【連載コラム】The Conscious of R&B - aimi:Vol.12『2022年も注目したいアーティスト』

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2021.12.24

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毎月第4金曜更新の連載コラムを担当しています、R&Bシンガーソングライターのaimiです!

『The Conscious of R&B』と題して、2021年注目すべきR&Bアーティストを紹介しています。今ホットなR&Bアーティストが何を考え、何を感じ音楽を作っているのか、作品に隠された “意識”に注目して、勝手な私の解釈も交えながらお伝えするコラムです。

この連載コラムではこれまで11人の注目すべきR&Bアーティストを厳選して、生い立ちから作品に込められたメッセージまでたっぷり紹介してきました。世界的に再熱しているR&Bがより身近なものになり、日本国内でも盛り上げていければという想いで連載を続けてきましたが、今月で連載最終回とさせていただくことになりました!
この記事ではこれまで取り上げてこなかったR&Bアーティストで、2022年も引き続き注目したいアーティストをピックアップして紹介していきます。


▷ これまでのバックナンバーはこちら

Vol.1 『Jhené Aiko』
Vol.2 『Jazmine Sullivan』
Vol.3 『Joyce Wrice』
Vol.4 『Queen Naija』
Vol.5 『Mahalia』
Vol.6『H.E.R.』
Vol.7『Snoh Aalegra』
Vol.8『Kehlani』
Vol.9『Ari Lennox』
Vol.10『SZA』
Vol.11『Summer Walker』

Kiana Ledé
1997年生まれ米アリゾナ州フェニックス出身のシンガーソングライター「Kiana Ledé(キアナ・レデ)」。



Kianaが音楽の世界に飛び込んだのは14歳の頃。2011年、お母さんの勧めでキッズオーディションに出場し4位に入賞したことをきっかけに、RCAとのレーディング契約を結び、15歳で歌手デビューしました。クリエイティブコントロールを持ちたかったKianaはレーベルを離れるわけですが、役者にも挑戦するようになり、Republic Recordsと再契約を結び、デビューEP『Selfless』を2018年にリリース。Kianaの代表曲ともなった「EX」がストリーミングヒットしたことが記憶に新しいかもしれません。翌年にセカンドEP『Myself』を発表し、2020年には待望のデビューアルバム『KIKI』をリリースしていましたね。

Kiana と言えば、YouTubeでカバー動画がアップしていたことが印象的ですが、シンガーとしても優秀で歌唱力は間違いありません。フィーチャリング参加でもライブパフォーマンスでも安定感がありますね。今年リリース作品だとQueen Naijaのデビューアルバム『missunderstood』に収録された「I’m Her」、Tone StithのEP『FWM』の「Be Quiet」、Khalidの最新EP『Scenic Drive (The Tape)』の「Voicemail」、Bryson Tillerのクリスマスアルバム『A Different Christmas』の「presents」など多くのR&B作品に客演参加していました。

今年はソロ名義の作品がほとんどなかったことが残念ですが、Kehlaniをフィーチャリングに迎えた「Ur Best Friend」は胸熱なコラボシングルでした。ミュージックビデオはKehlaniが監督を務めています。
Kehlaniが親友(男友達)の誕生日パーティーでスピーチをするシーンから始まり、親友の彼女役である Kianaと一線を越えてしまうという三角関係を描いています。1990年代・2000年代初期を聴いて育ってきた二人の相性は抜群で、スウィートかつハイスキルな歌声が溶け合うようでした。来年に期待したいと思います!

引用:https://www.them.us/story/kiana-lede-kehlani-ur-best-friend-music-video-interview

VanJess
アフリカ・ナイジェリア生まれ、LA育ちの姉妹ユニット「VanJess(ヴァンジェス)」。


姉Ivanaと妹Jessicaは10歳・8歳の時にナイジェリア・ラゴスからアメリカに移住、小中高とカリフォルニアで過ごします。二人は高校時代にTLC、Janet Jackson、Brandy、Toni Braxton、Sade、Mary J Bligeなどにインスパイアされ、R&Bアーティストに憧れを持つようになりました。高校を卒業する頃、親には内緒でR&Bメドレーやマッシュアップなどのカバー動画をバスルームで撮影してYouTubeにアップし始め、世に知られていきました。

2015年にデビューEP『00 till Escape』をリリースし、2018年にはデビューアルバム『Silk Canvas』発表。90’s R&Bと現代のエレクトロサウンドの魅惑のフュージョンとPitchforkに評された作品で、Masegoをフィーチャリングに迎えた「Touch The Floor」やラッパーGoldLinkとの「Through Enough」などを収録。影響を受けたアーティストの一人であるKaytranadaやSinead Harnettなどとのコラボレーションを経て認知度を上げていきました。

そして今年、セカンドアルバム『Homegrown』をリリース。 “自家栽培” というタイトル通り、ロックダウン中に自宅で仕上げたアルバムです。デビュー当時のようにDIYの精神を表現したかったそうで、デビューアルバムの候補として挙がっていたタイトルでもあったのだとか。1曲目の「Come Over」の70年代ディスコミュージックを彷彿させるスムースなサウンドで、“VanJessの世界へようこそ” 的な立ち位置で、アルバム全体を象徴しています。

二人のビジュアルはスタイリングデュオのUgo Mozie とDaver Campbellが担当しており、VanJessのナイジェリアンのルーツを見事に表現。ナイジェリアンの姉妹デュオとしてさらに存在感を放っていますよね。今後の二人からも目が離せません!

