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2018年6月・オペラ2タイトル発売
C.クライバー ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」 品番:ESSG90183 (3枚組) | H.v.カラヤン ヴェルディ:「オテロ」 品番:ESSD90186 (2枚組) |
これぞ 20世紀演奏・録音史上、世界遺産級。デル・モナコとカラヤンがドラマティックに描き出す空前の「オテロ」。
■ESOTERIC ならではのこだわりの Super Audio CDハイブリッド・ソフト
オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒 的な音質向上で確固たる評価をいただいている ESOTERIC 名盤復刻シリーズ。発売以来 LP 時代を 通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名 盤を高音質マスターから DSDマスタリングし、世界初の Super Audio CD ハイブリッド化を数多く実現し てきました。カラヤンが「ヨーロッパ音楽の帝王」と称された、ウィーン国立歌劇場監督時代に録音され、 それ以後上演・録音問わず、この作品のスタンダードであり続けているヴェルディの「オテロ」全曲盤を、 世界初 Super Audio CDハイブリッド化で発売いたします。
■「帝王カラヤン」が確立した時代
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード 録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパ イオニア的存在であり、残された録音も SP時代からデ ジタル録音まで、膨大な量にのぼります。その中でカラ ヤンが一つの頂点を迎えたのは、1955年にベルリン・ フィルの常任指揮者、翌 1956年にザルツブルク音楽祭 およびウィーン国立歌劇場の芸術監督に就任、またミラ ノ・スカラ座との提携上演を打ち出してイタリアでの地盤 も強化するなど、文字通りヨーロッパ・クラシック音楽界 の「帝王」と目されていた時期でしょう。さらに録音面で も、1950年代初頭から継続しているロンドンでのフィル ハーモニア管弦楽団とのEMIへの録音に加えて、1959年からはベルリン・フィルとはドイツ・グラモフォ ンへの、ウィーン・フィルとはデッカへの録音がスタートし、ちょうどステレオ録音が導入されて活気付い ていたレコード市場を席巻する形になりました。一人の指揮者がここまでの音楽的ポストとレーベル契 約を手中にするのはカラヤン以前にもカラヤン以後にも皆無で、文字通り 20世紀クラシック音楽界で 空前絶後の存在でした。
■不滅の価値を持つ「オテロ」全曲盤
そうした中でも、名プロデューサー、ジョン・カルショウとのコラボレーションによって、ウィーン・フィルと 進められたデッカへの録音では、スタンダードなシンフォニーのみならず、「ツァラトゥストラはかく語り き」や「惑星」のパイオニア的録音も含む多様なオーケストラ曲のほか、1959年の「アイーダ」から 1963年の「カルメン」まで、綺羅星のような豪華キャストをそろえた5つのオペラ全曲盤が制作されました。い ずれもオペラ録音史にその名を残す名盤ばかりですが、その中でも 1961年録音のヴェルディ「オテ ロ」は、不世出の名歌手マリオ・デル・モナコ(1915~1982)との共演の記録として、不滅の価値を持つ 全曲盤です。
■カラヤンの愛奏曲
カラヤンがウィーン国立歌劇場で初めて「オテロ」を取り上げたのは 1957年 4月のこと。歌手もデル・ モナコのほか、リザネク、ザンピエーリ、コルツァーニら豪華キャストを揃え、指揮のみならず演出も自らが手掛けた新演出で、大きな成功を収めました。この後カラヤンはウィーン在任中にこのプロダクショ ンを 19回も指揮しており、「ワルキューレ」(25回)に次いで上演回数の多いオペラ(「アイーダ」や「トスカ」よりも多い)であり、彼がいかにこのオペラを愛していたかの証左となりましょう。その4年後に録音さ れたこの録音でも、その熱愛ぶりは伝わってきます。アリアや二重唱などのナンバー制を廃し、ワーグ ナーの指導動機を思わせるような「オテロ」の緊密な音楽構成は、ワーグナーやシュトラウスを得意とす るカラヤンにもアプローチしやすい作品であり、ここでもウィーン・フィルの暗く濃密な響きを活かし、千変万化する登場人物の心理の動きに寄り添い、緊張感に満ちた音のドラマを描きあげています。
■デル・モナコ極め付きの絶唱
