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「オルタナティヴ・ロック」「インディーロック」という言葉が形骸化してどれくらい経ったろうか。
【例えばspotifyやApple Musicでジャンルで括ったプレイリストをぼーっと流しながら1日過ごす、それがすっかりスタンダードになってしまった時代。オルタナティヴは、インディーはその存在意義をどう保つのか…。そんなことを考えてしまうことが増えた。新しいことをやらなければならないという呪縛。2014年に結成されたCHIIO。彼らはそういった葛藤とは別のところで、解き放たれたように実に真っ当に、そして真っ直ぐに、自分達の音を鳴らすことが出来ているようだ。優しく紡がれたかと思えば衝動と計算の間を行ったり来たりするようなドライヴを見せる2本のギター、実直だが歌心のスパイスを添加してみせるベース、全体を統括しバンドの支柱たりえているドラム、シンプルかつ少ない言葉数ながら聞き手に強い印象を残すGu.Vo中村の歌詞、そしてCHIIO最大の武器と言ってもよいだろうメンバー全員による美しい声の連なりで曲に広がりと深みを持たせることの出来る素晴らしいコーラスワーク。アレンジが効いているのにそれらを3分前後の曲にまとめ上げられるPOPセンスも見事だ。あどけなさとそれ故の軽やかさは、時にサニーデイサービスやフィッシュマンズが纏っていた空気を思わせたりもする。Death Cab For Cutieが『Narrow Stairs』でビルボードチャート1位を獲得したのが2008年。思えば「インディーロック」という言葉が輝いた最後の時代だったのかもしれないあの時から9年経ち、東京の片隅でCHIIOのようなバンドが産まれ、90年代終わり頃から時代の隆盛を見届けてきたレーベルである3P3Bから『toc toc』という作品をリリースする。その事実に僕様々な符号を感じざるをえない。『toc toc』とはイタリア語で「トントンというノックの音」を意味する言葉だという。彼らが叩くのは僕らの心の扉なのか、はたまた時代の扉なのか。いずれにせよ、またここから何かが始まる、そんな希望に満ちた傑作の誕生だ。】 山口将司(bed)
CHIIO