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※デジパック
明るく、そして華やかに溢れるようなメロディへの愛 Tonu Naissooが描く春のジャズ・ピクチャー
「華麗!…やなぁ」と、思わず声に出してしまった。春の海に揚がる三つの凧(カイト)。Tonuの新作の裏ジャケはなんとも麗らかな気配だ。
そこに記されたプログラムの一曲目がCarla Bleyの Ida Lupino。曲名を見た瞬間、耽美を極めたPaul Bleyのソロ・ピアノが脳裏に浮上する。意識するともなく、その響きをプレイバックしながらTonuの演奏に接したところ、ヤラレタ、こう来るか、と思った。なんと、エイト・ビートなのだ。それも、実に明るく華やかな音の連なり。素材は同じでも、扱いによってこうも表情が異なるものか…ジャズの楽しさここにあり、だろう。デジパックのジャケを開くと、雪景色の中のTonuのイラストがあって、それを見ると失礼ながらほとんど好々爺みたい。ところが、この人の音楽に対するセンスは円熟とは程遠いキレを秘めていて、今回はいつにも増してそれを感じた。いや、センスというのも少し違うかも知れない。言ってしまえば、音楽愛のようなもの。音楽家なのだから、そりゃ音楽に愛はあるだろう、と仰るだろうか?確かにその通りなのだが、その愛情が、どうも幼い子供を慈しむような種類のものに感じられてならない。
美しい旋律、ポップなリズム、そうしたものが愛おしくて堪らない…Tonuの演奏には常にそんな印象がある。Wallerのジャズ・スタンダードをスピーディーに演じた、Jimmy Webbのトワイライトな、イントロとアウトロの処理が素晴らしい…ジャンルの壁を越えて、良いものは良い、と言いたげだ。そして、タイトルが語る通り、オリジナルのにはそんなTonuの想いが凝縮している。Gentle Beauty。また、このエストニアンが好きになった。(Text by 北見柊)
■Tonu Naissoo (p)
Mihkel Malgand (b)
Ahto Abner (ds)
TONU NAISSOO / トヌー・ナイソー