FAVORITE DISC+1 2008 その4

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  • 2008.12.04

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    ★JAVIER GIROT / SEA INSIDE (+1:BILL CARROTHERS / HOME ROW)
    恒例の年末企画、BEST○○。文章を書くことが嫌いでない私も毎年悩まされる。理由としては「好きなもの、紹介したいものが多すぎ」も確かなのだが、決定的な理由は「時期」だろう。皆様の手元に届くのは12月に入ってからだが、アイテム決めは10月なのである。もっといいものが出てくるんじゃないか、いやこれ以上はもうないだろう・・。こんな煩悶の中で過ごす時期は悩み多きものである。そしてギリギリで飛び込んできたのがこの2枚である。まずは世界中のジャズの宝物を集めて、一聴で惚れ込ませてくれた「SEA INSIDE」。叙情、情熱、最先端のグルーヴが文字にすればありがちな、でも今まで見たことのない地平を描いている。しかしこの作品、オーダーした記憶もなく、初回の入荷も見過ごしていて散々店頭を探したものである。酷い扱いから一転、今年ナンバーワン。全く何があるか分からないものだ。掴み所のないピアニスト、と思っていたB・キャロザースがこんなにストレートに現れたのも私にとっては嬉しい驚きである。うん、これぞ混迷極めた2008年のFAVORITE+1!!(吉祥寺ジャズ館:水野 悠)
     
    ★DAG ARNESEN / NORWEGIAN SONG 2 (+1:SAL MOSCA / YOU GO TO MY HEAD)
    北欧の旗手DAG ARNESENによるノルウェー曲集の第二弾。今年のベスト1は、やはりこれでしょう。前作に引き続きマイナスイオン全開のアンサンブルで、一瞬にしてノルウェーの森に直行。80年代からリーダー作をリリースしているピアニストが辿り着いた、原点回帰の境地。ひんやりとしたノルウェーの空気を、音楽と一緒に包み込んだ様な感覚が新しく、身も心も洗われるような素朴で透明感溢れる作品。名手TERJE GEWELTの演奏面とリリース面でのサポートが光り、今作も欧州JAZZファンの記憶に残る一枚になりそうな予感。そして今年の「裏」ベスト1は、老練のピアニストSAL MOSCA。昨年、惜しくもこの世を去ったクールジャズの伝道者。鬼才トリスターノの高弟で、歴史の陰に埋もれたスタイルを引き継いだピアニスト。没後リリースになる今作は、クールジャズのスタイルを守りながらも、ウォームでチャーミングなプレイがジワジワと滲み出る。師の孤高のピアニズムとは一線を画す、ハートフルな作品。(吉祥寺ジャズ館:関島 種彦)
     
    ★STREFAN RUSCONI / STOP & GO (+1:ISLAND SCENERIES / TROJA)
    (表BEST)誰よりも「STELLA」という曲を聴いているかもしれません。店頭でお客様がケニードー ハムの「蓮の花」を頭からアドリブまで気持ちよさそうに口ずさんでいたのと同じように、口ずさめるか もしれません。「OLD MAN TELLIN’ A STORY」も素晴らしい。ここには繰り返しの美学が存在 します。この2曲繰り返し聴いています。FAVORITEなんだから全体的によくなければと思われそうですが、この2曲で十分、そのぐらいの2曲です。
    (裏BEST)2曲目、何かが始まるそう感じた瞬間あのかっこいい テーマが流れ思わず店頭で「すげえー」と叫びそうになった。3曲目、静寂が辺りをつつむ、そこに美しい ピアノのメロディーが、ここにも繰り返しの美学が存在します。そしてラストの曲、混沌の世界の中に一筋 の光が射す。驚くほどに暖かい1曲だ。最後の最後テーマが終わった後、ピアノのソロが入る。これもうれしいサプライズ。(吉祥寺ジャズ館:濱中 顕)
     
    ★WILTON "BOGEY" GAYNAIR / AFRICAN CALLING (+1:JIMMY DEUCHAR / PAL JIMMY)
    やはり、英国ジャズはハイ・レベルだった!そんな承知の事実を再確認したのは、英TEMPOの"Blue Bogey"【TAP25】が幻の名盤として名高いウィルトン・ゲイナーの未発表集を聴いた瞬間。ジャマイカ出身のウィルトン・ゲイナーは、同じく英TEMPO、後にBLUE NOTEにも作品を残すディジー・リースの同窓だとか。ところでこの未発表集、"Blue Bogey"の翌年1960年録音ということで、早速期待を胸に参加メンバーを確認。ピアノとドラムは"Blue Bogey"と同じくTERRY SHANNONとBILL EYDEN、そして英国ジャズの重要トランペッターSHAKE KEANEも数曲で参加している。でもやはりウィルトン・ゲイナーのテナーはいいですねぇ。バリバリ鳴らしながらも温か味のある音色で本当に味わい深い。熱さの中にもその歌心に酔いしれる。そんなダンディズムも感じるウィルトン・ゲイナーのハードバップ超貴重音源。ひとつだけワガママ聞いてくれるならこれのアナログ・リリース熱望!(E.P.の"Blue Bogey vol.1"【EXA103】)も収録で。(横浜関内店:川村 健)
     
    ★BILLIE HARRIS / I WANT SOME WATER (+1:MARMADUKE / CONFICTION)
    スピリチュアル・ジャズといえばTRIBE、STRATA EAST、BLACK JAZZ などがよく挙がりますが、このNimbusもスピリチュアル ジャズでは外せない重要なレーベルのひとつといえるでしょう。この作品は、ホレス・タプスコット(p)率いるパン・アフリカン・ピープルズ・アーケストラにも在籍していたマルチリード奏者、ビリー・ハリスが81年にリリースした唯一のリーダー作です。とはいえ一番存在感を出してるのはホレス・タプスコットでしょう。なんていったってソロピアノで一曲やっちゃってますからね。ハイライトは、16分にも及ぶ超大作の⑤。本人は勿論、ホレス・タプスコット、女性フルート奏者で同じNimbusからも名作を残している盟友アデル・セバスチャンが参加。近年のスピリチュアル・ジャズと呼ばれる作品の中では、クラブ・ジャズシーンから見たスピリチュアル・ジャズ的解釈もできる内容ですので、クラブ・ジャズファンは勿論、他にも良い音無いかなぁなんて探してる方には満足していただける内容だと思います。(横浜関内店:横山 尚吾)
     

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