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20世紀に入り受容が進んだ孤高の詩人の先鋭的詩業と
その語法に魅せられた作曲家たち
人生半ばにして統合失調症を患い、後半生を精神薄明のうちに過ごした詩人 フリードリヒ・ヘルダリーン(1770-1843)。 19世紀には取り上げられる機会の少なかった彼の詩に、ヒンデミット、ロイター、ブリテン、リゲティから現代を生きるリーム、ミュラー=ジーメンスまで 20世紀以降の多くの作曲家が触発され曲を付している。
優れたドイツ語のディクションと 作品の的確な解釈に定評のあるデュオが、リート黄金期には早すぎた思想と感性を描く。 (299 MUSIC)
【収録内容】
[1-3] ヘルマン・ロイター(1900-85):フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による3つの歌曲 Op.67 (1946/47) 沈む太陽 [1’51”]/夜 [5’42”]/人生行路 [2’26”]
[4] ヴォルフガング・フォルトナー(1907-87):《ヘルダリーンの言葉による4つの歌曲》 (1933)より「沈みゆくがよい、美しき太陽よ」 [2’49”]
[5] ハンス・プフィッツナー(1869-1949):《4つの歌曲》Op.29 (1921) より「許しを求め て」 [3’13”]
[6-11] ベンジャミン・ブリテン(1913-76):6つのヘルダリーン断章 Op.61 (1958) 世の喝采 [1’29”]/故郷 [2’18”]/ソクラテスとアルキビアデス [2’08”]/ 少年 [2’17”]/人生の半ば [2’10”]/人生の流れ [2’36”]
[12] ジェルジュ・リゲティ (1923-2006):夏(1989) [3’01”]
[13] ヴォルフガング・リーム(1952-):《歌曲集》Op.1(1968-70)より「人生の半ば」[2’12”]
[14-16] ヴォルフガング・リーム:ヘルダリーン詩による3つの歌曲(2004) 許しを求めて [3’24”]/人生の半ば [5’06”]/ツィンマーに [2’21”]
[17] ヴィクトール・ウルマン(1898-1944):《ヘルダリーン歌曲》(1943/44)より「夕べの幻 想」 [5’33”]
[18,19] パウル・ヒンデミット(1895-1963):《フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による6つの歌 曲》(1933/35)より 「断章」 [1’40”]/「夕べの幻想」 [4’06”]
[20] デートレフ・ミュラー=ジーメンス(1957-):《フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による2つの歌曲》(1999-2000)より「遠望」 [6’50”]
【演奏者】
長島剛子(ソプラノ)
梅本実(ピアノ)
録音:2018年1月29日、2月7日 Saitama Arts Theater
Total playing time 63’58”
DSD Recoriding
長島剛子(ソプラノ) Takeko Nagashima, soprano
札幌に生まれる。北星学園女子高等学校音楽科を経て、国立音楽大学声楽科卒業。同大学院修士課程独歌曲専攻修了。ドイツ・デットモルト北西音楽大学卒業。その後ケルン音楽大学マスタークラスにてリート解釈法の研鑽を積む。1998 年に「長島剛子・梅本実 リートデュオ」を結成し、声楽とピアノによる緊密なコラボレーションにより、19 世紀末から 20 世 紀のドイツ歌曲の演奏と紹介を軸に継続的な活動を続けている。2001 年にスタートした「世紀末から 20 世紀へ」のリサイ タルシリーズはこれまでに 15 回を数え、その間、知られざる作曲家を含め、のべ 37 人の近現代作曲家の作品を取り上げ たが、19 世紀末以降のドイツ歌曲を網羅するレパートリーの広さは他の追随を許さない。またシリーズごとにテーマを設 定し、様々な切り口でドイツ歌曲をプログラミングする独自の企画とその演奏水準の高さで毎回多くの反響を得ている。 1998 年「新ウィーン楽派」、2001 年「世紀末から 20 世紀へ」のリサイタルにより札幌市民芸術祭大賞。また 2003 年 1 月 には前年の「長島剛子・梅本実リートデュオ・リサイタル-世紀末から20 世紀へPart II(シェーンベルク:「架空庭園の書」 による 15 の歌曲他)」により平成 14 年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。これまで2枚の CD「架空庭園の書~新ウ ィーン楽派の歌曲を集めて~」(ALM RECORDS)、「光の中のベルリン~第三帝国で禁じられた歌曲」(299 MUSIC)をリリー ス。青木恵美子、伊藤京子、尾畑真知子、H.クレッチマー、白井光子、H.ヘルの各氏に師事。現在、国立音楽大学准教授。
梅本実(ピアノ) Minoru Umemoto, Klavier
長崎に生まれる。幼少の頃よりピアノを始め、福岡音楽学院で学ぶ。東京藝術大学附属音楽高等学校、東京藝術大学を経て、同大学院修士課程器楽科ピアノ専攻修了。末永博子、勝谷壽子、伊達純の各氏に師事。ドイツ・デットモルト北 西音楽大学卒業。さらに引き続きハンブルクにて研鑽を積む。R.F.クレッチマー、C.ハンゼンの各氏に師事。帰国後東京、 札幌、福岡各地でソロリサイタル開催。札幌交響楽団、九州交響楽団と共演。またドイツ歌曲の共演ピアニストとして各地 で幅広い活動を続けている。文部省在外研修員としてドイツ・カールスルーエ音楽大学において白井光子・H.ヘルのドイ ツ・リート解釈法クラスで学ぶ。作品内容の的確な把握に基づいて、響きを繊細にコントロールするピアニズムは長島との リートデュオに遺憾なく発揮されている。 札幌市民芸術祭大賞(1999 年、2002 年)、第 9 回道銀芸術文化奨励賞(2000 年)、第 29 回札幌文化奨励賞 (2001 年)、平成 14 年度文化庁芸術祭優秀賞(2003 年)受賞。北海道教育大学助教授等を経て、現在、国立音楽大学教授。
TAKEKO NAGASHIMA / 長島剛子
日本のソプラノ歌手