「神の左手、無意識の右手/ポール・マッカートニーの作り方 No.23」 宮崎貴士

  • DIW PRODUCTS GROUP
  • ニュース

2020.09.09

  • LINE

  • メール


 

【第4章: 流れよ和音、とメロディは言った/マッカートニーとマンシーニ Vol.2】


さて前回の続き、『ヒア・ゼア・アンド・エブリウエア』でございます。

https://youtu.be/awB0_Wpvke4


いかがでしょうか? オリジナルKey《G》のところを『ムーン・リバー』と『イエスタデイ』と同調《F》であえて弾いております。ポイントはコードの流れ《F-Em7-A7》、『ヒア・ゼア~』の中でも印象に残る流れで繰り返し使っています。


そして、重要な話として「“コードとメロディの関係” ― その組み合わせのどこに惹かれるのか? 」… 結論として書けば、その感覚は人それぞれです。この連載ではポール・マッカートニーのなかにあると思われる音楽的指針、快楽を解析してゆくことを目的にしており、あえてポールに寄せて書いてはおりますが、取り上げる和音進行などに良さを見出せない、聴き出せないとしても、それをネガティブな印象として評する話ではございません。


「音楽のどこに快楽を感じるのか? 」… 人によってはそれがリズムだったり、ギターの歪み方だったり、そんな〝個別の快楽〟を各自が追及する意識、そのこだわりこそが個性であり、オリジナリティだと思います。そのオリジナリティこそが創作にとって最も重要なポイントだと理解しています。


https://youtu.be/q9jjSIDCu9E


マンシーニから聴こえる和音に影響されている(と、推論出来る)ポールの2曲。雰囲気だけが似ている、と漠然とした印象を持っていた人も多いと思いますが、そこには共通する音楽的な流れ、『ムーン・リバー』が持っている和音の快楽から繋がる〝マッカートニー流〟が感じられるかと思います。いかがでしょうか?


そして最後に、思いがけない映像を。

『Here, There And Everywhere live Berlin Waldbuhne 14.06.16』

https://youtu.be/gBICySUmfP0


ポールといえば、70歳をすぎた後もコンサートで自曲をオリジナルKeyで歌う姿勢が評価されています。(年齢とともにやや厳しい局面もございますが)アレンジ含めて、オリジナル音源を忠実に再現するライブでのポール。そのポールがこの演奏では珍しく、いや、他に例がないとすら思うのですが、アレンジも担当楽器も変え、そしてKeyも下げて演奏しています。このテキストを書いた後に調(key)を確認しました。『ムーン・リバー』と同じ《F》に下げていますね、興味深いです。
 

[宮崎貴士]1965年、東京生まれ。 作、編曲家。ソロ名義で2枚(Out One Discより)、2つのバンド「図書館」「グレンスミス」(ともにdiskunion/MY BEST!RECORDSより)で共にアルバム2枚リリース。 他、岸野雄一氏のバンド「ワッツタワーズ」にも在籍中。 2015年、第19回文化庁メディア芸術祭エンターティメント部門大賞受賞作(岸野雄一氏)「正しい数の数え方」作曲。曲提供、編曲、など多数。ライター活動としては「レコード・コレクターズ」(ミュージック・マガジン社)を中心に執筆。2017年6月号のレコード・コレクターズ「サージェント・ペパーズ~特集号」アルバム全曲解説。同誌2018年12月号「ホワイト・アルバム特集号」エンジニアに聞くホワイト・アルバム録音事情、取材、執筆、他。 
"Paul and Stella"  Illustrated Miyazaki Takashi
  • 前の記事へ

    「神の左手、無意識の右手/ポール・マッカートニーの作り方 No.24」 宮崎貴士

    DIW PRODUCTS GROUP

    2020.09.16

  • 一覧へ戻る

  • 次の記事へ

    Keishi Tanaka、4月15日にデジタルリリースしたKan Sano との共作「The Smoke Is You」を7インチにてリリース!

    DIW PRODUCTS GROUP

    2020.09.04

  • 一覧へ戻る

最新ニュース