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1981年にVanity Recordsよりカセットテープでオリジナルがリリースされた逗子市のタチバナマサオによるINVIVO『B. B. B.』が初の単独CD化。
1978 年に設立され、パンク以降の価値観で活動する新たなバンドや、バンド活動を経た音楽家のオルタナティブなアプローチなど、同時代の先鋭的な音楽動向をいくつかの側面から捉えてみせた Vanity Records であるが、1981 年からのリリースでは “INDUSTRIAL MYSTERY MUSIC=工業神秘主義音楽” という方向性が強く打ち出される。
この方向性を宣言したのがロック・マガジン編集部に送られてきた多数のカセットテープから厳選された音源を収録した 1980 年 12 月リリースのコンピレーションアルバム『MUSIC』であり、単独の作品としてそのヴィジョンを示してみせたのが 1981年3月にLPでリリースされた tolerance『divin』であったが、以降のレーベル作品では時代の先端の音楽動向をよりスピード感を持って伝えるためカセットでのリリースが選択されることとなり、本作もこの文脈と形態で発表された。 本作のオリジナルは単独でのリリースもなされたが、“時代の風景としての騒音群” という意味を込め発表された『ノイズ・ボックス』という6本組のカセット・ボックスの一部としても世に出ている点が興味深い。
INVIVO『B. B. B.』のサウンドは楽器演奏の揺らぎやたどたどしさを多く含んでおり Vanity Records からリリースされたカセット作品の中では有機的に感じられる一作ではあるが、“時代の風景としての騒音群” という観点は単に録音環境やメディアの変化によって生まれてきた新たなサウンドを指すだけでなく、ヒスノイズというヴェールや反復という構造を纏うことで様々なサウンドが聴き手の意識の中で抽象的または匿名的な響き(更には意識の外にある音としてのノイズ)へと還元されていく様を、つまりはこの類のサウンドが一種のアンビエント・サウンドとなり得るということまでを見通しているように思われる。
INVIVO