【連載コラム】The Conscious of R&B - 特別編 - aimi『Fight No More (Remix EP) 』Self Liner Notes

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2021.04.09

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毎月第4金曜更新の連載コラムを担当しています、R&Bシンガーソングライターのaimiです。

『The Conscious of R&B』と題して、2021年注目すべきR&Bアーティストを紹介しています。今ホットなR&Bアーティストが何を考え、何を感じ音楽を作っているのか、作品に隠された “意識”に注目して、勝手な私の解釈も交えながらお伝えするコラムなのですが、今回は特別編として「セルフライナーノーツ」をお届けします。

今年2月24日に2nd EP『Changed 4 Good』をリリースしたのですが、そのEPにも収録されている『Fight No More』という曲のRemix EPが本日(4/14)に配信リリースになりました!
 



このRemix EPを作ったきっかけはR&B DJの先輩たちとの会話でした。

私がレギュラー出演している block.fm のR&Bプログラム「Vibe-In Radio」の収録後に、MCを一緒にやっているR&B DJのDaBookさんとDJ AKITOさんと代々木八幡駅前のドリアを食べにいきました。注文したドリアを待ちながら、aimiというR&Bアーティストがこれから何をすべきかみたいな会議をしていました。(なんてありがたい時間)

その日の収録で、DaBookさんがリミックス音源をDJミックスで沢山かけていたのですが、二人からリミックスを作るのに興味はないかと提案してもらいました。ドリアを食べた後も、話は盛り上がって、共演してみたいビートメイカーにアカペラも一緒に音源を送ってみるのはどうかという話になりました。

『Fight No More』は元々R&BプロデューサーのShingo.Sさんのトラックで作った曲で、今まで作った曲の中で最もチルなサウンドでスロー寄りのミッドチューンなので、リミックス映えするのでは?ということで『Fight No More』を聴いてもらうことにしました。

デビューして半年くらいしか経っていない、見ず知らずのR&Bシンガーの曲をリミックスしてくれるかな、誰もやってくれないかもしれない、と覚悟はしていました (汗) ですが、嬉しいことに6人のビートメイカーの方がRemixをして音源を送り返してくれたんです。音源が届く度に飛び上がる気持ちでした。そうして、奇跡的にRemix EPが出来上がっていきました。

この記事では『Fight No More (Remix EP)』の収録曲を解説しつつ、参加ビートメイカーの皆さんを紹介していきたいと思います!





M1. Fight No More (grooveman Spot Remix)



grooveman Spotさんは1993年からClub DJキャリアを持ち、世界が注目するビートメイカー/プロデューサーです。MC U-Zipplain とのユニット「ENBULL」のDJ & トラックメイカーであり、Jazzy Sportの最重要選手。ヒップホップは勿論のことソウル、ファンク、ジャズ、ハウス、テクノ、果ては和物シティポップなど育んできた音楽的経験をターンテーブルから発信し、自身の作品にも落とし込んでいます。今は仙台を拠点に活動、向井太一やiriなど新世代アーティストのプロデュースやリミックスワークも多く手がけてられています。

音源を送ってから数時間後、2時間くらいでリミックスを完成させて送り返してくれるというスピード感だったのですが、その完成度の高さには度肝を抜かれました。

ボーカルデータはもちろん変えていませんが、このトラックに合わせて歌っているかのような不思議な感覚になりました。オリジナルバージョンでは陰、水のイメージがあったのですが、grooveman Spot Remixでは陽、光のイメージにがらっと変わりました。

DJとしての顔も持つgrooveman Spotさんは「自分がDJでプレイしたい!」という衝動を落とし込む所からアレンジが浮かぶことが多いそう。ボーカルをしっかり聴かせながらも、思わず体が動き出すようなサウンドに仕上げてくださいました。

grooveman Spotさんからこだわったポイントなどコメントをいただいています!

