そんな前フリがあったりすると「一体どんな嵐がこの中に吹き荒れているのか!?」とあらぬ妄想を引き起こしちゃいそうですが、今作はそんな即席の予想を簡単に裏切ってしまうトロリとした良質なナンバーが並び、詩情感溢れるマッタリとした風味になっております。前作の『REMEDY』はMARK TURNER(ts),AARON PARKS(p),JOE MARTIN(b),ERIC HARLAND(ds),を要した重厚かつ迫力あるサウンドを展開していたのに対し、今作はモダンジャズのリスナーを大切にした伝統的なタッチをベースにしていますので、「最近のJAZZはどうもイマイチなぁ…、やっぱりJO PASS や KENNY BARRELL のスタイルの方が好きだな」派の人にも、いやむしろそういうリスナーにこそ是非聴いていただきたい充実した内容になっております。聴いていただければ、まるで温かいデミグラスソースを口にした瞬間のような懐かしさと新鮮さに前身が満たされてゆくこと受け合い。個人的にはTr.2 YOU GO TO MY HEAD 、それからTr.5 ASK ME NOW (MONK)がおすすめです。06年のギタートリオ作"EAST COAST LOVE AFFAIR"でのTr.4 PANNONICAに続き、こちらも決して欠かすことのできないTHELONIOUS MONKの最上質チューンです。時代の最先端を突っ走るギタリストKURT ROSENWINKELが贈るJAZZへの愛に溢れたこれらのナンバーに思わずグッ!と来てしまいました。もう、おすすめする以外に考えられないですね。