LORD OF THE ISLES ロード・オブ・ザ・アイルズ
NU DISCO/DEEP HOUSE/VAKULA/KUNIYUKI REMIX
LORD OF THE ISLES ロード・オブ・ザ・アイルズ
NU DISCO/DEEP HOUSE/VAKULA/KUNIYUKI REMIX
1,650円(税込)
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KUNIYUKI、VAKULAリミックス!!!!
イギリスのクラブ・ミュージックは、コスモポリタンなロンドンのシーンにばかり注目が集まりがちであるが、その土地土地に歴史があり、特徴がある。では、イギリス北部のスコットランドについてはどうか?クラブ・ミュージック好きのイギリス人に尋ねたら、まず間違いなく挙がるのが、1987年から現在も続くグラスゴーの名門クラブ、サブ・クラブ、そのレジデントであるハリー&ドミニク、オプティモ、スラムといったベテランDJたち。そして代表的なレーベルでは、1991年にスラムが設立し、ファンク・デ・ヴォイド、アレックス・スモーク、シリコン・ソウル、ゲイリー・ベックらを輩出したテクノ・オリエンテッドなレーベル、Soma Recordings。そして、のちにマイロのアルバム『Destroy Rock & Roll』の共同プロデュースを手掛けることになるケヴィン・マッケイが1997年に設立したGlasgowUndergroundだろう。このディープ・ハウス・レーベルからは地元プロデューサー、DJ Qやロマンソニーの名作アルバム『R.Hide In Plain Site』やマテオ&マトスといったUSのプロデューサーの作品が世界的によく知られている。
そして、90年代と比較すると、その動きが沈静化していたスコットランドから新たに登場した才能がロード・オブ・ジ・アイルズことニール・マクドナルドだ。生まれ育ったスコットランドを転々とし、グラスゴーに次ぐ第二の都市、エディンバラに腰を据えて、20年近くになるという彼は、地元で毎週土曜のレギュラー・パーティ「Raw」を長らく続けながら、1995年から音楽制作を開始。オリジナルとリエディットの膨大なストック曲を携えて、2010年代のディスコ、バレアリック・シーンで急浮上してきたDJ、プロデューサーだ。
彼はすでに日本でも、DJ Chida主宰のレーベル、Eneより2011年に「Pacific Affinity EP」を発表。収録曲の「To & Flo」がDJハーヴィーのミックスCD『XMIX01』にフィーチャーされたほか、LAの優良レーベル、AdlutContemporaryから同年リリースされた「Ultraviolet」が、アンドリュー・ウェザオールやダニエル・ワン、デヴィッド・マンキューソといったビッグネームにヘヴィー・プレイされるなど、ワールド・ワイドな評価を獲得。そのほかにもSolardisco、American Standard、Sleazy Beats、CockTail d'Amore、ロンドンのレコード・ショップによるレーベル、Phonicaや地元エジンバラのレーベル、Firecrackerのサブ・ディヴィジョン、Unthankから作品を発表し、自身主宰のレーベル、Little Strong Recordingsからも「Hot Blob EP」をリリースするなど、活動は非常に精力的だ。
その作風は、デザイナーでもあるという彼のヴィジュアルを喚起する音作りとプロジェクト名である「島々の君主」が示唆するスコットランド神話への傾倒が、空間を活かしたトランシーなシンセサイザーと重心の低いミッド~スローのグルーヴを通じて、ミスティックな音の流れへと変換。繊細にして、どこかねじれのある陶酔感が聴き手をぐっと惹きつける。北の地のディスコ、バレアリックといえば、ノルウェーのリンドストロームやトッド・テリエがよく知られているが、スコットランド産のそれは描かれるサウンドスケープやトリップ感覚がノルウェー産とひと味もふた味も異なっていることは新作「Geek Chic/Radio Lollipop EP」を聴けば、お分かり頂けるだろう。頭の先から温度が下がっていくような「Geek Chic」のヒプノアシッドなリミックスは北海道KUNIYUKIこと高橋クニユキ、妖しげな日本語のモノローグと秋に鳴く蟬の声をフィーチャーし、時空を狂わせる「Radio Lollipop」のリミックスはウクライナのプロデューサー、Vakulaがそれぞれ担当。全員が北国出身という新感覚のバレアリック・フィールが新たな刺激をもたらしてくれる、そんな1枚となっている。(Text : Yu Onoda)
LORD OF THE ISLES / ロード・オブ・ザ・アイルズ