ディスクユニオン ジャズスタッフ 7月度レコメンド・ディスク

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2020.07.31

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ディスクユニオンのジャズ専門館スタッフが新譜の中で一押ししたいオススメ作品をご紹介!
今月リリースされた最新新譜はもちろん、改めて聴いたら良かった準新譜もコッソリと掲載。
最新新譜カタログ的にも、魅力ある作品の発掘的意味合いでも是非ご一読ください!

 



 

LORENZO COMINOLI / TIMELINE / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008151554

坂本龍一「美貌の青空」のカバーで幕を開ける、ギターとピアノのイタリアン・デュオ。ギターとピアノのデュオといえば、アルフィオ・オリリオとノエ・レイネのフレンチ・デュオによる『The Island』が当店ではじわじわと売れている人気作だが、それと比較すると少々暗い感じは否めない。しかし静謐で慎み深い印象で、心のざわめきを鎮め、落ち着きを得るにはこれくらいが却っていいのかも。叙情的なピアノと、時に熱のこもるギターのインタープレイも美しく、じっくり聴くとなかなか侮れない。

 





DANIEL HERSKEDAL / CALL FOR WINTER / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008119471

ノルウェー出身のチューバ奏者、ダニエル・ハースケダールが、ノルウェーの奥地に2週間籠もり完成させたという、修行僧みたいな制作を経た作品。チューバと言ってもニューオリンズのようなリズム楽器的な使い方ではなく、バス・トランペットのひとり多重録音で、レイヤーを重ねるアンビエント的なサウンド。ジャケットのイメージや楽曲のタイトルも、北方の雄大な凍てつく大地を想像させ、銀世界の奥地で暮らす情景を喚起させる。映画音楽のような趣もあり、季節外れだがむしろ涼をとるのもアリか。


 


FARAJ SULEIMAN / SECOND VERSE / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008127551

6月にリーダー作が一挙入荷したFaraj Suleiman。パレスチナ出身のピアニストで、現在はパリを拠点に活動しているが、音楽性はパレスチナという出自を全面に出したアラビックでエキゾチックなものだ。この2019年作『Socond Verse』は自身初のソングブックとして自らヴォーカルも取る。アラビア語による歌は異国情緒満載で、妙にクセになって耳から離れない。歌詞は分からなくてもどこか懐かしく、童謡のような愛らしさも。YouTubeで公開されているM1「Mountain St.」の実写+アニメーションのMVも可愛らしい。また楽曲や歌が特徴的なためスルーしてしまいそうになるが、Farajのピアノやバンドの演奏も表現力豊かで、37分ほどの総再生時間聴きごたえも十分にある。唯一無二の世界観を聴かせるピアニストだ。
この他、ピアノソロによるデビュー作『Login』(2014) は、組曲や映画音楽のような、ストーリーが感じられる真摯な演奏。ピアノトリオ+ウードという編成の『Once Upon A City』(2017) はイスラエル・ジャズにも通ずるものがあるし、ライブアルバム『Toy Box』(2018) は作曲だけでなく、プレイヤーとしての実力を証明するような演奏が楽しめる。


  


KATE WADEY / MOON SONGS / JazzTOKYO 丸山
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008162389

現在 JazzzTOKYO にて先行販売中の要注目ジャズヴォーカル盤がこちら! 豪州シドニー出まれのケイト・ウェイディ (vo) による 2nd作品。軽やかに湧き出るような淀みないスウィングに、音程の確かさと精密さを備えた丸みを帯びて洗練された温かい声、そして聴き手に寄り添い心を奪う絶妙なタイム感覚は天賦の才を感じさせるもの。奇抜なフレーズにも走らずひたすらに歌詞の世界を素直に歌いあげており、時折ソフィー・ミルマンを思わせるような響きの豊かな厚みも心地よいです。老成、と表現してもよいような彼女の技量の完成度もさることながら、今作の影の主役である伴奏陣のファインプレーがまた見事。 


  


KIMBA GRIFFITH / Each Time the First Time / 吉祥寺ジャズ館 中村
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008119423

メルボルンで活動しているジャズ・シンガー、キンバ・グリフィスが2015年に配信のみでひっそりとリリースしていた作品が本邦初CD化されました。曲の世界観を感情たっぷりに歌い上げる、というより声量や声色を変えながら少し引いて歌うというスタイルで、天性のストーリーテラーっぷりをいかんなく発揮しています。50年代を彷彿とさせる洗練された都会的な雰囲気がありつつ、太陽の日差しを浴びながら芝生の上で寝転んで聴くのもよし、というチャーミングなヴォーカル作品です。





MAX LIGHT / HERPLUSME / 新宿ジャズ館 四浦 
http://blog-shinjuku-jazz.diskunion.net/Category/41/ (新宿ジャズ館にて販売中です!)

