【スタッフコラム】 ベストアルバム☆フロンティアーズ case.07

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2021.08.01

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ディスクユニオンスタッフのベストアルバムにまつわるコラム「ベストアルバム☆フロンティアーズ」


 特集 ベストアルバム 履歴書


音楽の飽くなき探求やシーンの開拓を続ける当社スタッフのベストアルバム遍歴を辿り、その魅力を再開拓していきます。ベストアルバムをテーマにしたとき、その世代を懐かしむか、利便性や資料性に着目するのか、はたまた風変りな一面を追うのか...日本独自の発展を遂げたコンピレーション文化に対する様々な遍歴や視点、新解釈ベストアルバム論をお楽しみください。




 1987年 (小学三年生)
 
 とんねるず / ベスト (D32P6158)
 「夕やけニャンニャン」が帰宅後の楽しみだった都内在住の小学生

小学生の頃からテレビっ子で夕やけニャンニャンは帰宅から夕飯までの楽しみだった。そこに映るやりたい放題の二人組こそとんねるずだった。

小学生時代はとんねるずと一緒に過ごしたと言っても過言でないくらいに様々なテレビ番組に出ていたし観ていた。「ねるとん紅鯨団」、「みなさんのおかげです」、「コラーッ!とんねるず」。。。さすがに「オールナイトフジ」は年齢的に観てなかったですが、、、私の彼らに対するイメージは、お笑い芸人ではなく「タレント」、「ザ・芸能人」に憧れたポッと出のにいちゃん。一人は成増出身、帝京高校野球部、通ってた幼稚園が一緒という噂、、、で勝手な親近感さえも抱いていたのだった。

で、本作は兄か従兄弟にダビングしてもらったカセットテープをモノラルの小さなラジカセで繰り返し聴いていた。なので、ジャケットデザインは知らず、今回初めて知ったのだった。当時は何も気にしてなかったが、『ピョン吉ロックンロール』と『一気!』、『雨の西麻布』が入っていない。答えは簡単♪レコード会社が違うからだ。

まぁ、そんなことはさておき、私の人生でアニメ以外の音楽に触れた最初期がこれだったと記憶している。



 1989年 (小学五年生)
 
 森高千里 / 森高ランド (29L2117)
 「私にとって『17才』は森高千里の曲でした。

私にとって『17才』は森高千里の曲でした。イメージとしてはただのアイドルではなかった。幼いながらに音楽的な感じがしたからだろうか。もちろん容姿も好きでしたが曲が好きでした。鼻に掛かった歌声も。

本作は確か母親が買ってきたCDで、母親が聴いているところは見たことなく、自分のもののように兄からのお下がりのCDラジカセで聴いてました。その後、森高千里にどハマりし、リリースされる作品を予約し発売日に買い続ける日々がしばらく続きました。

キャロルやビートルズのカヴァー、ギターを弾いたりドラムを叩いたり、作詞も作曲も手掛けるロックねぇちゃん。出会った頃に抱いたイメージに間違いはなかった。やっぱりただのアイドルじゃなかった。

結婚後、しばらく第一線を退いたがまた最近見掛けるようになり懐かしい気分になることがしばしばございます。本作はアレンジが加えられているので厳密にはベストアルバムとは言われないかも知れませんが、収録曲はベストであり、私にとって各楽曲のオリジナルはこのアレンジなんです。



 1991年 (中学一年生)
 
 DEEP PURPLE / ノッキング・アット・ユア・バック・ドアー~ベスト・オブ・ディープ・パープル in 80's (POCP1149)
 生まれて初めて買った洋楽CDは「がっかりベストアルバム」

土曜の夜の歌番組というか、芸能人のカラオケ番組というか、そんな番組でビジーフォーが演奏していた『スモーク・オン・ザ・ウォーター』が凄まじくカッコよく、すぐさま隣の隣町のCDショップにチャリンコをすっ飛ばして買いに行った思い出の一枚であり、がっかりした一枚。。。

