第53回グラミー賞 Best Jazz Vocal Album 受賞作品 2010年2月度スタッフ推薦盤!! 全身金塗りのジャケットで、ビリー・ホリディーへのトリビュートと言うタイトルからして、なんだか暗くて前衛的な予感がしましたが、いい意味で裏切られました!冒頭からピアノとクリスチャン・マクブライドのベースが刻みだすアフロビートとジェイムス・カーターの咆哮するサックスに導かれ、全身から生のエネルギーが溢れ出るような力強い歌声にいきなり引き込まれます。真っ黒くスイングしたかと思えば、裏声を駆使した強烈スキャットまで繰り出す「レディ・シングス・ザ・ブルース」!こんなの聴いた事がありません。全体的にとにかく明るくスイングしまくる印象が強く、さりげなく可憐さや茶目っ気まで感じさせる自由自在な歌にとにかく圧倒されてしまいます。バラードでも歌の持つ物語を克明に映し出す貫禄の歌を聴かせてくれます。 さらに、ラストに控える「奇妙な果実」は超越的です。カーター(彼にもビリー・ホリデイ追悼作あり)のおどろおどろしいバスクラとクリスチャン・マクブライドのアルコがうごめく中を、地の底に響くような歌声が響き、やがてそれは身を削るような叫びに変わっていきます。「奇妙な果実」は形を変え、今もなお存在している。そう訴えかけるかのような凄まじさには全身鳥肌になってしまいます。最近骨っぽいボーカルを聴いていないなあ、とお嘆きの方に強烈に推薦したい作品です! (新宿ジャズ館 中森)
Dee Dee Bridgewater(vo) Edsel Gomez(p,arr) James Carter(reeds) Christian McBride(b) Lewis Nash(ds)
