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ひとことで言うと、SUICIDE UNDERGROUND & NICO。

"フランスのYOUNG MARBLE GIANTS"とのあからさまな異名をとるへっぽこミニマル・ノーウェイヴ最「左」翼、FALL OF SAIGONの唯一作EPが、2013年も絶好調のDARK ENTRIESよりついに待望のアナログ・リイシュー。

オリジナル盤はUNIVERS ZERO諸作品でも知られる仏地下レーベル/ファンジンATEM(PASCAL COMELADEのマネージャーでもあったGERARD NGUYENが主催)からの83年超激レア12"。

THIS HEAT の同名曲からインスパイアを受け81年に結成、かの若きPASCAL PAUL VINCENT COMELADE (ORGAN/SYNTH)を中心 に、COMELADEの82年カセット・ソロ作"IRREGULAR ORGANS"にも参加している THIERRY 'TERRY' DEN (GUITAR, VOICE)、FLORENCE BERTHON (VOICE)の2人に、あの時代のドラ ムマシーン、を加えた3+1人組が奏でる最低にチープでアマチュアリッシュな一枚。仏地下音楽の生き字引COMELADEのキャリアの最初期に位置すると てもとても恥ずかしい過去をさらけ出す一枚としても嬉しい再発です。

自宅の2トラック・レコーダーに一発録りというやる気のない男声の2 曲と、ドラムマシーンを雇い入れた「4人編成」でTHE MONTPELLIER LANGUEDOC VIDEO ANIMATION CENTERに て披露されたという女声の4曲。全編で漂う怠惰なドローン・ヴォーカルとやるせないパンク・リフ、ひたすら低価格で原始的なマシーン打音、気の抜けた/無 駄に気合いの入った分裂気味のミニマル・シンセ。。

一聴して、「ん、なんかつまんない。」と思わせたら勝ちな、ガキには愛せなくてもいい 音楽。でも聴いてほしいんです。何度も何度も。だってJAMES JOYCEの詩を負のオーラにまみれさせた「シャルルラ、ラルリー。。」コーラス ("ON THE BEACH AT FONTANA")の反復の強度ったら。キャッチーには程遠いあまりのキャッチネスに、がんばらなくてもいいんだ 俺。。とふと気付けること請け合いです。

11年のCD化の際に露わになったライヴ音源(本アナログには未収録)では、82年の時点で DOORSとKRAFTWERKとTELEVISION PERSONALITIESを同時に取り上げる「わかってる/わかってない」感もあったりと、東 海岸サイケからクラウト・テクノと当時のカルト・インディー・ポップを分け隔てなく扱える新しい波に揺られたイイ時代の産物です。そのほか隣国ベルギーは CRAMMED DISCからの仏産女子NW最高峰HERMINEにときめく方、おふらんす女SUICIDEことKAS PRODUCTファン、クレプス キュールな黄昏フェチのみなさん、もちろんTHIS HEATの78年名曲「サイゴン陥落」的な半人力・チープ・テクノ好きにもオススメです。

ち なみにCOMELADEは、PIERRE BASTIEN (来日熱望。。)、JAC BERROCAL、 GUIGOU CHENEVIER (ETRON FOU LELOUBLAN)、HECTOR ZAZOU (ZNR)、 DOMINIQUE GRIMAUD (VIDEO AVENTURES)、JEAN-FRANCOIS PAUVROS等々と並ぶ言わずと知れたフレン チ・フリー/アヴァン・ポップを代表するトイ・ピアノ演奏家。トイ・ポップ楽団の最前衛BEL CANTO ORQUESTRAの中心人物としての活動や ソロの他、オールド・ウェイブを引きずる世代にはROBERT WYATTとの"SEPTEMBER SONG"名演、アヴァンギャルドな方には FAUSTとの仕事、スパニッシュ・アブストラクト・ジャズ通にはTOTI SOLERとのデュオ、近年ではPJ HARVEYとの共演、、、などなど幅 深い活動で知られ、レコメン/フレンチ・プログレ/トイ音楽界隈では知らない人はいない異才です。マジスキ。

オリジナル・アートワークも再現され、仕様も忠実な45回転盤。歌詞・フォト掲載のインサート付。