FAVORITE DISC+1 2008 その5

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  • 2008.12.04

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    ★WILTON "BOGEY" GAYNAIR / AFRICA CALLING
    (+1:JOE HARRIOTT / LIVE AT HARRY'S 1963)
    7月に大阪レコードCDまつりに参加。会場で様々織りまぜDJをしたところこの業界の大先輩に「渋谷系やね」といわれ、次の渋谷レコードCDまつりで回すのは絶対ジャズだけにしようと心に決めた今年の夏であった。 Wilton ‘Bogey’ Gaynairは未発表録音で一部の方々の心をときめかせたにちがいない。うっかり品切れにしたら「だめじゃない大塚さんとこがそれじゃ」と言われてしまった。Tempoから出される予定だったのか、オリジナルテープは紛失、奇跡的に残っていたアセテートから起こしたとのことで音質はいまひとつだが、ノリのよさとブロウはテナーファンにはたまらない。Terry Shannonのピアノがまたいい。(4)のハードバップですべてが吹き飛ぶ。 Joe Harriottもまた未発表。さらに輪をかけて音質は良くない。しかしこれも「チュニジアの夜」で爆発するジャズ魂に心揺さぶられる。 というわけでUKジャズはやっぱりすごかった、という2枚ですが、どうも音質が・・・という方はお耳直しにHerbie Stewardの"One Morning in May"をぜひ。録音はもちろん、最高のテナーが堪能できます。(渋谷ジャズ/レアグルーヴ館:大塚 康之)
     
    ★RUSS LOSSING / LINE UP (+1:ORNETTE COLEMAN / LIVE IN PARIS 1971)
    ★FRESH SOUND NEW TALLENT、OMNITONE、CLEANFEED、そして当作を含め3枚のリーダー作を吹き込んでいるHAT HUTなど、これまでの彼の作品の発売レーベルからも察せられるように、フリージャズおよび現代NY先鋭ジャズのカラーをソリッドに体現し、一部から熱烈な支持を集めるピアニストLOSSING。ここ数年で2枚発表したPAUL MOTIANを擁したピアノトリオ作でその名をご記憶の方もいらっしゃるだろう。そして、晩年のANDREW HILLの音楽のビートを創造性と骨太さで支え続けたベーシスト、HEBERT。二人の中堅による稀に見る濃密なこのデュオ作は、なにか既に古典的雰囲気をも携えた美しさを放つ。★オーネットファンには長年CD化が待ち望まれていた71年パリでのライヴ音源。この2ヶ月前に録音された「サイエンス・フィクション」時よりも、たっぷり長尺のこの時期のオーネットのソロが聴けるというところが最大の魅力。オーネットやはり素晴らしいです。(渋谷ジャズ/レアグルーヴ館:後藤 敏章)
     
    ★KIRK LIGHTSEY / ESTATE (+1:IGOR PROCHAZKA / EASY ROUTE)
    モノクロームのジャケットから強烈なシンパシーを感じ、思わず手を伸ばす。約2分に及ぶピアノによる序奏で、底知れぬ世界へと導かれる。「三位一体」を見事に具現化した音の襲来に、ただこの身を委ねればよい。胸に秘めたニヤけた感情は払拭され、背筋は伸び凛とした表情に変わる。何だか自分が揺るぎない信念を持った男にでもなったような錯覚に陥る。ここには武骨に振舞う男が稀に見せる優しさにも似た美しさが潜んでおり、全篇聴き終えたその時、男性特有の果てた後の満足感と喪失感に苛まれ、これ以上ないくらい理性的な自分と向き合うことを突きつけられる。雄々しさと儚さ、それに美しさをも兼ね備えた得もいわれぬ感覚・・。未来永劫のアンセムの出現。「人は見かけで判断しない」と諭されたものだが、どうやらCDは見かけ(ジャケット)で判断しても良いようだ。「セアト850」という名の往年の大衆車をあしらった完璧なディティールに魅せられし心・・。内容は言わずもがな。「FCバルセロナ」「IGNASI TERRAZA」に次ぐ(私的)スペインの至宝の登場!(国立駅前店:駒木野 稔)
     
    ★FRANCO CERRI / FROM CATHETUS TO CICERO (+1:FRANCO CERRI / AND HIS EUROPEAN JAZZ STARS)
    名前は知っていても、実は聴いたことがないというものは多い。フランコ・チェリはその最たる人物だ。作品は沢山あるけど、CDが出ていなかったりする。音楽活動は、60年に及ぶ。残念だ。今年4月に、フランコ・チェリのCOLUMBIA復刻の件で2人の人物と会った。まずM氏と会い、そして「METTI UNA SERA CERRI」を貰った。73年の復刻CD。感激しっ放しで激しく愛聴盤。また一人は、ニースに住むCさんで、はるばる宿泊先のミラノまで来てくれた。その彼からは今回のこのCDを教えてもらった。こちらは、74年の復刻盤。曲が良いし、ギターが軽めで気持ちよいし、NANDO DE LUCAのピアノが随所ですばらしいソロを披露しているし。個人的に、今年自宅系で鑑賞した時間が最も長いCD。気軽に楽しめる、というのがこれのイイところで、トレイに乗っかる回数も多くなる訳。(1)、(4)、(6)なんて忘れなれない名曲、これは個人の感想。そして12月5日発売の幻の名盤がLPで復刻、お見逃し無く。(営業部:山本 隆)
     
    ★妹尾美里 / ROSEBUD (+1:TRIO OF BAMBOO / INFIX)
    心から感動させてくれる音楽なんて、そうそう出会えるもんじゃない。聴いているうちに、そっと涙腺を刺激してくれる、そういう音楽に出会えた時は、まるで浄化されていくようにすぅっと軽く、穏やかな気持ちになる。ずっとずっと聴いていたい、この世界に浸っていたい、とそう思う。 国内ジャズ・シーンに燦然と舞い降りた妹尾 美里が綴る10篇の物語「ROSEBUD」。まさにそんな衝撃と感動を与えてくれた類稀なる傑作だ。繊細なタッチは時に情熱的に、そして優雅に。美しくて可憐な凛としたメロディがどこまでもロマンティックに、そしてドラマティックに発展していく。女性らしくもあり、また少女のようなピュアな感性によって積み上げられていくコンポジション。才色兼備のメロディーメーカーが放つ珠玉のオリジナルの数々は、まるで爽やかな恋愛小説の読後感のように穏やかで心地のよい陶酔感へと誘ってくれる。こんな素敵な音楽に出会えたことに感謝である。(営業部:真鍋 悟)