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フルリミックス音源から本邦初のアナログ・カッティング
1985年、「愛人」でヒットチャート連続10週第1位に輝いたテレサ・テンは、前年大ヒットした「つぐない」に続きこの年も日本有線大賞、全日本有線放送大賞の二冠を制覇し、念願であったNHK紅白歌合戦への初出場を果たします。このメモリアルな年に開催されたNHKホールでの公演は、実は、テレサにとっての生前最後のソロ公演でもありました。
今回のアナログ盤製作に使用した音源は、この貴重なテレサのラスト・コンサートでの歌声を最高の音質で後世に残そうと意を決した日本のポリドール制作陣が、1999年、当時考え得る最良の録音機材を使用してオリジナルのマルチチャンネル・マスターテープからフルリミックス、トラックダウン、そしてマスタリングまでのすべてを新規に行なったデジタル・マスターです。
既にNHKホール・コンサートのアナログレコードやCDは市販されていますが、新たにフルリミックスされた1999年デジタル・マスター音源からのアナログレコード化は本邦初となります。(このマスター音源のCD作品は、1999年ユニバーサル ミュージックからリリース済)
前篇(SSAR-052)と後編(SSAR-053)の2作からなる今回のアナログレコードでは、公演第一部のオープニング曲「空港」から「夜来香」までを公演当時の収録通り前篇にプレスしています。
一方、公演第2部を収録した後篇には、カッティング・タイムの制約上、英語歌唱4曲と「ミッドナイト・レクイエム」の計5曲を除く「つぐない」からアンコール曲「愛人」までをすべて公演の収録順にプレスしています。
テレサの語りかけや観客との対話もそのままに収録がなされており、テレサの魅力ある声質に触れられる良質な録音となっています。B面「リクエストコーナー」でテレサがヴォーカルだけで披露する4曲の中国語歌唱は必聴です。
このアナログレコード盤の製作に腕を奮ったのは、日本コロムビアの名匠、武沢茂カッティングエンジニアです。ノイマンのカッティングマシンVMS70とカッターヘッドSX74を使用してテレサの魅力ある声質を最大限聴取できる音溝が武沢エンジニアの手によりラッカー盤に深く刻み込まれました。
収録から三十有余年の時を経た今もなおテレサの存在を身近に引き寄せてくれるのがオーディオの喜びです。ご愛用のシステムで、楽曲に対する深い精解と繊細な心理表現を併せ持つひと握りの優れた歌い手のみが誘える境地をご聴取ください。
日本に舞い降りたアジアの歌姫のラスト・ステージです。
TERESA TENG / テレサ・テン(鄧麗君)