ルイス・カウフマン / ルドルフ・フィルクスニ 他、チャイコフスキー、スメタナ:ピアノ三重奏曲集 【CD】

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2026.03.06

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ルイス・カウフマンの貴重な室内楽録音
感傷に溺れないチャイコフスキー、名手フィルクスニーを迎えたスメタナ

ラジオで放送された演奏を耳にした映画監督の懇願により『風と共に去りぬ』『嵐が丘』『カサブランカ』『サウンド・オブ・ミュージック』などのサウンドトラックに参加したカウフマン。参加したサントラは400とも500とも言われます。クラシック音楽の分野では、当時あまり知られていなかったバロック音楽に取り組み、1940年代末から50年代前半にかけてヴィヴァルディの作品8と9の計24曲をすべて録音(1949年リリースの「四季」はフランスACCディスク大賞を受賞。2002年にはグラミー賞の殿堂入り)。並行して同時代作品も次々と録音しました。
このCDに収録されたチャイコフスキーとスメタナは、ウェブサイトDiscogsによれば、最初の発売以降、再発売や復刻歴が無く、貴重なCD化です。ハラルド・エッゲブレヒトの『ヴァイオリンの巨匠たち』日本版(アルファベータ)で「熱っぽく神経のこまかい音質をもつ」と評される通り、ここでの演奏は両曲とも毅然としつつ熱気を伝えるもの。チャイコフスキーの演奏時間は第1楽章が約16分、第2楽章が約22分で、今日の平均的な演奏時間からすると驚愕の速さです。この曲のテンポ指定はモデラート・アッサイやアレグロ・モデラートが多く、アンダンテなど遅めの指定は決して多くありません。カウフマンたちは「モデラート」を今日よりも速めのテンポ感で解釈しているものと想像されます。その演奏には悲しみにうちひしがれている雰囲気はほとんどなく、悲壮感が熱気と格調高い造形を伴って描かれています。ライヴのノリのような、聴き手を惹き込むような勢いがありますが、速さ一辺倒ではなくアンダンテを指定された箇所のしっとりした歌い方が美しいコントラストを作っています。この曲を愛する人にはぜひ聞いて頂きたい演奏です。
チェロのレーハーはハンブルク生まれで、アメリカに移住しロス・フィル首席を務めました。メータ指揮の英雄の生涯、ハリウッド弦楽四重奏団とのシューベルト:弦楽五重奏曲などの録音があります。ピアノのサイデンバーグはアメリカのボルティモア生まれ。室内楽の達人として知られ、ハイフェッツやモリーニと共演。1932年にはジンバリストと共に訪日しています。
スメタナ作品は緩徐楽章の無い3楽章構成で、チャイコフスキーと同様に熱気と格調の高さを併せ持つ聴きごたえのある演奏を披露しています。ルドルフ・フィルクスニーはチェコのブルノに生まれ、後にアメリカに移住したピアニスト。ヤナーチェクから直接薫陶を受け、チェコ音楽解釈の第一人者でしたが、室内楽の演奏家としても傑出した評価を得ていました。チェロのファン・デン・バーグはオランダのハーグ生まれ。アメリカに渡り、サンフランシスコ交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ロサンゼルス・フィルの首席奏者を務めました。

【収録内容】
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調「偉大な芸術家の思い出に」 Op. 50
録音: 1947年 / 原盤: American Vox VLP 6530

スメタナ:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op. 15
録音: 1948年 / 原盤: American Vox 669/671 (set 628)

【演奏者】
ルイス・カウフマン(ヴァイオリン)

カート・レーハー(チェロ)・・・チャイコフスキー
セオドア・サイデンバーグ(ピアノ)・・・チャイコフスキー

ウィレム・ファン・デン・バーグ(チェロ)・・・スメタナ
ルドルフ・フィルクスニー(ピアノ)・・・スメタナ

復刻プロデューサー:Eric Wen
復刻エンジニア:David Hermann
デジタル・マスタリング:Dennis Patterson

 


[ルイス・カウフマン]

 


[ルドルフ・フィルクスニー]