデュエットが話題を呼んだ「Can't We Fall In Love Again」のモダンかつポピュラリティ溢れる世界、西海岸っぽさを前面に押し出し、AOR方面からも評価の高い「Come To Me」などのミディアムはこのアルバムを語る上で外せないでしょう。スロウでは70年代グループ・バラッドを思い起こさせるスウィーティーな「Take Care」が印象深いが、壮大なストリングス・アレンジを施したバカラック・クラシック「Make It Easy On Yourself」も彼のキャラクターにバッチリはまるカバーとしてお薦めしたいところです。