ジェイソン・パルマー(tp)やノア・プレミンガー(ts)のバンドで活躍するギタリスト、マックス・ライト(g)のリーダー作が入荷。モンク・コンペ改め、ハービー・ハンコック・コンペティションで2位となった彼は、メインストリーム・ジャズのアップデートだけでなく、コンテンポラリーな解釈も踏まえたオリジナルの楽曲で、ジャズギターの革新に努めている。トリオというバンドのまとまりも、本作の楽曲群を更にディープな世界へ導いてくれている。





OHAD TALMOR / LONG FORMS / 新宿ジャズ館 有馬 
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008104587

フランス生まれ、イスラエル~スイス~アメリカ育ちのNY在住テナーマン。
ジョシュア・レッドマンら同世代との共演や、かつて共に活動したリー・コニッツをメンターとしたこともあり、トリスターノ系スタイル、ジョシュア的ストレートアヘッド、イスラエル的情緒の旋律、80'ダウンタウン系フリーインプロなどのスタイルが、ニッティングファクトリー影響下世代によるソリッドな立ち回りを基調に複雑に入り混じっています。
オルタナティブ・マーク・ターナーとでも形容できそうな中々居ないタイプで、現代NYジャズの歴史をナチュラルに体現することに成功した良作です。





Sven-ÅkeJohansson / Schlingerland / Dynamische Schwingungen / 営業部 三橋
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245726866

スウェーデン出身の面白人間によるドラムソロ作品。ドラムソロと言えばAntonio Sanchezによる映画「Birdman」のサントラを思い浮かべましたが、あのような素晴らしいドラミングを想像してはなりません。ひたすらにダラダラと、ユルユルと、ドカドカとしたドラムが録音されております。1曲目は「残像」、2曲目は「マイクから少し離れている」と題されており、それをヒントに耳をすませてはみるものの「一体全体これは何なのだろうか?」と首をひねるばかり・・・。答えとか主題とか動機とかハッキリとした/明確なものを求めようとするとかえって核心から遠くなっていってるような気もして、こちらもなんとなくダラダラと寝ころびながら聴いてみたりしますが頭の中の「???」はなくなる気配がありません。
 




SIMON JEFFERIS / Vibrations / 営業部 池田 
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008129628

サイモン・ジェフリーズ待望のデビュー・アルバム。全曲のドラム、ギター、ベース、パーカッション、キーボードをこなす彼の分厚いグルーヴをベースに、コラボーレーターの見せ場も作るところまで含めて彼の才能が惜しみなく発揮されています。様々な色を使った鮮やかなジャケットのように、様々なジャンルのカラーが絶妙なバランスで混ざり合ったアルバムです。ヒップホップ~R&B~ネオソウル、アフロビーツなどUKクラブ・カルチャーからの影響も感じさせるまさにロンドン産のジャズ。グルーヴィーな楽曲たちの間に挟まれる2つのユーモアたっぷりのスキットは、なんだかアルバムを聴いている間は自分もサイモンたちのようにロンドンで生活しているような、不思議な感覚を味わえます。トランペットには、ディランとイフェが参加しているところにも注目まさかここでエズラ・コレクティブの新旧(?)トランペッターのプレイが聴けるとは…
また、彼は"Black Lives Matters"ムーヴメントを考慮してアルバムの発売を遅らせたそうで「このアルバムでは、自分の望むサウンドを作りだす為に数え切れないほどの黒人ミュージシャンの手を借りている。このプロジェクトが彼等の活躍を祝福するものになってほしい。」と語っています。





ハニャ・ラニ / ホーム / 営業部 西川
diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245728601

ポーランド新世代ピアニストの一人で注目を浴びているハニャ・ラニの最新作が登場。前作からあざやかな飛躍しを遂げた印象だ。ソングライティングの幅が広がり、ヴォイス、エレクトロニカ、アンビエンス、フォーキーなサウンドが入り混じり、美しくリズミカルで想像豊かな演奏についつい夢中になってしまう。国内盤はボーナス1曲プラス収録。