歌手陣では何といっても、「オテロを歌わせたら モナコの前にモナコなく モナコの後にモナコなし」 と称賛され、「オテロ」の代名詞的存在だったデル・モナコの絶唱にまず は指を屈するべきでしょう。オペラ歌手として活動した22年間で427回も オテロを歌ったほど自らの当たり役にしていたデル・モナコの最円熟期 の歌唱が、鮮明なステレオ録音と理想的な共演者によって残されたのは、 20世紀演奏・録音史上、世界遺産級の意味合いを持つことだといえま しょう。凛然と輝くトランペットに譬えられた強靭な声は、難役オテロのド ラマと苦悩を余すところなく描き出しています。第 3 幕の「神よ、あなた は」や第 4 幕の「オテロの死」における毅然たる歌唱にまじる涙声は、デ ル・モナコのもう一つの当たり役である「道化師」の「衣装をつけろ」での それと双璧で、今でも聴く者の心を揺さぶります。レナータ・タバルディ (1922~2004)の清純の極みともいうべきデズデーモナ、降板したバスティアニーニの代役として参加したアルド・プロッティ(1920~1995)の小 悪党的なイアーゴなど、共演者も万全である点も、この全曲盤の特徴といえるでしょう。
■最高の状態での Super Audio CDハイブリッド化が実現
録音はデッカのウィーンでの拠点だったゾフィエンザールで行われました。響きが多いため必ずしも 録音向きではないムジークフェラインザールとは異なり、フル・オーケストラを音が混濁せず細部まで明 晰な収録が可能なゾフィエンザールはデッカのステレオ録音の代名詞であり、ショルティの「指環」をは じめとする今や伝説的な名録音がジョン・カルショウやゴードン・パリーによって続々と生み出されまし た。この「オテロ」でも、デッカのステレオによるオペラ録音に特徴的な、オーケストラをスケールの大き な響きで捉えつつ、各パートの明晰さを保ちながら、歌手の声を包み込むようなバランス作りが実現し ています。また同じくデッカのオペラ録音の代名詞でもある、ステージ上演の臨場感を録音に持ち込 む SONIC STAGE の手法が極限まで活用され、各場面での登場人物の位置関係や左右の動き、効 果音(第 1 幕冒頭の嵐や大砲)、遠近感(第 3 幕の舞台転換の時のオフステージのバンダやコーラス) など、ステレオ効果を活かした演出がされているのも大きな特徴といえるでしょう。名盤・名録音ゆえに デジタルの初期からCD化され、Decca Legend の 24bit/96kHz リマスタリング盤もありますが、今回は それ以来の、そして初めての DSDリマスタリン グとなります。今回の Super Audio CDハイブ リッド化に当たっては、これまでのエソテリック 企画同様、使用するマスターテープの選定か ら、最終的なDSDマスタリングの行程に至るま で、妥協を排した作業が行われています。特 に DSDマスタリングにあたっては、DAコン バーターとルビジウムクロックジェネレーターと に、入念に調整されたエソテリック・ブランドの 最高級機材を投入、また同社の MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、オリ ジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。
【収録内容】
ヴェルディ: 歌劇「オテロ」(全曲)
4幕のドランマ・リリコ/台本:アッリーゴ・ボーイト/原作:ウィリアム・シェイクスピア
【配役、演奏者】
オテロ マリオ・デル・モナコ(テノール)
デズデーモナ レナータ・テバルディ(ソプラノ)
イアーゴ アルド・プロッティ(バリトン)
カッシオ ネッロ・ロマナート(テノール)
モンターノ トム・クラウゼ(バリトン)
ロドヴィーコ フェルナンド・コレナ(バス)
エミーリア アナ・ラケル・サトレ(メッゾ・ソプラノ)
ロデリーゴ アトス・チェザリーニ(テノール)
ウィーン国立歌劇場合唱団 ウィーン・グロスシュタット少年合唱団 [合唱指揮:ローベルト・ベナーリオ]
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
【録音】
1961年5月、ウィーン、ゾフィエンザール
[初出]SET209~11(1961 年)
[日本盤初出]SLX3-6(ステレオ)、LYX3-3(モノラル) (1961 年 11 月 10 日)
[オリジナル・レコーディング]
[プロデューサー]ジョン・カルショウ
[レコーディング・エンジニア]ゴードン・パリー
[Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVC マスタリングセンター(代官山スタジオ))
[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説]諸石幸生 三善清達
[企画・販売]エソテリック株式会社
[企画・協力]東京電化株式会社
HERBERT VON KARAJAN / ヘルベルト・フォン・カラヤン
オーストリア出身の指揮者 (1908-1989)