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酒と涙と男と女。孤高の名も無き天才フォークシンガー加地等が2009年、冬に放つ渾身のニューアルバム。錚々たるアーティストの参加により話題となった KEBAB RECORDS主催によるフォークコンピ『ニャンでもない日には』への参加も記憶に新しいが、オリジナルアルバムとしては前作からおよそ約2年ぶりとなる待望の最新作だ。今作は今までの全作品を発表しているHOMESICK ENTERTAINMENTを離れ、加地等本人も非常に親交の深い、ミュージシャン岡敬士が代表を務める新鋭レーベルKEBAB RECORDSよりリリースされる。
映画、文学、アイドル、そして酒を誰よりもこよなく愛し続けた情けないダメ男が唄うのは、唄ごころに溢れたリアルなフォークソング達。40 代目前、どうしようもない不安・ジレンマ・焦燥感。私生活では酒の呑みすぎにより何度も体調を崩したり、08年のクリスマスには3畳間の当時自宅にて不注意により右手を大火傷したあげく、職まで失ってしまったりと散々ではあったが、今作はレーベル代表の岡敬士と共に約1年半に渡る構想、長い年月・情熱を費やし遂に完成した渾身作だ。
シンプルなギターにのせて酒やけしたヘロヘロの声から放たれるのは、確立した唯一無二の独特な詩の世界感。中でもエロティックな詩の表現は、オブラードに包まない丸裸な表現方法が多いためか、女性からは下品な下ネタと囚われ避けられてしまいがちであるが、石川啄木、織田作之助、棟方志功などをフェイバリットに挙げる彼の奥深い詞を深く突き詰めると、容易に単なる下ネタではないことが感じとれる。それどころか、フェミニズムな印象すらも覚える。
また、フォークはもちろん、時より見せるブルージーなギターやハープ、キャッチーなリズムやメロディー、昭和歌謡のような泥臭さなどからは、長年のキャリアにより培ってきた加地等の持つ楽曲に対する幅の広さを感じることができる。それも、数々のフォークシンガーやロック、ポップスが生まれた昭和の時代を駆け抜け、Bob DylanやWoody Guthrie、The Rolling Stonesは勿論、松田聖子や大塚愛、水野きみこなどアイドル歌謡を好んで聴いていたからであろうか。モダンな雰囲気すらも垣間見れる。
そして、銀杏BOYZの峯田和伸をはじめ、度重なる共演を果たしているパラダイス・ガラージ/豊田道倫や、LABCRY/LETTERの三沢洋紀、前野健太など沢山のシンガーソングライターや、映画監督の堀内博志(PERFECT WORLD)に至るまで、数多くのアーティストからも絶大な評価を受けている。楽曲クオリティの高さ、持ち前の人柄の良さからであろう。また、今作のマスタリングエンジニアは、ゆらゆら帝国、BORIS、ギターウルフ等を手がけたPEACE MUSICの中村宗一郎氏が担当。肌寒い真冬に届けられた11編の唄物語。真夜中に部屋で独り、ビールでも呑みながら存分に堪能して味わってほしい作品だ。
加地等