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内に外に烈しい音楽を紡ぐ、須田さんの演奏美学がストレートに伝わってくる。馥郁たる響きが舞う。聴こえてくるのではなく、舞うのだ。(奥田佳道)
音色のドラマ!
《須田祥子 ビオラは歌う 3・魔王 / ロメオとジュリエット》
★最も声に近いと言われるヴィオラの “歌う”楽器としての特色を生かした須田祥子の「ビオラは歌う」シリーズの3作目です。 1作目ではプッチーニとブラームス、2作目ではプッチーニに加えシューマンそして3作目では、いよいよ歌曲王シューベルトの登場。しかも世界的にも珍しいヴィオラ版「魔王」を収録しており、「魔王」に登場する4つのキャクターとドラマを、美しく多彩な音色と表現力を持つヴィオリスト須田祥子が見事に弾きわけています。今までエルンストなどヴァイオリン編曲版はありましたが、須田の演奏で聴くと、ドラマを表現する上でヴィオラがよりふさわしいと感じさせます。
★バレエの大定番プロコフィエフの「ロメオとジュリエト」は以前からコンサートでとりあげ、満を持してレコーディングに取り組んだだけあって、この作品でもまるでストーリーが見えてくるかのようなアプローチとこだわりが強く感じられます。
★英国の女流作曲家クラークのヴィオラ・ソナタは、作曲コンクールでブロッホとヒンデミットの作品より優れていたにもかかわらず、女性であったために優勝を取り下げられたという曰く付きの作品ですが、今やビオラの代表的な傑作として認知されるようになりました。同じ女流ヴィオリストでもあったクラークに共感した須田の深い思いがこの演奏から熱く伝わり、決定版ともいえる名演になっています。 日本の作品が2曲収録されています。「落葉松」は合唱の名曲であり「赤とんぼ」は童謡ですが、いずれも日本の情景と日本の心を表しており、後者はこのCDのために松本望が編曲しています。小品が含まれると「聴きやすい小品集」と軽く受けとられがちですが、このアルバムでは曲の大小を問わずこの楽器が持つ“音の本質”と“可能性”を模索し、小品の枠を超えたヴィオラの曲として真正面から向き合う骨太な演奏になっています。 3度のレコーディングを経てさらに深く熟成した、須田祥子の今をお聴きください。
★ヒンデミットが実際に使っていたヴィオラと弓を使用しています。 (資料提供:ユニバーサルミュージックIMS)
【収録内容】
サードアルバム ビオラは歌う3
[1] シューベルト:魔王
[2]シューベルト:君こそは憩い
[3]プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」抜粋
[4]小林秀雄:落葉松
[5]クラーク:ヴィオラ・ソナタ
[6]山田耕筰:赤とんぼ
【演奏者】
須田祥子 (ヴィオラ)
松本 望 (ピアノ)
録音: 2018年3月20-23日 神奈川県立相模湖交流センター
SACHIKO SUDA / 須田祥子
日本のヴィオラ奏者 東京フィルハーモニー交響楽団員