「歌のグルーヴ感が損なわれない程度にテンポアップし、クラブ映えするダンストラックに仕上げました。VanJessのTouch The Floor feat. Masegoの様なノリになればとイメージして作りました。日本のR&Bシーンはまだまだ盛り上がると思うのでみんなでサポートして行きましょう!」

grooveman Spot
https://www.instagram.com/groovemanspot/


M2. Fight No More (Shingo.S Remix)
 

Fight No MoreオリジナルバージョンもプロデュースしているShingo.Sさんは、私のこれまでの作品全てをプロデュースしていて、R&Bアーティストとしての可能性を見出してくれた大恩人でもあります。

Shingo.Sさんの過去作品といえば、Crystal Kayや清水翔太、青山テルマ、加藤ミリヤなど、近年ではSIRUPのLOOPを手がけたことでも話題になっています。国産R&Bの巨匠とも言える存在だと思います。

そんなShingo.Sさんのセルフリミックスですが、完全に新しい曲を作ってきたなと思いました。ドラムのフィルイントロから始まり、生バンドと打ち込みを混ぜ合わせたようなサウンドで「これはライブで絶対にやりたい!」とバンド再現のイメージがすぐに湧きました。

Jennifer Lopezの『Get Right』やAmerieの『1 Thing』、Beyoncéの『Crazy In Love』などRich Harrisonプロデュース作品を彷彿させるサウンド。この辺りが世代な人は大好物じゃないかと思います。

ビートメイキングにおいてShingo.Sさんが意識していることについて聞いてみたところ、わかりやすく三箇条にしてくれました。

1.Introでつかむ
2.歌を一番良く聴かせる為にそれを支える伴奏としてのビートメイキング
3.R&B好きがニヤリとするほのかな匂い

有言実行。まさにその通りに作られています。Shingo.S Remixの聴きどころについてもコメントをいただきました!

「Remixだけども、極力Remix感を無くしオリジナルと違うバージョン、的な仕上がりを目指して制作しました。テンポアップしたブレイクビーツと新たにリコードしたシンプルな上モノでまとめてみました。昔からのR&B好きなら聴いてきたであろう、00’s R&Bのアノ感じ、です。今回参加させてもらって光栄でした!このEPが色々な場所で聴かれて盛り上がってくれると嬉しいです。ぜひチェックよろしくお願いします。」


Shingo.S
https://www.shingo-s.com/

 
M3. Fight No More (DJ AKITO Remix)


DJ AKITOさんはライフスタイルレーベルChilly Sourceの副代表であり、DJ/ビートメイカー。Chillな週末をテーマにしたDJ Mix 「LAZY SUNDAY」シリーズやRemixワークなどの制作を行っています。

ラジオ収録の度に、毎回勉強させてもらっている私のR&B先生でもあります。そんなAKITOさんがR&Bではなく、まさかの2step。完全にサプライズリミックスでした。

2stepは1990年代後半から2000年前後に流行したサウンドで、世界ではCraig Davidの『Fill Me In』、日本ではm-floの『come again』で広まったと言ってもいいかもしれません。宇多田ヒカルの『Distance (m-flo remix)』も2stepが使われていて、ボーカルの切り刻み方が面白かった印象が強いですよね。

AKITOさんのリミックスでもボーカルデータを使った遊びがイントロに入っていて、出だしから掴まれました。EPの中で最も早いBPMで、EP全体のサウンドスケープを広げてくれたリミックスになりました。

AKITOさんはビートメイキングにおいて、その時の自分の気分や感情を大事にしているそうで、ちょっとアーティストに近い感覚かもしれませんね。私もそうなのですごく共感します。

そんなAKITOさんから参考にしたサウンドなどコメントをいただきました!

「いわゆるUK Garageや2stepといわれるジャンルのRemixで、疾走感と高揚感を楽しんでもらえればと思います。UKGのRemixerのRemixワークは参考にしました(PreditahやConductaなど) aimiさん、DaBookくんとやっているVibe-In Radioをぜひ聞いてください!」

DJ AKITO (Chilly Source)
https://www.instagram.com/akitonarahara


M4. Fight No More (Sam Is Ohm Remix)


Sam Is OhmさんはKick a Show や ZEN LA ROCK のプロデューサーとしても知られるDJ/ビートメイカー。15歳からダンスを始め、18歳から楽曲制作にのめり込んだそうです。大学進学と同時に新潟から上京し、同郷のKick a Showさんとの活動も精力的にされています。私はKick a Showさんのライブで初めてSam Is Ohmさんにお会いしたのですが、DJという枠に収まりきらない、完全にパフォーマーだなという印象を受けていました。

Remix EPの中でもかなりディープでDOPE。オリジナルとはまた違った今のR&Bサウンドに仕上がっています。薄暗いライティングのクラブで、がつんと低音を鳴らしたくなるような色気のあるリミックスだと思いました。

Sam Is Ohmさんが音源制作において意識していることを聞いてみたところ、「リミックスにしろ、ビートメイキングにしろ、ボーカルを中心に意識して作っている」とおっしゃっていました。楽曲の肝はボーカルだと。

そんなSam Is Ohmさんからもコメントをいただきました!

