DJ daddykayのKeep On Spinnin' VOL.13『KINDRED THE FAMILY SOUL / LEGACY OF LOVE』

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2016.09.23

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ファティン・ダンツラーとエイジャ・グレイドンから成る夫婦デュオ、キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルの2003年のアルバム・デビューから数えて通算6枚目のアルバム『Legacy Of Love』をご紹介します。

ヒドゥン・ビーチから3枚、シャナキーから2枚、そして今回の新作はレーベルを離れ自主制作盤となった訳ですが、制作陣はデビュー時から大きな変動は無く、ジェイムズ・ポイザー、ヴィダル・デイヴィス等、その名前を聞けば、あぁ、と容易にフィラデルフィアが浮かんでくる、今回も安定の地域密着型現代版フィリー・ソウルに仕上がってます。

インタールード的なTK-1に続いてTK-2「Welcome To My World」(bpm80)では生音感タップリの和みソウルを聴かせてくれます。 自主盤と言えども後半での全体の楽曲の厚みは素晴らしいですね。 そしてグッときたのはTK-3「All My People」(bpm88)です。(こちらのMVは同じフィラデルフィアを本拠地とするラッパー、フリーウェイが参加してるヴァージョンです)頭の印象的なドラムの後の、なんとも気だるくやるせない気持ちになってくるイントロで一気に引き込まれてしまいます。”引き”をわきまえたトロンボーン、トランペット、サックスの響きもとても心地良いです。前半のハイライト曲。

マイナーコード進行のシンセとストリングスだけの静かなイントロから始まるTK-4「Get There」(bpm100)も哀愁系の佳曲。セカンド・ヴァースでリードがファティンからエイジャに移るところなんかグッと胸を締め付けられちゃいます。 TK-7「Never New」(bpm87)はbpmの割にはスピード感、グルーヴ感のあるトラックに、頭からシャウト気味に歌うファティンのヴォーカルも熱い熱い。プロデュースはジェイムズ・ポイザー。 TK-8「Legacy Of Love」(bpm97)も気持ちいいですねー。アルバム中一番の爽やかなスムース・チューンとなったこのナンバー、随所に挿入される控えめなトーク・ボックスもいい味を出してます。バーでのプレイはもちろん、クラブ・プレイでも積極的にかけていきたいナンバーです。TK-9「Going All The Way」(bpm90)もハイ・クオリティな一曲。ドラムのリズムの刻みとベースがライヴ感ビンビンです。イントロから顔がほころんじゃいました。初冬あたりの午後のカフェで西日を浴びながら、というシチュエーションが似合いそう。

ラストに収録されたTK-13「All The People (Boogie Back Remix)」bpm100はその名の通りTK-3のリミックス・ヴァージョン。
躍らせるという場面では使い辛かったオリジナルもこちらのテイクではバッチリ身体を揺さぶらせてくれます。トレンドとは無縁なこのアルバム、と言うか彼らもここは昨今のブギー・ブームに乗った形でしょうか。この曲もヘヴィ・プレイ候補ですね。曲の最後、演奏がスッと消えて二人のヴォーカルだけになってパッと終わるところは最高にスリリングで、かっこいいアルバムの終わり方です。

自主制作故なのか、ジャケット・デザインは低予算丸出しな作りになってますが、楽曲の内容は前5作と比べても、勝るとも劣らない充実作に仕上がっていると思います。

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DJ daddykay

Soul、R&B、Hip Hopの魅力にどっぷりとハマって以来約三十数年黒音を聴き、届けてきたヴェテランDJ。
そのDJスタイルはMaster Mixを基本としたオールドスクールライクなPLAYながらも、新譜の動向やトレンドのFLAVORにも敏感で、音楽への愛情とGROOVE感に満ちたPLAYにはファンも多い。

西麻布CHIC、横浜麦田Sugar Shack、西麻布SSB、調布Cobra Freak、千駄木GROOVE、横浜LUTHER、新宿NEO Masquerade、亀戸Charlie等
数 多くのSOUL BAR、CLUBでPLAYの経験を持ち、The Beats, Mo' Better Groove, New Jack Revengers, Buddy等のイヴェントでも活躍。MIX CDでも全国的に多くのファンを持つ、生粋のBLACK MUSIC LOVERである。