しかし、今回のエイドリアン・シャーウッドと組んだ新作はまるで様子が違う。1990年の『From The Secret Laboratory』(Mango)以来となる両者のコラボレイションだが、プロデュースしたシャーウッド自身が《ここ20数年で最高のリー・ペリーのアルバム》と語る自信のほどは、1度じっくり本作を聴き通してもらえれば合点がいくはずだ。シャーウッドが最新のインタヴューで証言していることだが、この作品にはペリーの溢れるようなアイディアがふんだんに盛り込まれている。ただ単にシャーウッド側で用意したトラックにペリーがヴォーカルを乗せたようなイージーな作りではなく、ペリーのアイディアを元にして2人でそれを膨らませ、練り上げたり、もしくはトラック自体を一緒に作ったり、あるいはシャーウッドが提案(用意)したオケに対しては、シャーウッド曰く、ペリーがパーカッションを加えるなどして〈魔法をかけて〉仕上げている。つまりは、シャーウッドのイニシアティヴによる、(クレジット上はどうあれ)実質上のシャーウッド=ペリーの共同プロダクションとして聴かれるべきものなのだ。ペリーから確かな信頼を得ているシャーウッドだからこそ、今ペリーのやりたいこと、現時点でのリー・ペリーという才能がピュアに体感できる作品というわけである。