ディスクユニオン ジャズスタッフ 10月度レコメンド・ディスク

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2020.10.30

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ディスクユニオンのジャズ専門館スタッフが新譜の中で一押ししたいオススメ作品をご紹介!
今月リリースされた最新新譜はもちろん、改めて聴いたら良かった準新譜もコッソリと掲載。
最新新譜カタログ的にも、魅力ある作品の発掘的意味合いでも是非ご一読ください!






V.A. / ブルーノート・リイマジンド / JazzTOKYO 逆瀬川
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245732275

名門ブルーノートと、イギリスのデッカ・レコードがタッグを組んだこのアルバムは、UK新世代ミュージシャンがブルーノートに残された楽曲をカバーしたオムニバス。80年代、DJによってブルーノートの過去音源がクラブでプレイされ再評価されてきたこと、90年代にはブルーノートがUKのミュージシャンと契約してきたこと、といったUKシーンとブルーノートの関係性が、今作、そして今作を彩る先鋭的なミュージシャンの音楽性の下地になっている。いずれの曲も「カバー」という枠を遥かに超え再構築・再解釈され、その下地と、新世代のクリエイティビティが確かに感じられる。先日新作をリリースしたヌバイア・ガルシアや、エズラ・コレクティヴ、シャバカ・ハッチングスなども参加。現代UKジャズ・シーンを知るのに欠かせないアルバムだろう。国内盤ボーナストラックのKan Sanoもクールでカッコいい。





JOEL ROSS / Who Are You? / 新宿ジャズ館 四浦
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008196732

前作のデビュー作との差異から、ジョエル・ロスというミュージシャンのアルバム制作に向き合うスタンスが、実にコンセプチュアルであることが理解できるだろう。本作でのプロデューサーにはサックス奏者のウォルター・スミス(前作はベーシストのハリシュ・ラガヴァン)を迎えている点やゲストに女性ハーピストのブランディ・ヤンガー(前作は女性ボーカリストのグレッチェン・パーラト)を迎えている点など、また、ベーシストは変わったが前作と同じサイドメンバーでバンドとしての音楽の探求も忘れていない。新世代ではあるがジャズという音楽が持つ伝統を踏まえた革新性の追求が聴きどころである。自身、作品毎の成長にも言及しており、次のアルバムのリリースが待ち遠しいプレーヤーとなっている。





 MARIUS NESET / TRIBUTES / 新宿ジャズ館 小堺
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008195737

恥ずかしながらこのマリウス・ネセットというサックス奏者をノーマークだったので、本作で初めて聴いたのですがとにかく上手い。調べてみたら"PEOPLE ARE MACHINES"のサックス奏者ということで納得・・・!
海外では「ブレッカーのパワーとガルバレクの繊細さを併せもつ」といった評価を見かけましたが、個人的には美しいサウンドと卓越した演奏技術に加えクラシックの素養の高さも印象的です。
室内オーケストラとの共演でも素晴らしい演奏を残していますが、本作の挾間美帆率いるDRビッグバンドともやはり相性は抜群でした。
まだ35歳ということもあって今後が楽しみなプレイヤーです。





MIKE MELITO / YOU'RE IT! / JazzTOKYO 山田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245732655

この御時勢ながら積極的なリリースが続くカナダの優良ハード・バップ・レーベルCELLAR LIVEの9月入荷のアルバム。初回は一週間と持たずに売り切れてしまったが無事再入荷できた。ドラマーのマイク・メリトとピアノのディノ・ロシトの双頭リーダー作で、マイクのほうは2000年代から数は多くないもののリーダー作をしばしば発表しており、グラント・スチュアートやピーター・バーンスタインらと共演、正統派を地で行くハード・バップ・ドラマー。一方ディノ・ロシトはピアノ・トリオ作品を2000年に録音している以外は日本に入ってきていないようである。その作品"LIKE THAT"のリズム隊が、今作のベース、ニール・マイナーとマイクであり、そこへ大ベテランテナーのラリー・マッケンナを加えたカルテット作が本作だ。馴染みのトリオにラリーをフロントに加えた格好だろうか。ともかく、4人ともストレート・ジャズへのこだわりは尋常ではなく、プレスティッジ的なセッション感あるサウンドながら抜群の安定感と爽快感を体験できる。





サム・ウィルソン / イントゥ・ア・ハート~ギターと私 / 吉祥寺ジャズ館 中村
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245733589

