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カラヤンはオーストリア出身ですが、同郷の作曲家ブルックナーの作品を網羅的に取り上げていた訳ではありません。交響曲全集録音を遺してはおりますが、初期作品、第6番は実演では取上げていないと推測されております。それだけ作品ごとに愛着や理解の濃淡があったと見るのが当然です。当ライヴセットに収録の3曲はカラヤンがことあるごとに愛奏した十八番レパートリーです。
★交響曲第5番
ウィーン響時代の充実を伝える白熱ライヴ。この演奏会の次のウィーン響演奏会が伝説の「カルメン」演奏会形式上演です(MR2437-38)。フルトヴェングラーを意識し、挑発する格好で次々と意欲的なプログラムを世に問うていた時代。ブルックナーの第5番は、この時代ではやはり凝った選曲とカウントされます。後年の演奏を先取りしたような重厚でじっくりと遅めな歩み、壮麗な金管の咆哮。改訂版ではなく原典版で演奏していることも着目されます。この年の11月にフルトヴェングラーが亡くなり、カラヤンはベルリン・フィルの芸術監督として名実ともに世界楽壇の帝王に登り詰めます。
★交響曲第7番
ウィーン・フィルを率いてのソ連、ヨーロッパツアーの最終を飾るロンドン・ライヴ。モスクワを皮切りに僅か2週間ほどで10公演以上をこなしてしまうタフネスぶり。壮年期のカラヤンの面目躍如です。オーケストラ、指揮者ともに疲れは全く感じられず、第1楽章は流麗で快速、緩徐楽章は情緒纏綿にねっとりと歌い上げるカラヤン美学の象徴とも言える名演奏。後半2楽章は音楽的内容が前半に比べて落ちると指摘されることもありますが、カラヤン的スポーティな演奏だと爽やかな風が通り過ぎるかのような心地良さがあります。
★交響曲第8番
オランダ音楽祭にベルリン・フィルを率いて参加した公演。世界の名ホールとして知られるコンセルトヘボウの素晴しい音響、これをステレオ・ライヴで楽しめるのですからたまりません。この年の春カラヤンはベルリンフィルと大規模な日本公演を成功裏に終えてヨーロッパに帰還。極めてシリアスで、荘厳な演奏です。一部には顔を顰める人もいるカラヤン流レガート奏法も抑え気味でリズムを明確に強調した実直とも言える表現。フィナーレのカタルシスは正にこの世の終わりを感じさせるほどの圧倒的な存在感を誇ります。 (輸入元情報)
【収録内容】
ブルックナー:
交響曲第5番(ウィーン交響楽団、1954年10月2日ライヴ) MONO
交響曲第7番(ウィーン・フィル、1962年4月6日ロンドン・ライヴ) MONO
交響曲第8番(ベルリン・フィル、1966年6月16日アムステルダム・ライヴ、オランダ音楽祭ステレオ)
【演奏者】
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
HERBERT VON KARAJAN / ヘルベルト・フォン・カラヤン
オーストリア出身の指揮者 (1908-1989)