引用:https://www.buzzfeednews.com/article/hissasalwe/vanjess-homegrown-quarantine-interview

Victoria Monet
1994年、米カリフォルニア・サクラメント生まれのシンガー・ソングライター「Victoria Monét(ヴィクトリア・モネ)」。



Victoriaがパフォーマンスを始めたのは幼稚園の頃。14歳でMySpaceを通じて、Darkchildとして知られるプロデューサーRodney Jerkinsの目に留まり(!)、オーディションに参加します。その後、LAに移り住んで、Purple Reignというガールズグループに加わりますが、デビューする前にレーベルから切られてしまいます。ソロでMotownと契約し、制作を再スタート。

Victoriaはアーティストとして活動する傍、他のアーティストに楽曲提供していることで知られています。Chloe × Halleの大ヒット曲「Do It」や親友Ariana Grandeの作品多数(アルバム『thank you, next』、「34+35」など)、Brandyの「Rather Be」、BlackpinkとSelena Gomezの「Ice Cream」などを生み出してきたヒットメイカー。

Victoriaがソロアーティストとして注目されるきっかけになったのは2020年リリースのアルバム『JAGUAR』。NPR、PAPER、Pitchfork、Billboard、MTV、Hypebeast、Essenseなど多くのメディアからサポートを受け、Apple Musicでも盛大にプッシュされていました。

今年の2月にリリースされた「F.U.C.K」もまたストリーミングヒットを記録。 “Friend You Can Keep”の頭文字をとったタイトルで、あなたがキープできる“お友達” になりたいという誘い文句をテーマにした曲です。リリースと同時期に第一子を出産しているのですが、妊娠中に撮影されたライブ映像ではピンヒールで踊りながら歌っているんですよ。凄まじいママです。



今年の夏にリリースされたThe Stereotypesをプロデュースに迎えた新曲「Coastin」は70年代ファンクを再構築したようなサマーヒットで、地元カリフォルニアへのラブレターとも言える一曲。ようやく外に出られる自由を象徴していて、よく晴れた日のドライブやプールサイド、ビーチがよく似合います。Mary Jane Girlsの「All Night Long」でも使われているKeni Burの「Risin’ to the Top」の鉄板ネタを使っていますね。

アルバム『JAGUAR』をひっさげてツアーを予定していましたが、新型コロナの影響で中止になっています。2022年はツアーを予定していると本人も語っているので、来年は何らかのプロジェクトが期待できそう!

引用:https://hypebae.com/2021/8/victoria-monet-coastin-single-track-release-listen-stream

Amber Mark
来年1月28日にデビューアルバム『Three Dimensions Deep』をリリースする、ドイツ・ベルリン生まれNY在住のシンガーソングライター「Amber Mark(アンバーマーク)」。



Amberは12歳から独学しながらギターを弾くようになり、クワイヤーで歌ったり、Garage Bandでビートを作ったりしている子供でした。幼少期は旅好きな母の影響でマイアミ、インド、ネパール、タイなどを旅して過ごしていました。

Amber といえば、2017年にグラミー賞のベストエンジニアアルバムにエンジニアとしてノミネートされています。え?エンジニア?という感じですが、カナダのエレクトロ・ファンク・デュオChromeoのアルバム『Head Over Heels』にエンジニアとして、またボーカリストとしても参加しています。

同年にデビューEP『3:33am』をリリース。この作品は大好きだった母を亡くした悲しみと向き合う中で生まれた作品です。母と旅しながら過ごした場所や思い出を思わせるサンプリングや、母が好きだったボサノヴァ、ベルリンで流れていたテクノやハウスなどこの頃から様々なサウンドを取り入れています。改めて聴き直していたのですが、悲しい出来事もこんなにも美しく楽しい音楽にできるのかと感動…。「Monsoon」という曲に実の母Mia Markの声が収録されています。

今年はアルバムの中から先行で、「Worth It」「Foreign Things」「What It Is」「Softly」の4曲をシングルリリースしており、収録曲ではありませんが、「Competition」もシングルカット&ミュージックビデオが公開されています。リミックスなどを挟みながら一年引っ張っている新作ですから、期待が高まりますね。

アルバムは4年かけて制作された作品で、これまで一人でプロデュースし制作してきたAmberがチームで積極的に取り組んだ最初の作品。若い女性のセルフディスカバリー、スピリチュアリティ、実在主義の旅を表現したものだということですが、 Amberの人生観や個性をより立体的に捉えられるような作品になっているはず。引き続きチェックしていきましょう。

