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AKA「民謡の守門者」、日本民謡研究に於いて断トツの知識を持ち、しかもそれは書物のみならず全て自らの足で全国を回って得た「本当の知識」を持つ男、それが竹内勉です。その竹内勉がライフワークとして取り組んだのが本阿弥書店から全10巻が出版されているこの「民謡地図」シリーズ。数多い著作にちりばめられた唄の源流を、種類ごとに一気読みできるのが素晴らしい。
万葉集の昔から日本にあった「歌垣」。男女が互いに即興で歌詞を作り合い、共通の節で交互に唄い合う「歌問答」とも呼ばれるこの文化は、盆踊りと表裏一体の存在であり、現代まで伝わる日本民謡のルーツの一つです。高知の民謡として名高いヨサコイ節の「ヨサコイ」は、元々「夜さ来い」であり、男性や女性が夜這いを誘いかける歌垣にルーツに持っていることを解き明かす第1章、秋田民謡「おばこ節」のルーツを歌垣に求めた第2章、そして掛け合い形式の喜界島の盆踊り「八月踊り」を扱った第3章、いずれも現在に残る民謡の歌詞や演じられる形式に存在する「歌垣」の残滓を丹念に拾った詳細レポートとなっています。
「里山に放し飼いにされた牛馬のように好きな相手と自由に交尾するため」「即興で作られた」歌である歌垣は、野蛮で軽蔑の対象でした。だから「良い」とか「悪い」ではなく、唄の中に残る証拠を繋ぎ合わせ、「日本民謡がどのように成立したか」までを想起させる、非常にドープな1冊!
竹内勉