<ジャズ・オーディオファイル 紹介> -2021年5月-

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2021.05.27

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PABLO JUAREZ / パブロ・フアーレス / ENCUENTROS

PABLO JUAREZ / ENCUENTROS
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008275582

アルゼンチン出身でフォルクローレのリズムを取り入れたスタイルを得意にしてきたパブロが、いよいよ本格的にコンテンポラリー・ジャズへと向かいつつあることを示した作品。そのためにはトリオ編成はやはりかかせないのか。。とはいえ、尾山台Flussで演奏していたビートルズのカヴァー「Eleanor Rigby」も収録されています。美しいパブロの旋律が、現代ジャズを想わせるサウンドで響く。凝縮感のあるずっしりとした音像、ピアニズムがジャズというフォーマットで堪能できる新機軸の1枚!(ジャズ部門 生島)


GREG SKAFF / Polaris

GREG SKAFF / Polaris
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008263600

スタンリー・タレンタインとの共演、ルース・ブラウン、ボビー・ワトソンのバック他で活躍、主にマイク・ルドーンやパット・ビアンキとのオルガン・トリオのギタリストとして作品などを残している実力派ギタリスト、グレッグ・スカフの最新作。冒頭から、一気にギタートリオのアンサンブルを強固に走らせる。すぐにギターソロからドラムスへソロ回しが始まるオーソドックスな展開だが、まるでライブの最前列で音を浴びているような迫力のサウンドが積みあがっていく。この一体感溢れる演奏とサウンドの迫力が久々に高揚させてくれるCDを見つけた喜びに満ちている。(ジャズ部門 生島)



LONNIE SMITH(DR. LONNIE SMITH) / ロニー・スミス(ドクター・ロニー・スミス) / Breathe

LONNIE SMITH / Breathe
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008267188

ハモンド B-3 オルガンのレジェンド、ドクター・ロニー・スミスのブルーノート復帰第3作目。創造の場所はスタジオではなく、ステージにあると言い切るロニースミス御代の、2017年にNYのマンハッタンにある有名ジャズ・クラブ、ジャズ・スタンダードで行ったライヴから6曲を収録。同ライヴからは2018年の気鋭アルバム『All In My Mind』がリリースされているが、本作には彼がどうしても作品として残したいと切望する楽曲を収録。
今やサンプリング音源でしか聴かれなくなってきた本物のハモンドB3の響きが見事に収められている迫力満点の作品だ。B-3の生音に触れたことがある人なら、地を這うような中低位域の太さを実感できるに違いない。ミッドバスから最低域までシームレスにつながる本物のマルチウェイだけが再生できるサウンドと、60年代のグルーヴを思わせる元祖ソウル・ジャズの時代の匂いがする熱い1枚だ。(ジャズ部門 生島昇)



ETHAN IVERSON / イーサン・アイヴァーソン / Bud Powell In The 21st Century

イーサン・アイヴァーソン / Bud Powell In The 21st Century
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008249093

現代屈指のピアニスト、イーサン・アイヴァーソンがラージ・アンサンブルで描くバド・パウエル・トリビュート作品。
Blue Noteの録音を完全収録したMosaicボックス、またVerveのセッションなどから、バド・パウエル(ゆかり)の楽曲を選曲して、アレンジ、演奏するとともに、パウエルのソロ・フレーズなどからインスパイアされた形跡もあちらこちらに見られる。ビッグバンドスタイルだが、往年のオリバー・ネルソンやギル・エヴァンスを思わせる洗練のサウンドは、コンセプトを埋没させることなく細部まで聴かせどころを保っている。バンドのサイズ感やサスティン感にも優れ、音に身を任せて楽しめるサウンドだ。(ジャズ部門 生島昇)



藤掛正隆 / 録音芸術のリズム&グルーヴ

藤掛正隆 / 録音芸術のリズム&グルーヴ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/DUBK296

表紙のルディ・ヴァン・ゲルダースタジオをはじめとして、多くの名録音が生まれた背景にドラムサウンドの進化を主題にして解説していく本書は、レコードとオーディオに夢中な人なら面白くてあっという間に読めてしまうだろう。アビーロード・スタジオやオリンピック・スタジオにも言及されていて、誰もが知るポピュラーな名盤に収まるサウンドエンジニアリングの秘密を聞き分けるポイントをわかりやすく提示してくれる。また、往年の名スタジオとエンジニアのサウンドが現代に繋がっていく過程にも触れることができる力作だ。(ジャズ部門 生島昇)