私の周りでも自宅で仕事をする方が増えてきました。通勤時間が省けていいね、なんて思っていたのですが話を聞いてみると意外な苦労があるとのこと。「ON/OFFの切り替えがなかなかできない」「生活音が気になる」などなど。「好きな音楽をかけて集中しようとしてみても、その音楽によって逆に集中できない」なんてこともあるそうです。「気持ちよく仕事ができ、かつ邪魔にならない音楽はないか」と聞かれ勧めたのが、カナダ出身のギター女子、サム・ウィルソンのデビュー・アルバム。彼女のギターは瑞々しく繊細な音色で、さらさらと耳の中へ流れ込み気が付くと心に残っている、というありそうでなかった作品。無駄なものを極力そぎ落としその後に残った音の美しいこと、豊かなこと!音楽を聴きながら自宅で仕事をしています、という方はもちろん、全ギター好きに自信を持ってお勧めいたします。





SIRIL MALMEDAL HAUGE / CHASING SUNSETS / 吉祥寺ジャズ館 中村
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008205775

ノルウェーのヴォーカリスト、シリル・マルメダール・ハウゲとOslo Session Recordingsレーベルを主宰するジェイコブ・ヤング(g) のデュオ新作。2年前にリリースしたアルバム『LAST THINGS』では、北欧ならではの透明な空気感をまとわせた柔らかなヴォーカルと温かいギターを披露していた2人ですが、今作でも前作同様に息の合ったコンビネーションで静謐な空間を作り出しています。シリルはポップスやフォークの要素を含んだ叙情派のヴォーカリストですが、コンテンポラリーと王道のバランスが非常に良く、ここ日本でも着実にファンを増やしています。脆くからっとした秋の日差しがよく似合う、北欧ジャズ・ヴォーカル作品です。





Ellen Andersson / You Should Have Told Me / JazzTOKYO 丸山
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008195445

デンマークのヴォーカル・グループ Touché (トゥシェ) での活動でも知られる、スウェーデンのエレン・アンダーソン (vo) による 4年振りソロ作品。同郷の名手ペーター・アスプルンド (tp) が参加し、ジャズ・スタンダードから、ミッシェル・ルグラン、ランディ・ニューマン、ジョン・レノンなどの名曲をカヴァーしています。美しい低音部の豊かな響きには思わずうっとり。コケティッシュな魅力、なめらかな音程変化は Stacey Kent、Kat Edmonson、Naama Gheber、Barbra Lica といった面々を思わせる部分も。 #3 のトイストーリー挿入歌など、意外な選曲も新鮮です。





DAN WEISS STAREBABY / NATURAL SELECTION / 新宿ジャズ館 有馬
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245733524

2018年に第一弾をリリースしたDan WeissのStarebabyプロジェクトの続編です。
メタル、エレクトロニック要素など、Dan Weissの個人史を最強のメンバーで再演。
得意の変拍子、複雑な曲構成、ソリッドな世界観。メタルのトンネルを抜けた後半の展開に至ってはもはや文脈不明。
しかしどんな作風でもそのスネア、シンバル、バスドラの打音一発でDAN WEISS作品だと分かるという妙技。
音のロケーションとテクスチャーで説得されてしまうあたり、相変わらず軸が突き抜けています。個人的には彼の最高傑作のように感じます。
影響を受けたという2017年版『ツイン・ピークス』を見れば何かわかるかもしれません。





I.P.Y. / Ipy / 営業部 三橋
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008209239

Ikue Mori、Phew、YoshimiOという日本のアヴァンギャルド・シーンの重鎮が東高円寺U.F.O,CLUBで行ったライブを収録。ドラム、歌、シンセ、エレクトロニクスによるフリーフォームな演奏はどこか音の中心がないようで、ぽっかり空いた摩訶不思議な世界を想起させてくれる何ともインスピレーション刺激する内容。内ジャケットには当日の演奏模様の写真も掲載されており、U.F.O,CLUBの内装と相まって雰囲気満点・・・!?





291out / Wellington(7") / 営業部 池田
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245733731

291outはフィジカルよりSoundCloudに多く作品があがっているのですが、ベースとなるジャズ~フュージョンに加えファンク、コズミック、ロックなどなどそこで披露されている楽曲の全要素がこの7インチの2曲に詰まっていると言っても過言ではない「オレたちこれ全部できますけど?」的なシングル。既成概念を取っ払ったクロスオーバーが得意なだけあって、バンド名がダダイズム・マガジン「291」から名付けられているのも納得。本作を入り口に自分好みの作品が見つけられる291outの入門編としておすすめです!