今作は、1979年生まれで現在30才のチェコのベーシスト Tomas Liska の名義デビュー作。かれは Matej Benko のグループ、アルバムでは「Time Against Us」の参加や「Points」というピアノレス・カルテットで活動をしており、ポーランドをはじめ多数の受賞歴があるベーシスト。 プラハのヤロスラフ・イェジェク(Jaroslav Jezek)音楽学校出身、当時 Jaromir Honzak にも学んでいたそうで、2005年には David Doruzka Trio として活動していました。 ジャズ・ファンは David Doruzka に耳がいくところですが、今作トリオのイタリア人、バンドネオンの Daniele di Bonaventura の参加はに驚いた方は多いはずです。ヨーロッパ・シーンでもひときわ異彩を放つかれですが、Miroslav Vitous のECM作「UNIVERSAL SYNCOPATIONS II」に参加していたバンドネオンの人、といえばジャズ・ファンにも納得です。ちなみにVitousもチェコ出身です。かれの参加があってか Tomas Liskaの作曲が先行してか、ジャンルとしてタンゴ色の濃いワールド音楽になってますが、ドラムレスでここまでのグルーブ、Tomas Liskaの底知れない実力、アコースティック Doruzka のメロディ・センス、Daniele di Bonaventura のかっこよすぎる空間掌握力、正直、唯一無二の作品に昇華してます。 (新宿ジャズ館 渡辺)
■メンバー■ Tomas Liska - acoustic bass, compositions David Doruzka - acoustic guitar Daniele di Bonaventura - bandoneon