もちろん、ディープ・パープルなんて知らず、ただ単に『スモーク・オン・ザ・ウォーター』が聴きたかっただけだから、安易に選んだベストアルバム。順番に聴き進めていくとお目当ての『スモーク・オン・ザ・ウォーター』に。あれ?あれあれ?何か違う!ライヴ・ヴァージョンじゃん!!!しかもサビでオーディエンスに歌わせてる。そして長い。。。CD買って後悔することなんてあるのかと思い知らされたのでした。

素直にオリジナル・アルバムを買っておけば良かったなぁと思い続けて約30年経過。未だに「MACHINE HEAD」は所有してません。今となっては『スモーク・オン・ザ・ウォーター』より『ハイウェイ・スター』の方が好きです。



 1992年 (中学二年生)
 
 小泉今日子 / K2 ベスト・セラー (VICL40034)
 好きな芸能人は小泉今日子と渡辺満里奈と菅野美穂

昔から好きな芸能人は?という問いに、「小泉今日子」、「渡辺満里奈」、「菅野美穂」と言い続けて早20年。最近は「長澤まさみ」と「吉岡里帆」がランクイン。

で本題。昭和のアイドルってたくさんベストアルバムがありますよね。キョンキョンも御多分に洩れず多数あります。バラード・ベストやリミックスを加えたものもありますね。で、私のリアル・タイム・ベストアルバムはこれなんです。どういう選曲なのかわかりませんが、本作の前のベストアルバムは1988年のBEST OF KYONG KING。若干収録曲が被ってます。とは言え、代表曲、人気曲を網羅。『怪盗ルビイ』も入ってますよ。で、これの2枚目がアルバム収録曲100曲を編集したという謎のCD。結構酷い編集の仕方だったと思います。

何はともあれ、これをきっかけにその後のオリジナル・アルバムを買い揃えるようになったわけです。いつの時代も歳をとっても私にとっての永遠のアイドルはキョンキョン(とその他4名)なのです。



 1992年 (中学二年生)
 
 SEX PISTOLS / キス・ディス~ベスト・オブ・セックス・ピストルズ (VJCP28132)
 ピストルズとクラッシュとダムド あなたはどれが一番好きですか?

ロンドン・パンク、三大パンクの最初の出会いはレンタル屋さんで借りた「THE CLASH/London Calling」だった。次が池袋の五番街で手に入れた「THE DAMNED/Machine Gun Etiquette」のUS盤(ジャケット違い)CDと「THE JAM/In The City」の国内廉価盤CDだった。なので次に聴くべきは必然とピストルズとなる。

黄色のあのジャケを聴けばいいところ、ある程度知恵が付いたのか、たくさん曲が入ってる本作であるベストアルバムを選択した。初回限定盤はTシャツが付いた豪華仕様だったが、小遣いの少ない中学生には高価だった為、通常盤を購入。

黄色のジャケの曲は全部入ってるし、シドの『My Way』や当時は知らないTHE STOOGESやTHE MONKEESのカヴァーも入っていた。良いものを手に入れたとその後聴き狂う日々が続くのでした。



 1993年(中学三年生)
 
 ユニコーン / ベリー・ベスト・オブ・ユニコーン (SRCL2796)
 ユニコーンと過ごした中3の夏



小学生高学年から中学生の三年間を共に過ごしたユニコーンが解散したのは中学三年生の夏~秋だった。結果的に最後のツアーとなった4946ツアーの武道館公演のチケットを同級生に取ってもらい楽しみにしていたのも束の間、受験生に塾を休む勇気はなく、結局キャンセルしてしまい後日リリースされたビデオで少し観たのであった。

ツアー最終地の沖縄公演の1日目はWOWWOWで生中継があり(台風で楽器やセットが届かず30分遅れ)、祖母の家で正座はせず録画しながら食い入るように観たのでした。そんなアクシデントの中、シンプルなセット、古い曲もセットリストに組み込まれ、曲順を間違えるという非常に特別なライヴでした。その時民生が着ていた「THE WHO/Tommy」のTシャツを数年後格安で発見して発狂したのも思い出。そして夏の恒例SMAちゃん祭り(「ツイスト/燃えろいい女」のセッション・カヴァーがサイコー!)〜突然の解散発表の「オールナイトニッポン」と、あっという間に時は過ぎ一番大好きだったバンドが解散した。

