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レコード芸術特選
様々な音楽的実験が繰り広げられていた1910年代、革命前夜のロシア音楽に焦点をあてたアルバム。スクリャービン(1872-1915)後期の「終末」の精神世界。ルリエ(1892-1966)作品にみられる幾何学的要素。プロコフィエフ(1891-1953)の鮮烈なアイロニー。そして「音組織の新体系」へと突き進んでゆくロスラヴェッツ(1881-1944)。いっぽうで保守的な作風を保ちながらも「抒情の革新」を試みたメトネル(1880-1951)。
進境著しいロシアのピアニスト、メジューエワ独自のパースペテクティヴにより、この時代のロシア音楽の豊穣さが改めて浮き彫りにされます。なお、アルバム・タイトルはメトネルの著書名「ミューズと流行(ファッション)」(1935)に掛けたもの。超難曲として知られるメトネルのソナタ「夜の風」のライヴ録音も話題を呼びそうです。
<ライナーノートより>
「メジューエワは、かつてのアヴァンギャルドの音楽を、また、当時保守的と言われた音楽をも、等距離から読み解き、あくまで端正な音楽として現代に甦らせる。…一世紀近い時間を氷に閉ざされて生き延びてきた夢の欠片が、どこまでも透明な輝きを放っているばかりだ」 ~ 浅田 彰 (京都造形芸術大学大学院長)
「メジューエワのスクリャービン演奏は、まさに、そのようにして世界が溶けるさまを、あたかもクリスタルガラスに盛りつけるかのようにして明晰に構造化している。無機的なものと神秘的なものとのまれな融合――」~ 亀山郁夫 (ロシア文学者、東京外国語大学長)
【録音】
2012年5月 [スクリャービン&ルリエ]
2010年9月 [プロコフィエフ&ロスラヴェッツ] 以上、新川文化ホール(富山県魚津市)
2009年10月2日、HAKUJUホール(東京)におけるライヴ録音 [メトネル]
IRINA MEJOUEVA / イリーナ・メジューエワ
ロシア出身のピアニスト