FAVORITE DISC+1 2008 その2

  • JAZZ
  • 新着ニュース
  • 2008.12.04

    • LINE

    • メール
    ※各商品の詳細をご覧になるにはそれぞれのジャケット画像をクリックしてください。
    ★JEF GILSON / AVEC LLOYD MILLER & HAL SINGER
    (+1:RACHEL GOULD/CHET BAKER / ALL BLUES)
    「BEST」はJEF GILSONが関わった2つのレアアルバムからの音源。A面でタッグを組むのはLLOYD MILLER。民族音楽、オリエンタルなメロディ-とモ-ドジャズを融合させたサウンドでACCORDIONに似た音色の楽器を使用。これが最高。B面はHAL SINGER。レアグル-ブの名盤「SOUL OF AFRICA」からの曲も収録。オリジナルは超人気盤なので10インチで聴けるだけでも嬉しい。「+1」は、チェット・ベイカーがオランダ人女性歌手レイチェル・グールドと吹き込んだ人気盤。彼女の冷たい声が最高。モーダルな雰囲気のM・Davis「ALL BLUES」、スキャットが良いMonkの「STRAIGHT NO CHASER」、コール・ポーターの名曲「I'VE GOT YOU UNDER MYSKIN」、ギターがクールなボサナンバー「PHIL'S BOSSA」等。クールで、美しく、繊細な演奏を聴かせてくれる好アルバム。(お茶の水ジャズ館:伊原 直樹)
     
    ★CHARLIE HADEN / RAMBLING BOY (+1:RICHARD GALLIANO / LOVE DAY)
    家族と友人達、身近な人々との心の絆。暗雲の立ち込める世の中にあって、唯一信じられる確かなもの。それはお互いに呼応しあい、さらに大きく広がっていく。そんな情景がこの作品の全編に満ちている。まずは愛娘ペトラ・ヘイデンの歌うM9を聴いていただきたい。透き通った歌声にドブロやピアノがあたたかく響きあい、実に豊かに広がっていく様は本作品を象徴する。唯一のインスト曲M14は今回の功労者パット・メセニーの曲で、ハリケーン・カトリーナの被害者へ捧げる慈しみの心に満ちた美しい鎮魂歌が心を打つ。全編でほとんどベースの音は聴こえてこないが、ヘイデンの心がいっぱいに満ちているのを感じる。 「もっとヘイデンのベースが聴きたい!」という方には、リーシャル・ガリアーノの新譜をお薦めしたい。ヘイデンといくつもの名作を生み出しているゴンサロ・ルバルカバも参加。心のこもりきった美しいピアノに導かれ、アコーディオンの柔らかで繊細な音色、素朴であたたかなベースが絡み合う冒頭の曲は、一生の宝物になる予感がする。(新宿ジャズ館:中森 禎道)
     
    ★REBECCA MARTIN / THEGROWING SEASON (+1:BRAD MEHLDAU / LIVE)
    音響と旋律の狭間、その確信性。 ラリーは理性の証としてメロディを奏で信念を相対化させている。それ が現実との遊離をもたらすならなおさらである。音にメロディの還元が 必要であることは我々が日々耳にする音楽の現実に忠実であれば自ずと 見えてくることである。日常の音楽のなかに様々の音列は存在し、それ にはおそらくさまざまな理念の衣が混ざり込んでいるが、それらを丁寧 に理解することで我々は地盤としてのメロディがいかなるものかを聴く ことができるだろう。音楽の原点であるメロディの自発性の概念は、単 なる音の旋律であるだけのものではなく常に音響をも乗り越えて本物の 音楽へと向かわす存在となる。理念の衣を紡ぎ出すことそれは自己の衝 動であり、メロディを奏でられることはその衝動の表現である。それが 音楽の全体であると同時に地平であるという多義性を免れ得ないという こともその衝動の完結への理由を示唆しているのだろう。そういう意味 でラリーの演奏はこれを彼の音楽の中にしっかりと植え付けているので ある。そして、それを聴くわれわれもまた共有するそのメロディの文法 にしたがうことにより彼の主張を生き生きと時間と空間を超えて理解で きるであろう。(新宿ジャズ館:四浦 研治)
     
    ★エリザベス・シェパード / パークデイル (+1:ESPERANZA SPALDING / ESPERANZA)
    レア盤再発、注目新人デビューなど今年もジャズボーカルは話題作が多い一年でした。プリシラ・アーン、エリン・ボーデのようなポップスジャズというジャンルも確立され、オーソドックスなジャズを追求するakikoの新譜も良かった。新譜に追われてあれよあれよと一年が過ぎてしまいましたが、その中でも印象に残ったのはこの二人。弾き語り、作詞作曲・アレンジまでこなす才能溢れるアーティスト。今年メジャーデビューを果たしたエスペランサは、ワールドミュージックの要素を多く取り入れたサウンドでスケールの大きなジャズを展開。細く愛らしい声とのギャップも面白く、温もりのある音楽を作り上げました。後者はグルーヴィーな音にソウルフルなボーカル、自身の魅力を充分に引き出して、大ヒットした前作を越える傑作を生み出しました。タイプは違うけれど、ジャズボーカルに新しい音を取り入れ、そしてリードしていく二人だと思います。オススメ。(新宿ジャズ館:東江 彩子)
     
    ★ふいご / ふいご (+1:DAVID MURRAY / LIVE IN BERLIN)
    渋さ知らズ、藤井郷子のグループ、宇波拓との活動など、様々なところで演奏してきたトロンボーン奏者、古池寿浩の呼びかけにより中尾勘二、関島岳郎を迎えて結成された3管トリオ『ふいご』の第一作。時間の感覚さえも変えてしまうような独特のスピードとクセになるメロディとフレーズからじわじわとこの妙な、絶妙な3人の呼吸に取り付かれてしまうことでしょう。そしてラスト「けむり」にスッと心を洗われます。しかしこの音楽の堂々たる態度、参りました。そしてこの一年どこからかよく耳にするこの言葉。マレイのライブ盤はすごい。この5曲合計1時間越えの収録時間をラストまで美しい旋律と4人のストーリーテラー達の雄弁な演奏によって一気に駆け抜けるすがすがしさは、痛快!まさにこの一言に尽きます。そして年末には同ライブのDVDも発売され、彼等の一挙手一投足も見れちゃうわけです。(新宿ジャズ館:桑原 広延)
     

    その3へ