引用:https://www.bowerypresents.com/shows/detail/413272-amber-mark

UMI
1999年生まれ、米シアトル出身のシンガーソングライター「UMI(ウミ)」。近々デビューアルバムリリースを控えている注目のR&Bアーティスト。


日本人の母とアフリカンアメリカンの父の元に生まれ、UMIはミドルネームの「海」から来ています。母はピアニスト、父はドラマーという音楽一家で育ち、4歳からソングライティングをしていたそう。高校に進学すると、自身のYouTubeやSoundCloudでカバー動画を毎週のようにアップ、その後オリジナル曲を公開していくようになります。

南カリフォルニア大学在学中の2018年にデビューEP『Interlude』をリリース。Lofi AlternativeやAlternative R&Bといったサウンドで、シンプルだけどキャッチャーなメロディを歌う素朴さが特徴的です。2018年にリリースされた「Remember Me」もこれまたシンプルなラブソングですが、Spotifyでなんと1億回以上も再生されています。(2021/12時点)

音楽以外で言うと、“Full Moon With Umi” というYouTube動画シリーズを満月の日に公開していて、占星術やスピリチュアリティについて積極的にリスナーと共有しています。ライブパフォーマンス中に瞑想をしたり、セージを焚いたり、Eryka BaduやJhene Aikoのように音楽体験のヒーリング要素を大事にしているアーティストの一人ですね。

2019年にリリースした2nd EP『Love Language』では、初めて全編日本詞で書かれた「Sukidakara」が収録されていました。コンスタントにシングルをリリースした後、2020年6月メジャーレーベルRCAを通してEP『Introspection』をリリース。この作品はHip-Hopのフローのような、SZA辺りがやりそうなスキルフルなメロディラインが聴けて個人的には好きでした。少しリスナー層を広げたい感じもありましたね。

今年はそのEPを生バンドで再構築したEP『Introspection Reimagined』を発表。 “Reimagined(再構築した)” はD’Angeloや Erykah Badu、Lauryn HillなどUMIが敬愛するアーティストのライブレコーディングにインスパイアされて制作されました。今年は野外フェス出演やライブも積極的にやっていましたが、デビューアルバムの制作にフォーカスできた一年になったんじゃないかと思うので、年明けにでもリリースされることを期待しています!

引用:https://highsnobiety.jp/p/umi-introspecyionreimagined/

駆け足でしたが、来年注目したいR&Bアーティストを厳選して紹介しました。時代とともに音楽は変化し続けるものですが、R&Bも例外ではありません。これからさらに盛り上がっていくジャンルだと思いますし、今後日本でもR&Bがもっと注目されるといいなと切に願っています!

これまでに紹介したアーティストを中心に作ったSpotify Playlistも是非聴いてみてください。


最後に今年一年間The Conscious of R&Bを読んでくださった皆様、ありがとうございました!この連載を通じて私自身も今のR&Bへの理解をさらに深めることができましたし、今後も不定期ではありますが、個人的に記事をアップしていくつもりなので、是非InstagramTwitterをフォローしていただけたら嬉しいです。

2021/12/24

< INFO>

私aimiの新曲「Lovesick」リリースから早1ヶ月ですが、冬の新曲「The Fool, The Lovers」をリリースしました!ミュージックビデオは一つの物語としても楽しめる映像になっているので、日本語字幕をONにして和訳も観ながら聴いてもらえたら嬉しいです。2022年も新作が続くので、お楽しみに。


『The Fool, The Lovers』

発売日:2021年12月10日(金)
▼ダウンロード&ストリーミングはこちら
https://orcd.co/thefoolthelovers

▼Official Music Video




『Fight No More』
  発売日:2021年6月2日
  ▼オリジナルバージョンの配信音源はこちら
  
https://orcd.co/bxjvddj
   <収録曲>
   1. Fight No More
   2. Fight No More (grooveman Spot Remix)


  ▼「Fight No More」MV



<Profile>


aimi
R&Bシンガーソングライター。千葉県成田市出身。
幼少期にソウルやディスコ ミュージックを聴き始め、90's, 00's R&Bに影響を受ける。
2020年5月にデビューEP『Water Me』をリリースし、初登場iTunes R&B/ソウルチャート1位を獲得。 リード曲「Sorry」が J-WAVE の SONAR TRAX に選ばれ、パワープレイされる。
2021年2月に2nd EP『Changed 4 Good』をリリースし、国内だけでなくアジア圏でもストリーミング数が上昇。最新R&B楽曲やアーティストを紹介するラジオ番組や連載コラムを自身で担当するなど国内で音楽シーンを盛り上げる活動をしながら、日本から世界に向けてプロデューサーShingo.Sと共に本格的なR&Bにこだわり、発信している。


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https://music.apple.com/jp/artist/aimi/1511042749



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