「aimiさんの美しい歌声を生かしつつ、DJツールとしても機能するトラックを目指してremixしました。現行のR&Bマナーに則りつつも、原曲とはまた違ったグルーヴを提案させて頂きました。原曲を聴いた時に、aimiさんは日本のElla Maiだと感じました。シルキーな声に細かく刻んだDRUMが映えると思い、すぐにRemixの完成像が浮かびました。aimiさんは多くの人に感動をもたらすアーティストだと感じています。今後とも一人のファンとして、応援させて下さい。」

日本のエラ・メイ…背筋が伸びます!頑張ります!

Sam Is Ohm
https://www.instagram.com/samisohm/



M5. Fight No More (ggoyle Remix)


ggoyleさんはSARMやmaco maretsなどにビート提供しているビートメイカー/DJ。以前、イベントでご一緒させていただいた時に、最近聴いているアルバムの話になり、音楽の趣味がすごく合うなと思ったので、私から音源を送らせていただきました。

今回のリミックスを初めて聴いた時のことをハッキリ覚えていて、映像が浮かんできたんです。それはヒールを履いて女性が夜の街を胸張って歩いていく姿でした。

『Fight No More』は「もう私は戦わない、もう傷ついたりしない」というメッセージが込められていて、目の前の幸せを見逃さないために、葛藤や苦悩を手放すという決意を歌っている曲です。オリジナルバージョンは弱さと強さが共存しているようなイメージがあったのですが、ggoyleさんのリミックスを聴いた時、この主人公は弱さを受け入れてちゃんと前に進んでいるなと感じたんです。

ggoyleさんがこだわったポイントを伺ったところ、その回答に驚きました。
「原曲とはまた違うバイブスに仕上げるべくテンポを上げて作りましたが、aimiさんの歌声やリリックから自分が感じ取っていた『静かだけど力強い決意』はそのまま残したかったので、コードや音色選びにこだわりました。」

やはり作者の意識って曲に現れるものですね。

ggoyleさんはR&Bやその要素が感じられるダンスミュージックを普段好んで聴いているそうですが、今回のリミックスはヨーロッパ、特にオランダのStudio Koto周辺の音楽からインスピレーションを受けたとか。

ビートメイキングにおいては、あまり考え過ぎず、今まで積み重ねてきた音楽体験から導き出される「自分が良いと思うもの」に素直に向かっていくことを意識しているとおっしゃっていました。自分が聴いてきたものが音に現れますよね。

ggoyleさんからもコメントをいただきました!

「今後より一層音楽活動に注力していくつもりなので、宜しくお願いします。SoundCloud(アカウント名:ggoyle)にもビートやMixをあげていますので、是非チェックして頂ければ嬉しいです。」

ggoyle
https://www.instagram.com/ggoyle/


 
M6. Fight No More (Uki Remix)


UkiさんはNYを拠点に活動する日本の音楽プロデューサー/DJ。Ukiさんのことは冒頭でもお話したドリアを食べながらしていた会議の時にDaBookさんから教えてもらいました。その時は全く面識がなく、SoundCloudで一方的にフォローしていたのですが、私が『Fight No More』を自分のSoundCloudにアップロードしておいたら、それを聴いてくださり、まさかUkiさんの方からメッセージをいただきました。

今回のRemix EPの曲順を決める時に、Ukiさんのリミックスは最後だなという感覚がありました。映画のエンドロールのような、舞台のカーテンコールのような、ライブのアンコールのような、このEPをまとめてくれるようなリミックスだと感じて最後に収録することにしました。

Ukiさんは一つ一つの音に意味を持たせるということを意識してビートメイキングをしているそうです。シンプルでありながらも、それぞれの音がキャラクター・役を持っていて、ちゃんと主役になり得るというか。Ukiさんのリミックスやインストの作品が人気なこともうなづけます。活動拠点を日本からNYに移したことで、音に対する捉え方にも影響があったのではないかと勝手に想像しています。

Ukiさんにもコメントをいただきました!

「原曲のイメージに沿ったclub仕様のリミックスに仕上げました。インスピレーションになったアーティストや音楽はKaytranadaやZikomo的なHouse。シンプルに踊って楽しんで下さい!」


Uki
https://www.instagram.com/ukimusik

 

R&B DJとして日本全国・アジア圏のパーティーを盛り上げてきたDaBookさんのサポートのお陰で、このプロジェクトが実現しました。DaBookさんからもコメントをいただいています!