その後は今までのCDや友人が盗聴したライヴ音源、録音していた「オールナイトニッポン」をひたすら聴き返し、ギターも始めた。最初に練習したのが『ペケペケ』。文化祭では『与える男』を友人数名で演奏。歌えるメンバーがいなかった為、キーボードで歌メロを弾くというなかなかのアレンジで全校生徒、先生の前で披露。恐らくその月に届けられたのが初のベストアルバムである本作。もちろん予約/発売日前日に購入。初回盤は凝った仕様のケースでした。収録曲と言えば全てのアルバムを聴いているファンにしてみれば別に(沢尻エリカ風)何てこともないのだが、シングル曲、人気曲をほぼリリース順に詰め込めるだけ詰め込んだ、いわゆるベストアルバムだった。

ファンなら気づくと思うが、シングル曲の『デーゲーム(坂上二郎ヴォーカル・ヴァージョン)』と『命果てるまで』『ブルース』が入ってない。しかし入り口としては最適な作品である。これが最後のリリースかと思ってましたが、2009年突如再結成。今なお新作を追い続ける一番好きなバンドです。

で、最後にお願いが。「オールナイトニッポン」で演奏された『すばらしい日々』をフィジカル化してほしいんです。あと、最後の沖縄公演2日目!



 1995年 (高校二年生)
 
 RCサクセション / ベスト・オブ・RCサクセション 1970-1980 (TOCT5901)
 「手っ取り早く全貌を知る」為のベストアルバムのはじまり

高校生の頃、友達の少ない私は昼休み安いカセット・ウォークマンで「BABY A GO GO」を教室の自分の席で聴くのが日課だった。でもそのアルバムは特に思い入れがあったわけではなく、ただ単に家にあったから。恐らく兄のものだろう。RCサクセションのことは余り知らず、辛うじて忌野清志郎のことを知ってた程度。ソロ曲がCMで使われたりドラマにも出てたからだ。

手っ取り早く全貌を知る為に買ったこのベストアルバムはフォーク・ソングで始まりしばらく続く。徐々にバンド・サウンドになり、音の変化がわかりやすい一枚であった。もちろん『スローバラード』や『雨上がりの夜空に』、『トランジスタラジオ』も好きだが、『宝くじを買わない』や『2時間35分』、『ぼくの好きな先生』、『君が僕を知っている』、『いい事ばかりはありゃしない』が好みだった。

とても良いベストアルバムですが、全貌を知るには足りないのでこれをきっかけにオリジナル・アルバムを順に聴いてくださいね。



 2002年 (大学二年生)
 
 ジッタリン・ジン / 8-9-10 ! (COCP50157)
 私の「あまのじゃく」を加速させたバンド

イカ天キング〜メジャーデビュー後、いわゆる「売れてる」時は声を大にして好きだとは言えなかったが、ハッキリ言って好きでした。

順当に行けば1991年リリースの「ハッピーカムカム」だが、そんな気持ちが邪魔をし聴いてもおらずベストアルバムとの最初の出会いは本作となった。同時に当時の最新作「テンタスティック」を今はなき御茶ノ水のジャニスでレンタルして友人に焼いてもらったCD-Rで聴いていた。もちろん代表曲の『プレゼント』や『日曜日』、『夏祭り』も良いが、ミーハーな世間に忘れられた後のいわゆる「売れてない」頃の楽曲が目当てだった。レコード会社の移籍〜インディーズ期の作品を手に入れるのが困難だったと記憶している。

その中でも『クローバー』という曲が好きで今でも良く聴いている。冒頭は子どもが歌っているかのような歌い出し。サビでもコーラスで入り懐かしさと哀愁を演出している。2コーラス目では同時に歌い疾走感がある。また、アコーディオンでのソロが気持ちをより一層高揚させる。そして歌詞だ。「いつまーでーもーわーたしのことーわすれないでいてねー」。冒頭とサビのこの一文に心奪われた。葬式ではこの曲を流してほしい。でもまぁ、忘れてくれても構わないんだけどね。ボクがキミのことを忘れないから。