「国内の凄腕プロデューサーがさまざまなアプローチで参加してくれました! 色んな顔のFight No Moreを楽しんでいただけます。嬉しいです!普段は東京を中心にR&B中心のDJをしています。 現場以外のaimiさんとやっているラジオ・配信やリリースなどなどの活動は下記URLにまとめているので良かったらチェックしてみて下さい!」

DaBook
https://instabio.cc/DaBook


最後に
EPの収録順にリミックスについて解説、参加ビートメイカーの皆さんを紹介しました。同じ曲、同じ歌でもアプローチや解釈は無限大だということを再認識できる作品になりました。

R&Bというジャンルにおいてビートメイカーの存在は偉大です。当然ですが、トラック次第で生まれるメロディも変わります。オリジナルのトラックがあったからこそ生まれたメロディと歌詞があり、それに最大限のリスペクトを込めて変化させて、違った場所やシーンでも楽しめるものにしていく。R&Bはリミックス・クラブカルチャーと共に愛されてきたジャンルの一つです。このRemix EPをリリースすることで、素晴らしいビートメイカーの作品に触れて、この人のビートで歌ってみたい、リミックスをお願いしたい、このリミックスを現場で流してみたいと思ってくれる人が増えて、R&Bシーンが盛り上がるきっかけになれば嬉しいです。

最後に。このプロジェクトはリリースをするために始まったものではないため、ビートメイカーの皆さんはお互いの作品を聴くことなく、先入観を持たずに自由に作ってくださっています。最大の敬意と感謝を込めて、全てオフィシャルリリースさせていただきました。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございます!これからも一緒にR&Bシーンを盛り上げていきましょう!

また自分の活動に行き詰まったら、DaBookさんとAKITOさんにアドバイスしてもらいいに、あのドリア食べに行こうっと(笑)


『Fight No More (Remix EP)』

発売日:2021年4月14日

▼配信音源はこちら
https://orcd.co/fightnomoreremixep



<収録曲 >


M1. Fight No More (grooveman Spot Remix)
M2. Fight No More (Shingo.S Remix)
M3. Fight No More (DJ AKITO Remix)
M4. Fight No More (Sam is Ohm Remix)
M5. Fight No More (ggoyle Remix)
M6. Fight No More (Uki Remix)

<MORE INFO>


この度ディスクユニオンのレーベル「Kissing Fish Records」から初のフィジカルをリリースすることになりました!人生初の7インチ アナログ盤。

『Fight No More』のオリジナルバージョンと、grooveman Spotさんのリミックスが収録されます。予約受付中ですので、デジタルで聴いて気に入った方は是非手にとってもらえたら嬉しいです!



『Fight No More』
発売日:2021年6月2日

<収録曲>
1. Fight No More
2. Fight No More (grooveman Spot Remix)



<Profile>


aimi

コンテンポラリー R&B シンガーソングライター。千葉県成田市出身。幼少期にソウルやディスコミュージックを聴き始め、90's, 00's R&B に影響を受ける。
学生時代に留学先のイギリスマンチェスターでライブオーディションに出場し、アジア人として初優勝。歌手の道に進むことを決意する。
長年のライブ活動と自主制作を経て、2020 年『aimi』として新たなプロジェ クトを始動。
2019 年、音楽プロデューサー Shingo.S との出会いをきっかけに、楽曲制作をスタート。
2020 年5 月にリリースしたデビュー EP「Water Me」が iTunes R&B / ソウルチャートで初登場 1 位を獲得。リード曲「Sorry」が J-WAVE の SONAR TRAX に選ばれ、パワープレイされる。
楽曲は 英語と日本語両方で制作しており、国境を越えた音楽活動を目指し、精力的に活動している。
2021年 1 月より block.fm にて DaBook と DJ AKITO (Chilly Source) と R&B プログラム『Vibe-In Radio』のパーソナリティを務める。
また disk union 公式サイトにて R&B 楽曲を紹介する連載コラムも担当。

▼SNS
Twitter https://twitter.com/aimi_music
Instagram https://www.instagram.com/aimimusicofficial/
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SoundCloud https://soundcloud.com/aimimusic-com

▼Spotify
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▼Apple Music
https://music.apple.com/jp/artist/aimi/1511042749



〈Back Number〉







aimi / Fight No More / Fight No More (grooveman Spot Remix)  (7")

Fight No More / Fight No More (grooveman Spot Remix) (7")

aimi

Kissing Fish Records / JPN / 7"(レコード) / KMKN86 / 1008260657 / 2021年06月02日

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