 2002年 (無職)
 
 NIRVANA / ベスト (UICY1140)
 世界で一番好きなバンド

出会いはMTVアンプラグドを自宅で観たあの日。既にカートは死んでました。。。しかしあの日が私にとっての音楽人生の分岐点であったことは間違いない。

手始めに1stアルバムの「Bleach」を聴きましたが、アンプラグドとはかけ離れたイメージ。しかし楽曲の良さがすぐわかり数少ないアルバムを順に聴いていきました。一番のお気に入りはラストアルバムの「In Utero」。最初に手にした国内盤LPを皮切りに、オリジナル盤、ヨーロッパ盤、リマスター盤、アルビニMIX、果てはブートレグと今や我が家のレコード棚のひとマスは世界各国プレスの「In Utero」で埋め尽くされております。

で、本作ですが、大学生の頃、小中の同級生に近所のTSUTAYAで誕生日プレゼントとして買ってもらった思い出があります。全てのアルバムを聴いていたので不要なベストアルバムでしたが、なんと!未発表曲が収録されてるではないか!と、もちろん知った上でいただいたCDでしたが、その曲はサイコーで破壊力があり、まだまだあるんじゃないという期待を持たせてくれたのでした。

その後、3CD+DVDの未発表音源集がリリースされ、オフィシャルとは思えない数多くのライヴ音源を買い集める日々が続いております。

最後に、葬式では『All Apologies』を大音量で流してほしい。この世で一番好きな曲だから。



 2004年 (アルバイト二年生)
 
 RASPBERRIES / ラズベリーズ・ベスト フィーチャリング・エリック・カルメン (CP281020)
 ボクパワーポップガスキダ

70'sパンクを掘り下げていくと自ずとぶつかるパワー・ポップの世界。最初は80年代のバンドを聴いてましたが、トリビュート盤をきっかけに聴いたラズベリーズ。

この新聞紙?ジャケのベストアルバムを聴き、そのメロディの甘さ、心地良いサウンドに心打たれて現在に至るわけです。中でも特に『Tonight』の柔らかさと男気に昇天。この出来事をきっかけに、PILOTやTHE RUBINOOS、SPARKS、TITAN RECORDS、果てはBAY CITY ROLLERS/THE ROLLERS、ROSETTA STONEにも興味を持つわけです。

いつ聴いてもすんなり入ってくるパワー・ポップがいつまでも好きなのだ。



 2005年 (アルバイト三年生)
 
 MARY LOU LORD / ライツ・アー・チェンジング (ZORA106)
 90年代を忘れられない原因のひとつ

カートの元彼女。そんなことはどうでもよくて素晴らしいSSWなんです。

最初は確かメジャー作の「GOT NO SHADOW」から。KILL ROCK STARSからリリースされた『Some Jingle Jangle Morning』のバンド・ヴァージョンを収録。もちろんこれにも入ってます。その他、TEENAGE FANCLUBが憧れたBEVIS FRONDやELLIOTT SMITHのカヴァー曲、テレビ番組「テラスハウス」で使用された『Lights Are Changing』も収録。このベストアルバムには新たな発見がありました。

90年代を忘れられない原因のひとつがこの人です。数年前の来日公演を観に行けなかったことが心残りです。



選出・文
新宿中古館・ブックユニオン新宿 ヤマダナオト

ベストアルバムは聴かない、オリジナル・アルバムを順を追って聴く、好きなアーティスト/バンドは発売日に買うをモットーにしてきた為、リアル・タイムな作品が多く、この企画の趣旨に対してはホントに面白くないものになってしまいました。でも最近は「手っ取り早く全貌を知る」為にベストアルバムを聴くことが多いです。そこからオリジナル・アルバムを聴いていくって言うのもベストアルバムの役割りだったりするのかなと思うわけです。好きです、ベストアルバム。



©ベストアルバム☆フロンティアーズ